特別演習・民法Ⅲ
担当者中田 好泰
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングCIL-403

授業の概要(ねらい)

 この授業は、民法各分野の知識を基礎にして教科書の設問を検討することにより、具体的な事例を分析する能力を高め、公務員試験などの各種資格試験に対応できる力を養うことを目的しています。
 分野としては、民法の債権総論を取り上げます。債権総論はとりわけ抽象的な議論が多い分野といえることから基礎知識を板書して確認することに力点を置きます。
 また、設問の検討を進めて行く中で、実際の民事裁判の状況や弁護士の弁護活動の模様について適宜言及します。

授業の到達目標

①具体的な事例に対して条文や原理原則を当てはめて分析し解決する能力を身に付ける。
②知識の整理と確認を行うことによって公務員試験などの各種資格試験に対応できる能力を養う。
 

成績評価の方法および基準

 定期試験(100パーセント)で判断します。
 試験の形式は、①正誤問題(4問)、②簡潔な事例問題(1問)を出題しています。
 正誤問題では知識の正確性を確認し、事例問題では事例の分析能力を問うことを主眼としています。
 なお、試験に際しては、教科書・ノート・六法・電子辞書などの持込みを許可しています。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書Law Practice 民法Ⅱ【債権編】(第4版)千葉恵美子・潮見佳男・片山直也編商事法務
参考文献民法判例百選Ⅱ 債権〔第8版〕(2018)潮見佳男・森田宏樹編有斐閣

準備学修の内容

 教科書ではテーマとなる設問が各項目毎に記載されています。この設問は実際の裁判例をモデルとして作成されており、世の中で生起する現実のトラブルを感じ取る上で非常に有益です。
 そこで、この設問を読み込んで授業に出席していただきたいと思います。民法の実力の1つに事例設定能力が挙げられますが、教科書の設問の読み込みはこの事例設定能力の向上に最適といえるからです。

その他履修上の注意事項

 各種資格試験への対応に配慮していますが、事例分析能力の向上を目指していますので、法的感覚を磨くことを目標とする学生諸君の参加を希望しています。
 授業中は教科書の重要な箇所について適宜言及します。定期試験は教科書の重要箇所のチェックと板書内容を記載したノートで十分対応できるよう配慮していますので、その点に留意して授業に臨まれることを希望します。

授業内容

授業内容
第1回ガイダンス
(授業の進め方、民法の事例問題への対応、定期試験の形式等について説明をします)
第2回事情変更の原則
(事情変更の原則の意義~事情変更の原則の適用)
第3回契約交渉の一方的破棄
(契約交渉の一方的破棄に対して課される責任~責任が認められた場合の事後処理)
第4回安全配慮義務違反
(責任追及の法的構成~安全配慮義務違反の損害賠償の法的効果)
第5回特定物売買と手付
(手付の性質~手付解除の方法~履行の着手)
第6回種類債務の履行の提供と受領遅滞①
(受領遅滞の意義~引取義務と契約解除)
第7回種類債務の履行の提供と受領遅滞②
(種類債務の特定の意義~種類債務の特定と履行の提供の相違~種類債務の特定と危険の移転~受領遅滞と危険の移転)
第8回債権者代位権①
(債権者代位制度の意義~債権者代位制度の機能)
第9回債権者代位権②
(債権者代位制度の要件~債権者代位制度の効果)
第10回財産処分行為と詐害行為取消権①
(責任財産の範囲~詐害行為の類型)
第11回財産権処分行為と詐害行為取消権②
(取消しの範囲及び取消しの範囲及び取戻しの方法)
第12回詐害行為取消権の効果①
(詐害行為取消権の法的性質~受益者に対する請求)
第13回詐害行為取消権の効果②
(転得者に対する請求)
第14回総復習①
第15回総復習②