肢体不自由児の心理・生理・病理
担当者石川 政孝, 藤井 靖史教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [教職研究科]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 授業は、複数の教員によるチーム・ティーチングの形態で行う。
 肢体不自由の理解に必要な運動生理学を中心に学ぶ。代表的な疾患として、脳性麻痺、筋ジストロフィー、二分脊椎・髄膜瘤に関して、基礎的な医学知識を身につける。更に、肢体不自由児の合併症として頻度が高い、精神遅滞、呼吸障害、摂食嚥下障害、排泄障害などについて、メカニズムとその対処方法を学び、合わせて個々の子どもにおける最も高いQOLが何かについて討論及び発表などを通じて考察する。

授業の到達目標

<A類>
 ・肢体不自由を来たす代表的な疾患について医学的知識を身につけ、学校生活での援助に利用できる。
 ・肢体不自由児にみられる様々な合併症について適切な対応力を身につける。
<B類>
 ・肢体不自由児に対する学校生活でのサポートに関して、校内の教職員、校医、保護者、保健・医療機関などと協議しながら適切に問題を究明・解決していく力量を身につける。

成績評価の方法および基準

 肢体不自由児の医学的側面の理解度(レポート)70%と、演習への取り組む姿勢30%を基にして評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 特定のテキストは使用しない。
参考文献『脳性麻痺ハンドブック』 穐山富太郎 他 医歯薬出版株式会社
参考文献『脳のしくみ』 新井康允日本実業出版社
参考文献『小児神経学』有馬正高 他診断と治療社
参考文献『臨床のための神経機能解剖学』後藤文男 他中外医学社
参考文献『こどものリハビリテーション医学 第3版』 伊藤利之/小池純子 他医学書院
参考文献『神経・筋疾患の最新医療』 杉田秀夫 他先端医療技術研究所 他

準備学修の内容

 授業で取り上げるテーマについての基本的知識については事前に調べておく。

その他履修上の注意事項

 学習した知識内容を常に最新のものに置き換えて行くことが必要です。その為には、学生各自が在学中から知識を更新していくための学習方法や情報獲得手段を獲得することが望まれます。

授業内容

授業内容
第1回オリエンテーション/医療と福祉
 講義全体の流れを理解する。肢体不自由児を対象とした医療・福祉を整理する。
第2回運動生理学
 運動に関わる、神経・骨格・筋肉の構造と生理について学ぶ。
第3回脳性麻痺の病態生理
 脳性麻痺の疾患概念と原因、病態生理について学ぶ。
第4回脳性麻痺の運動機能障害
 脳性麻痺の病態生理と臨床症状について学ぶ。ビデオや実演を通じて脳性麻痺を対象とした理学療法の実際を学ぶ。A・B類学生混合の小グループを作り、脳性麻痺児が学校生活を送る上で改善すべき校内のハード面とソフト面について協議し、その成果を発表する。
第5回脳性麻痺の嚥下障害と摂食障害
 嚥下や摂食のメカニズムを学び、嚥下障害や摂食障害に対する医療の基礎知識を学ぶ
第6回脳性麻痺の呼吸障害
 呼吸機能の生理を学び、脳性麻痺児にみられる呼吸障害とその対応について整理する。
第7回脳性麻痺の視覚障害と言語障害
 視覚と言語発達のメカニズムを学び、脳性麻痺に伴う視覚障害と言語障害の特徴を理解する。
第8回脳性麻痺の排泄障害
 排泄機能の生理を学び、脳性麻痺児にみられる排泄障害とその対応について整理する。
第9回重複障害児とQuality of Life
 精神運動発達遅滞や難治性てんかんを合併する重複障害児の学校でのQOLを考える。
第10回筋ジストロフィーの病態生理
 筋ジストロフィーの病態生理を学び、遺伝子治療などの最新医療について理解する。
第11回筋ジストロフィーの経過と予後
 筋ジストロフィーの経過を理解し、病状に応じた介助に必要な知識を整理する。
第12回二分脊椎と髄膜瘤の病態生理
 二分脊椎、髄膜瘤と水頭症の病態生理を理解し、合併症とその対応策について必要な知識を学ぶ。
第13回奇形と奇形症候群の病態生理
 奇形と奇形症候群の原因と病態生理を理解し、学校生活での援助を考える。
第14回肢体不自由児と保護者の心理
 A・B類学生混合の小グループを作り、進行性・非進行性の肢体不自由児の精神発達と保護者の心情と、それらに対する学校での必要な配慮について協議し、その成果を発表する。
第15回家庭と学校、保健医療機関の連携
 事例を通じて、肢体不自由児を支える家庭、学校、保健医療機関の連携に関して、問題点を整理して解決方法について討議をする。B類学生の経験を授業に取り入れる。