担当者 | 藤澤 明教員紹介, 河西 学, 畑 大介, 村上 夏希 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [文学研究科 日本史・文化財学専攻] | |
科目ナンバリング |
文化財を保存・活用し、歴史を考えるための資料とするためには、自然科学的な手法が不可欠です。材質や技法の分析、原材料の産地や製作地の推定、年代の測定、遺跡出土遺物の保存処理などの分野で、様々な自然科学的な方法による取り組みが行われ、多くの成果をあげています。また文化財は金属・土・岩石・鉱物などの無機物に加え、木材・漆・骨角・貝殻などの有機物といった多様な原材料で構成されているため、それぞれの素材に適応した調査法や保存処理法が必要となります。
この実習では、火山灰(テフラ)・石器・土器などを構成する岩石や鉱物を観察する方法、機器を用いて文化財の形状や構造を可視化して調べる方法、遺跡から出土した金属製品や木製品の保存処理法、発掘現場での文化財対処法などについて、実際に作業を体験します。
本実習は、2020年8月末の4日間、帝京大学文化財研究所内の宿泊施設を利用して、合宿形式で実施します。
岩石や鉱物を観察する分野では、肉眼観察、ルーペ、実体顕微鏡、偏光顕微鏡などの観察を通し、石器や土器などの文化財の特徴について基礎的知識を習得できる。機器実習では、一連の操作を実体験して、各種測定法を評価できる。遺物の保存処理と現場対処法の分野では、基本的な技術と知識を習得できる。
毎日の授業に関するレポートの内容(50%)と授業に取り組む態度(50%)で評価します。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 授業ごとに資料を配布します。 | ||
参考文献 |
文化財の研究は、歴史的な知識に加え自然科学的な知識が要求されます。理解しづらい理系の用語については、そのままにせず、こまめに調べる習慣を普段からつけてください。
文化財の仕事は、実際にモノに接することが重要な要素となります。実践的なこの実習を一つの機会として、文化財をみる目を養い、造詣を深めてください。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 土器胎土調査1 岩石・鉱物を野外で観察・採取し、その産状を学ぶ。 |
第2回 | 土器胎土調査2 岩石・鉱物を室内で観察し、光学性や組織の特徴から分類を学ぶ。 |
第3回 | 土器胎土調査3 関東ローム層試料からテフラを洗い出し、顕微鏡観察でテフラの特徴を学ぶ。 |
第4回 | 土器胎土調査4 土器の観察から構成岩石鉱物の分類と産地推定の方法を学ぶ。 |
第5回 | 機器分析実習1 各種顕微鏡を用いた文化財の研究方法を学ぶ。 |
第6回 | 機器分析実習2 X線透過装置を用いて非破壊調査法を学ぶ。 |
第7回 | 機器分析実習3 カメラや赤外線スキャナー等を用い、各種光学調査方法を学ぶ。 |
第8回 | 機器分析実習4 蛍光X線分析計やICP-OESを用いた材質調査法を学ぶ。 |
第9回 | 金属製品の保存修復1 観察や機器分析を通しドキュメンテーション方法を学ぶ。 |
第10回 | 金属製品の保存修復2 鉄器の保存修復方法を学ぶ。 |
第11回 | 金属製品の保存修復3 青銅器の保存修復方法を学ぶ。 |
第12回 | 木製品の保存修復1 ポリエチレングリコール法による処理法を学ぶ。 |
第13回 | 木製品の保存修復2 トレハロース法による処理法を学ぶ。 |
第14回 | 現場での文化財保存1 遺跡の地層断面はぎ取り法を用いて断面資料を取り上げる。 |
第15回 | 現場での文化財保存2 はぎ取った断面資料の保存法を学ぶ。 |