経済法Ⅱ
担当者徳力 徹也教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [法律学科 2018年度以降]
科目ナンバリングSOL-204

授業の概要(ねらい)

 まず、経済法の中核である競争法(独占禁止法)の概要と企業結合(合併等)規制を説明します。これを通じて競争法の概要・意義を理解してください。その上で、最近の重要問題(GAFA等のプラットフォーマー・ビッグデータ等)に対する競争法の取組みを説明します。
 次に、市場経済は、全ての経済問題を解決できません。授業では、市場の失敗等に対処する経済規制(事業法)の必要性・その概要等を説明します。また、関連して経済規制等に伴う問題点・政府の失敗についても説明します。

授業の到達目標

 本講議は、独占禁止法・事業法(経済規制等)の理解を通じて、「社会の仕組みや現代社会の多様な問題の本質を分析することができる」ようになることを目標とします。
 特に、受講生において、我が国の経済ルールの在り方について、新聞等の報道内容を理解して議論できるようになること(「新聞で報道されている規制見直しは、〇〇との目的を有している。しかし、××との弊害が生じるおそれがある。これらを考慮して、私は、この見直しに賛成/反対である」との議論)を最終的な目標とします。

成績評価の方法および基準

 基本的に試験結果(70%)、レポート提出・発表等(30%)に基づき評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書なし
参考文献『経済法入門』泉水文雄有斐閣

準備学修の内容

 各講義のレジメを配布・LMS掲載するので、当該レジメを読んでください。
 レジメ記載の課題について、各自が検討し、レポート提出又は発表(適宜指名)してもらいます。
 なお、経済活動に係る新聞記事等を日常的に読むように努めてください。

その他履修上の注意事項

 自分が政策担当者・ビジネス法務担当者になったつもりで、「どのような経済システム・経済ルールが望ましいか」などの問題意識を持ってください。
 なお、授業中の私語は、厳禁です。

授業内容

授業内容
第1回 (春期の復習)市場経済システム(競争)の機能・メリットは?
  競争ルールとしての独占禁止法の必要性・その内容は?
第2回 新聞に「A社とB社の合併に関する独禁法の問題」と書いてあった。
 独占禁止法は、合併等(M&A)を何故・どのように規制しているだろうか?
 最近の合併等規制事例を検討しよう。
第3回 前回の続き・・・
 最近の合併等(M&A)規制に関する事例を検討して理解を深めよう。
第4回 最近の経済問題に関する検討①:標準化と競争法(サムスン・アップル事件等)
                +ネット取引と競争法(ネット販売制限事件等)
第5回 最近の経済問題に関する検討②:GAFA(支配的プラットフォーマー)と競争法ⅰ
                (総論+EU:Google事件等)
第6回 最近の経済問題に関する検討③:GAFA(支配的プラットフォーマー)と競争法ⅱ
                (我が国の最近の取組状況:立法措置等)
第7回 市場の失敗と経済規制等①(総論・情報の非対称性:許可制等の参入規制)
第8回 市場の失敗と経済規制等②(公共財・外部性)
第9回 市場の失敗と経済規制等③(規模の経済性:電力産業の規制とその見直し状況)
第10回 格差是正と経済規制(既存事業者保護のための輸入・参入規制等)
  (補)効率性と平等性の関係
第11回 政府の失敗(政府が正しい経済規制を行えるだろうか?)
 最近の経済規制の見直し状況(経済・社会の変化に応じた事業法の見直し等)
第12回 経済規制(事業法)の法的問題①:憲法(「営業の自由」)との関係:薬事法違憲判決等
第13回 経済規制(事業法)の法的問題②:競争制限的な行政立法・行政指導等の問題ⅰ
第14回 経済規制(事業法)の法的問題③:競争制限的な行政立法・行政指導等の問題ⅱ
第15回 まとめと試験