法学Ⅰ
担当者平岡 克行教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングLAW-101

授業の概要(ねらい)

 本授業では、法律学の基礎的な事項、特に私人間の法律関係を規律する民法に関して講義を行います。
 例えば私人Aが、Bから借りたタブレット端末を、無断でフリマアプリを通じてCに売却してしまった場合、A・B・Cの法律関係はどのようになるでしょうか。タブレットが既にCに引き渡されてしまった場合、BはCに対してそれは自分のものであると主張し、返してもらうことができるでしょうか。Cは、当該端末が本当はAがBから借りたものと知っていた場合はどうなるでしょうか。AがCから受領した代金は誰のものでしょうか。さらに進んで、Aの無断売却行為は刑事罰の対象となるでしょうか。
 一口に「法学」と言っても、実際には様々な分野や法律が存在します。例えば、国家の統治に関する基本的なルールを定める憲法や、上記設例に出てくる私人間の法律関係(権利・義務)を規律する民事法(例えば民法、商法)、国家が刑事罰を科す局面の刑事法(例えば、刑法・刑事訴訟法)等があります。
 本講義では、私人間の法律関係を規律する民法を中心に、民事法の基礎的な事項について講義を行います。本講義は法学部向けのものではないため、受講者が法学の知識を有しないという前提で進めていきます。難しい問題には立ち入らず、まずは法律学で学べることや、法律にはどのような種類のものがあるか等を概説します。その後は民法を中心に、民事法の基礎を学んでいきます。本講義では、法律学の設例・問題を調べる場合に、判例や資料・文献をどのように調査したらよいのか、法律学のレポートの書き方といった事項も簡単に説明します。簡単なレポートを課す予定ですので、それを実践してもらうことになります。

授業の到達目標

 ①民事法の基礎的な事項を理解する。
 ②民法等に関する簡単な設例が与えられた場合、自ら資料・文献等を調査して法律上の問題を指摘し、判例・学説・自身の見解を説明できるようにする。

成績評価の方法および基準

 レポート(50%)と期末試験(50%)で成績評価を行う予定。
 法学部の所属でない学生に法学の試験・レポートを課すことは、いろいろと難しい部分があるかもしれません。そのため、状況によってはレポート2回のみ、または試験2回のみによって成績評価を行う等、成績評価の方法を変更する可能性があります。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『民事法入門(第8版)』野村豊弘(有斐閣、2019年)
参考文献講義中にレジュメや参考資料を配布する。

準備学修の内容

 受講者の大半にとって、法学を学ぶことは初めての経験であり、最初は分からない事ばかりで戸惑うかもしれません。授業をよく聞いて基本的な内容を理解すると同時に、テキストや配布した資料を十分に読み返して復習し、必要な知識を定着させるようにしてください。
 レポートを作成する場合、実際に法学の文献を図書館等で調査することになります。調べ方などは講義中に詳しく説明しますので、自身でそれを実践することが必要になります。

その他履修上の注意事項

 ・講義や試験・レポートの内容は、受講者が法学部所属の学生ではないことを考慮したものにします。法学を学ぶ上で必要となる知識は、講義中に可能な限り細かく説明します。
 ・六法を購入し、持参することを勧めます。様々な法律の雰囲気をいろいろと知ることができるためです。試験の際には六法を持ち込み可とする可能性があります。
 ・授業中の私語や、他の受講生の迷惑になる行為は厳禁です。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス
第2回民事法概論
(民法とは何か、権利と義務、債権と物権、民法と特別法)
第3回民法総則①
第4回民法総則②
第5回物権
第6回債権総論
第7回債権各論
第8回不法行為・不当利得・事務管理
第9回家族法・相続法①
第10回家族法・相続法②
第11回法人の意義 ―株式会社・一般社団法人・権利能力無き社団を例に―
第12回株式会社と法① ―会社内部の法律関係と対外的な法律関係―
第13回株式会社と法② ―株式会社の不祥事(株式会社の役員は誰に対してどのような義務を負うか、株主は何ができるか)―
第14回権利の実現(民事訴訟法、民事執行法)
第15回まとめ又は試験
※上記はあくまで予定であり、進捗状況に応じて変更する可能性があります。