日本経済史Ⅰ
担当者藤井 隆至
単位・開講先選択必修  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECH-201

授業の概要(ねらい)

 「日本経済史」は、経済学部経済学科の専門教育のなかでは基礎科目に位置づけられ、基礎的な経済理論を修得することに教育目標が置かれています。日本経済史は日本経済の歴史的な展開過程を学習する科目です。私たちが現実の日本経済を分析し、さまざまな国民的課題に取り組む能力を獲得できるようにする科目とします。
 そうした位置づけから、日本経済史の授業は、以下の点に重きをおきます。①いまの日本経済の国民的課題は何かという観点で過去の歴史を分析する。②日本経済は世界各国との国際関係のなかで形成されてきたことから、国際的視野をもつ日本経済分析をおこなう。③いまの日本経済は明治以降に骨格が作られているという認識のもとに、時代としては明治以降を対象とする。④それぞれの時代にはそれぞれの国民的課題があり、その課題を解決するために経済政策が実施されたが、その政策が新たな国民的課題を作り出すことになったという歴史観で授業を組み立てる。
 授業は、教室で受ける集合学習形式の授業と各自が授業時間外におこなう準備学習の二つに分かれます。教室での集合学習では、一方向の授業になるのを避けるため、随時学生とディスカッションする場をつくります。準備学習では、「授業の計画」の欄にキーワードを3つ記しておきました。この3つのキーワードを事前に学習したうえで授業に臨んでください。授業では、歴史の大きな流れを把握することに力点をおきます。そのことから、個々の史実は準備学習のときに把握しておいてください。「私たちはどこから来てどこへ行くのか」、この問いに答えられるような授業にしたいと考えています。

授業の到達目標

 日本経済がたどってきた歴史過程を大づかみに把握する能力を修得し、それを他者に説明できることを授業の到達目標とします。

成績評価の方法および基準

 平常点の配点を45点、定期試験の配点を55点とします。両者の合計点が成績となります。成績評価基準にもとづいた評価をおこないます。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 テキストは使用しません。参考文献は授業中に指示します。
参考文献

準備学修の内容

 準備学習はたいへん重要です。「7.授業の計画」欄にキーワードを3つ記しておきました。授業がはじまる前に、このキーワードを調べレポート用紙に要点をまとめておいてください。各自が準備学習をきちんと行っているという前提で、授業をします。復習をおこなえば、授業の理解はさらに深まります。

その他履修上の注意事項

 現代日本経済史を履修済か履修中であることが望ましいです。教科書は用いませんが、その理由は、教科書があると教科書にたよる心が学生に生じるからです。各学生は、私の講義をノートに取り、話の内容を正確に理解して文書化するように努力し、文書作成能力を高めるように心がけてください。現代社会は文書主義の社会です。文書作成能力を育てることはたいへん重要です。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス
第2回 徳川時代前期の経済構造
 キーワード:兵農分離、石高制、慶長小判
第3回 徳川時代前期の経済構造
 キーワード:城下町、年貢制度、新田開発
第4回 徳川時代後期の経済構造
 キーワード:領主的商品経済、農民的商品経済、武士の窮乏
第5回 幕末の開港とその帰結
 キーワード:不平等条約、居留地貿易、洋銀
第6回 明治政府の政治改革--所有権
 キーワード:版籍奉還、廃藩置県、土地所有権
第7回 明治政府の経済改革
 キーワード:地租改正、地券、金納
第8回 明治政府の経済改革
 キーワード:秩禄処分、徴兵令、金禄公債証書
第9回 殖産興業
 キーワード:富岡製糸場、お雇い外国人、官業払下げ
第10回 通貨金融
 キーワード:新貨条例、国立銀行、日本銀行
第11回 松方デフレ
 キーワード:大隈財政、松方財政、小作農
第12回 輸出産業の形成(1)
 キーワード:綿産業、大阪紡績会社、神戸港
第13回 輸出産業の形成(2)
 キーワード:製糸業、器械製糸、横浜港
第14回 鉄鋼業の形成
 キーワード:反射炉、釜石鉱山、八幡製鉄所
第15回 機械工業の形成
 キーワード:軍工廠、造船業、鉄道業