経営史Ⅰ
担当者飯塚 陽介教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングMAN-220

授業の概要(ねらい)

 本講義では、19世紀以降の欧米諸国及び日本におけるビジネスのあり方を概論します。春学期は、日米欧における「現代企業」の出現にいたる時期までを対象とします。本講義は歴史の講義ではあるけれども、網羅的かつ微細な知識の提供を主たる目的とはしていません。むしろ、ビジネスのあり方における時代・地域に応じた多様性をそれを生み出した背景とともに知ることで、現在のビジネスのあり方を相対化し、将来の発展方向を予見する上で有効な考え方を修得することを目的としています。
 それと同時に、履修者には、自分の手と足で主体的に企業の歴史を調査する経験を積んでもらいます。その成果は、学期末に長文のレポートとして提出してもらいます。

授業の到達目標

 到達目標(1)現代企業が出現した経緯を説明できる。
 到達目標(2)日米欧の現代企業の相違を知り、それを歴史的な背景から説明できる。
 到達目標(3)歴史的な視座から企業・産業のあり方に対して関心を持つ。
 到達目標(4)企業・産業の歴史についての文献を収集できる。
 到達目標(5)収集した文献を用いて、企業・産業の歴史を論じることができる

成績評価の方法および基準

 評価基準(1)中間テストと期末テストの点数(30%)(到達目標(1)(2)と関連します。15点満点のテスト(持ち込み不可)を2度実施します。)
 評価基準(2)研究計画書の提出(10%)(到達目標(3)と関連します。)
 評価基準(3)期末レポートの提出とその内容(60%)(到達目標(4)と(5)と関連します。)
 ※平常点(出席回数)は主要な評価項目とはしませんが、評価に際して参考とする可能性があります。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献『ビジネスの歴史』鈴木良隆・大東英祐・武田晴人有斐閣

準備学修の内容

(1)学期を通じて、持ち込み不可の2回のテストに備え、復習する。
(2)学期最初の数週間は研究計画書を作成する。
(3)学期後半は各自のテーマに沿って長文のレポートにまとめる。期末レポートは「任意の企業・産業についての独自レポート」(A4・3枚以上、必ず関連文献を参照)あるいは「企業博物館の展示内容の報告」(A4・2枚以上、必ずチケット・パンフレットを添付)から一つを選択することが出来ます。
(4)(3)の活動の一環として、休日や講義の空き時間を利用して社史資料を所蔵する学外の図書館(神奈川県立川崎図書館、国立国会図書館など)や企業博物館を訪問する。

その他履修上の注意事項

 本講義では独自研究を伴う期末レポートの提出を要請しています。私の担当している他講義と比較して、主体的に学ぶ姿勢をとりわけ求める講義となっています。安易に出席をするのみでは単位の修得は不可能です。独自の調査を行うことは未知の経験という履修者も多いでしょうが、MELICにも収蔵されている社史類を利用したり、各地の企業博物館を訪問してみてください。なお、調査テーマについての重複は、講義中になるべく調整をします。

授業内容

授業内容
第1回講義「オリエンテーション」(本講義の概要と成績評価の指針、経営史学概説)。
第2回講義「規模の経済の発見」(産業革命期の英国において「規模の経済」はいかに発見されたのか?)。
第3回講義「市場経済の中の企業」(産業革命期の企業活動はあくまで「市場」による調整を前提としていた)。
第4回講義「在来産業における変化と革新」(産業革命期に在来産業において生じた革新とは?)。
第5回講義「産業革命と金融ビジネス」(産業革命は金融ビジネスに支えられていた)、研究計画書の提出。
第6回講義「大量生産体制への途」(アメリカでの大量生産への模索)。
第7回講義「研究計画の調整と指導」(履修者間で研究テーマの重複を調整します。調査についてのガイダンスを行います)、中間テスト。
第8回講義「市場的調整(見えざる手)から管理的調整(見える手)へ」(19世紀アメリカにおいて市場的調整を代替する大企業はなぜ出現したのか?)。
第9回講義「専門経営者と経営階層組織」(19世紀アメリカにおいて経営階層組織はどのように、そしてなぜ発達したのか?)。
第10回講義「経営者企業の成立」(さらに発達を遂げるアメリカ大企業の経営階層組織)。
第11回講義「ヨーロッパにおける現代企業の登場」(19世紀末、ヨーロッパにおいても「大企業」が出現した)。
第12回講義「ヨーロッパ大企業の組織と管理」(ただし、ヨーロッパ大企業はその組織においてアメリカの大企業とは異なる特徴を備えていた)。
第13回講義「日本における大企業の登場」(欧米に対して後発国である日本に大企業が出現した理由は?)。
第14回講義「日本の企業と財閥」(日本の大企業の特徴とは?)。
第15回講義「春学期の総括」(日米欧の大企業を比較するまなざし)、期末レポートの提出、期末テスト。