比較文化演習Ⅰ
担当者藤田 敏明教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [外国語学科 英語コース(2017年度以降)]
科目ナンバリングSEM-313

授業の概要(ねらい)

前期の基本線は「ジェンダーの揺らぎ」。世界中の文化に存在する「社会的・文化的な性別=ジェンダー」を主題として取り上げ、それが揺らぐ不安定な局面から、人間の感性の普遍性を考えていきたい。前期テキストは、シェイクスピア『十二夜』。女性が男装し、女性に愛され、男性を愛するという、不思議で混乱した物語である。これを出発点に、オペラ、歌舞伎、宝塚、など、いくつかの具体的な文化事象を例として、「ジェンダーの揺らぎ」を物語る作品について考察する。

授業の到達目標

対象作品の理解はもちろんのことだが、単独に作品を「知る」だけではなく、そこに普遍的にある「人間の感性、心理状態の普遍性」をも理解すること。さらには、それを通じて、「自分が今までに知っている狭い範囲の知識」ではなく、「より広い視野」「自分自身(自国文化)を相対化した、比較文化的感覚」を身に着けることそしてそれを「自分自身の言葉でレポートとしてプレゼンテーションあるいは表現できること。

成績評価の方法および基準

毎回の授業最後の小レポートにおける、「授業内容理解」五割、および、プレゼンテーションの状況と期末レポートが五割。ただし、プレゼンテーションとレポートは必須。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 『十二夜』シェイクスピアちくま文庫
参考文献その他の作品については、随時、教員からハンドアウトを配布する。

準備学修の内容

授業開始までに、欧米文化についての常識的な知識は身につけておくこと。毎回の授業ごとに、前回の授業内容についての自己の理解を確認すること。自分の過去に知識との比較において、どういう「新たな知識」があったかを確認すること。

その他履修上の注意事項

知識を身に着ける、ということではなく、自分の頭脳で考えること、それを、借り物ではなく自分自身の言葉で表現すること。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション。授業の全体像。シェイクスピア『十二夜』の紹介と、一部作品内容理解。第1幕。テキストおよび映像
第2回第2、第3幕。「お姫様が愛しているのは私、でも私は女だからそれには答えられない。私が愛しているのは公爵様、でも私は男だからこの恋はかなわない、ああ、混乱しちゃう」

第3回
第4,5幕。「そこにいるのは俺か?」--一つの顔、一つの声、しかし二つの体!
第4回
オペラ『ばらの騎士』第1幕女装する男性――を演じる女性歌手。しかし不倫がばれそうになったため、慌てて女装する.
第5回
第2幕。美貌の男性を演じる女性歌手――二恋する娘。
第6回
第3幕。再び女装する美貌の男性――を演じる女性歌手。
第7回歌舞伎『白波五人男』男性が演じる女性、女形――が演じる、「女装した男性盗賊」「しらざあ言って聞かせやしょう、--弁天小僧、菊之助とは、俺がことだ!」
第8回宝塚歌劇。『ベルサイユのばら』すべて、女性によって演じられる世界。「男装する女性」を演じる「男役」女性俳優。「オスカルさま!!」
第9回後半「千の誓いが欲しいか、万の誓いがいるのか。命をかけて言った言葉をもう一度いえというのか――愛している、愛している!!」
第10回オールメールのシェイクスピア『間違いの喜劇』
第11回後半
第12回学生のプレゼンテーション。三名――四名
第13回プレゼンテーション。三名――四名
第14回プレゼンテーション。三名――四名
第15回プレゼンテーション。三名――四名