これからの学校教育と教育政策・行政
担当者田中 壮一郎
単位・開講先選択  2単位 [教職研究科]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 我が国が取り組んでいる教育改革について、その背景や経緯、更に教育基本法の改正等この間に実施された教育政策について理解を深めるとともに、近年大きな社会問題となっている「子供の貧困」やSNSの急速な普及などへの対応策についてディスカッションし、社会の変化と学校教育の関係について考える。
 また、教育における国や地方自治体の役割、学校と教育委員会や地域社会との関係、教育予算と教育条件の整備など教育行政の基本的な仕組みについて理解を深め、ディスカッション等を通じてこれからの学校教育の在り方について考える。

授業の到達目標

 教育改革の意義と主要な教育政策の内容を理解することにより、公教育制度としての学校教育と教員の使命に対する意識を高めるとともに、教育行・財政の基本的な仕組みと機能、学校と教育委員会の関係、初等中等教育における国の役割と地方自治との関係について理解し、社会の変化に対応した学校の役割とこれからの学校の在り方について展望できる能力を修得する。

成績評価の方法および基準

 授業への参加状況(50%)及び発表の内容(50%)を基に総合的に評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書特定のテキストは使用しないが、授業ごとに、事前に必要な資料を配付する。
参考文献『逐条解説 改正教育基本法』教育基本法研究会(田中壮一郎監修)(第一法規)
参考文献『体験の風をおこそう1 改訂版 体験活動の企画と展開』田中壮一郎(悠光堂)
参考文献『体験の風をおこそう2 感動を呼ぶ体験活動と先進事例』田中壮一郎(悠光堂)
参考文献『体験の風をおこそう3 数字でみる体験活動と「生きる力」-体験活動の成果を検証する-』田中壮一郎(悠光堂)
参考文献『入門 子供の活動支援と青少年教育ボランティア』田中壮一郎 監修(学文社)

準備学修の内容

 事前に配布する資料等を読んで授業に参加すること。また、授業で発表するための資料を準備してもらうことがある。

その他履修上の注意事項

 ゲスト・ティーチャーとして現職の行政官などの授業への参加を予定しているので、授業のテーマごとに自分の意見や質問などを準備して授業に臨むこと。

授業内容

授業内容
第1回 オリエンテーション
 ・学校教育の目的や学校に期待される役割、教育における国と地方の役割分担などについて自由に協議し、授業の目標を明確にする。
第2回 学校教育の意義・役割
 ・今日、子どもの貧困による教育格差が社会問題となっているが、明治維新における近代教育制度導入の目的や戦後教育改革時の教育に対する期待等も参考としながら、学校教育の意義・役割について考える。
第3回 「教育荒廃」の状況と背景
 ・1980年代に入り急増した中学校の校内暴力、10万人を超える高校中退など「教育荒廃」と呼ばれた状況やその背景について研究・協議する。
第4回 教育政策と想定外の現象
 ・1970年代後半の受験戦争の過熱化に関して検討し、①高校入試における内申書重視及び②大学・短大に関する「量的拡大から質的充実」への方針転換という当時の教育政策の目的と想定外の影響について研究・協議する。
第5回 臨時教育審議会答申の示した「3つの視点」
 ・臨教審の示した「個性重視の教育」、「生涯学習体系への移行」及び「変化への対応」という3つの視点の趣旨について研究し、今日の教育への生かし方について協議する。
第6回 米英の教育改革
 ・日本の改革がスタートした同時期にアメリカやイギリスも教育改革に着手しており、その背景や内容について研究し、我が国教育改革の方向性の違いについて協議する。
第7回 教育基本法改正の背景
 ・平成12年に「教育改革国民会議」が設置されたが、その背景や審議内容について研究・協議する。特に家庭や地域の役割について考える。
第8回 教育基本法の改正
 ・教育基本法の改正のプロセスと改正の意義について研究し、教育と政治、社会との関係について協議する。
第9回 教育の目的・目標
 ・新しい教育基本法の目指す教育の目的・目標について研究・協議する。
第10回 義務教育制度と学校教育
 ・新たに規定された義務教育の目的及び学校教育の役割等について、その背景や内容について研究・協議する。
第11回 義務教育費国庫負担制度と教職員定数の改善
 ・公立小・中学校の学級編制や教職員定数に関する規定やその改善の経緯、財源措置の仕組等について研究・協議する。
第12回 地方教育制度と学校
 ・教育委員会制度をはじめとする地方教育制度の仕組とその変遷、学校と教育委員会との関係について研究・協議する。
第13回 教員にとって必要な資質とその養成・向上方策
 ・教員に求められる資質、その養成制度、更に採用や待遇等について研究・協議する。
第14回 今日の教育の現状と課題①
 ・これまでの授業で一番関心の高い課題(テーマ)について、それぞれ研究を深める。
第15回 今日の教育の現状と課題②
 ・第14回の授業でまとめた課題(テーマ)について発表する。