開発社会学Ⅰ
担当者田宮  憲教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [社会学科]
科目ナンバリングSOC-313

授業の概要(ねらい)

 この講義では、発展途上国の開発問題について、主に経済学的アプローチを用いながら解説します。しかし、開発問題には、純粋な経済学的アプローチだけでは解決困難な問題が山積しています。そこで、研究者や実務家が、発展途上国のどのような社会問題に注目し、具体的な解決策を探ろうとしているのか、その典型的な事例を解説し、開発問題への受講生の理解を深めたいと考えています。
 前期の「開発社会学Ⅰ」では、具体的に以下のトピックスについて解説します。
(1)まず「開発」とは何か。発展途上国の諸データから考えられる開発問題への多様なアプローチを整理します。「開発」には多様な概念があり、研究者によって定義や対象が異なります。発展途上国が抱える数え切れない問題や矛盾の数だけ「開発問題」が存在するとも言えます。「開発」という簡単には定義できない概念をできるだけわかりやすく解説します。
(2)戦後の開発問題の歴史的変遷を整理します。1950年代から注目され始めた「南北問題」や国連が発展途上国の開発に果たした役割(「国連開発の10年」、「UNCTADの設立」など)について、順次、紹介します。また1970年代以降の新興工業国群の登場、冷戦終結後の移行経済諸国群の市場経済化などについても整理します。
(3)開発に関する理論的展開について解説します。初期の「経済発展段階説」、経済成長に関する「ハロッド=ドーマー・モデル」からマルクス主義の影響を受けた諸理論、そして近年の新自由主義的アプローチまで、順次、説明し、考え方の変遷を整理します。
(4)最後に、発展途上国における「経済開発戦略」としての貿易問題と対内直接投資の問題を考察します。
 後期の「開発社会学Ⅱ」では、上記の学修を踏まえ、発展途上国の「人口問題」、「都市問題」、「農村問題」の実態とその処方箋(実際の政策)について、具体的に検討します。また、先進国の公的部門や民間部門が、発展途上国の開発問題の解決に果たす役割を論じたいと考えています。

授業の到達目標

開発問題に関する歴史・理論・政策の基本を整理し、戦後の開発理論・開発戦略の変遷を理解することを学修目標とします。具体的には、この講義の受講によって、受講生は、(1)「開発」という概念の整理、(2)開発問題の歴史的変遷、(3)開発理論の展開、(4)実際の開発戦略の諸形態(貿易・投資)を理解し、説明できるようになります。

成績評価の方法および基準

(1)授業への主体的参加(各授業におけるリフレクション・ノート等の提出) 40%
(2)テストまたはラーニング・ポートフォリオの作成 60%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書経済開発のエッセンス辻 忠博創成社
参考文献

準備学修の内容

教科書と講義ノート等をもとに予習・復習を行ってください。各講義で、参照個所、学修範囲などを具体的に指示します。

その他履修上の注意事項

各授業ごとに、授業のまとめとして、リクフレクション・ノートを作成し、提出してもらいます。それが、単位取得の条件の一つ(成績評価の40%)ですから、出席不良の受講生は単位を取得できません。この点、しっかりと認識して、授業に臨んでください。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス
第2回開発問題とは
第3回発展途上国の特徴に関する説明(1)
第4回発展途上国の特徴に関する説明(2)
第5回開発問題の歴史的展開(1)
第6回開発問題の歴史的展開(2)
第7回開発問題の歴史的展開(3)
第8回開発問題への理論的アプローチ(1)
第9回開発問題への理論的アプローチ(2)
第10回開発問題への理論的アプローチ(3)
第11回経済発展と貿易(1)
第12回経済発展と貿易(2)
第13回経済発展と貿易(3)
第14回前期授業の振り返りを行います。ラーニング・ポートフォリオあるいはレポートの作成、簡単なテストの実施。
第15回前期授業の総まとめ