担当者 | 中谷 直司教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [社会学科] | |
科目ナンバリング | SOC-309 |
国内社会を対象とする狭義の「社会学」や「政治学」と比較した場合,国際関係論(中核を占めるのは国際政治学)の歴史は比較的浅く,本格的な発展を始めるのは第2次世界大戦後からである。しかし(だから?),入門書を少しひもとけば分かるように,国際関係の事象(戦争,平和,協力,グローバリゼーション,南北格差,環境問題,貿易摩擦,非国家主体の台頭etc)を説明するための理論やアプローチは,多くのものが乱立している。このため,各理論やアプローチは,自身の説明能力の優秀さと時代や地域を越えた普遍性を主張するが,総体としての「国際関係論」は,どの理論・アプローチを採用すべきかまではまだ,自信を持ってわれわれに教えてくれない。
もっとも,各理論・アプローチは,その普遍性の主張とは裏腹に,特定の時代状況や地域的な問題に強い影響を受けて生み出されてきた。よって本講義では,最初に「国際社会」の基本的な特徴を確認した上で,国際関係論の発展過程を国際政治史の展開と併せて概観することで,代表的な理論・アプローチの特質と,その背後にあった問題関心を説明する。
以上の講義を通じて,国際政治学を中心とする国際関係論の基礎的な考え方を習得することを目指す。なお国際政治/国際社会の理解には近代以降の世界史(国際関係史)の知識が不可欠である。しかし(!)受験のような詳細な知識は必要なく、年号の「暗記」となると全くいらない。大きな文字で70ページほどの木畑洋一『国際体制の展開』(山川出版社[世界史リブレット54],1997年)の各章に授業内容に合わせて事前に目を通せば,スムーズに講義の内容に入ることができよう(このため教科書に指定してある;ただし授業中に直接読み上げたりはしない。また同書は国際関係史の基礎的なテキストで、国際関係論のテキストではない)。
・国際社会/国際政治とそれを分析対象とする国際関係論についての基本的な知識・考え方を習得する。
・とくに国際政治学の二大潮流であるリアリズムとリベラリズムのそれぞれの特長と問題点を理解する。
・授業参加20%:毎回コメントペーパーを提出してもらう。単なる出席は加点対象としない。
・ブックレポート30%:授業で習得する国際関係論の知識を踏まえながら,関連文献の要約(ポイントの解説)と,その内容についての考察を行ってもらう。新書中心の課題文献リストを授業開始後に配付する。
・期末試験50%:暗記能力ではなく,授業で解説した国際関係に関する基本的な知識と,国際政治学的な問題理解の方法を適切に理解しているかどうかを評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 国際体制の展開 | 木畑洋一 | 山川出版社 (世界史リブレット) |
参考文献 | 『政治学 補訂版』 第7~9章,第14章,第16章 | 久米郁男 ほか編 | 有斐閣有斐閣(有斐閣ストゥディア) |
参考文献 | 『国際政治学をつかむ 新版』 | 村田晃嗣 ほか | 有斐閣有斐閣(有斐閣ストゥディア) |
参考文献 | 『国際関係理論 第2版』 | 吉川直人、野口和彦 | 勁草書房 |
参考文献 | 『国際政治史──主権国家体系のあゆみ』 | 小川浩之, 板橋拓己, 青野利彦 | 有斐閣(有斐閣ストゥディア) |
・授業の進度にあわせて、木畑『国際体制の展開』に事前に目を通す(章・ページは授業時に指示)。
・授業内容を踏まえつつ、各自ブックレポートの作成を進める。分量はA4で2枚程度(新書中心の課題文献リストを授業開始後に配付)。
(1)講義は配付する資料(レジュメ)を用いて行う。あわせて、関連するビデオ教材なども使用し、理解の促進を図る。
(2)講義では毎回コメントペーパーを配付し、授業に対する感想・質問を書いてもらう。質問については、2~3をピックアップし、次回の授業冒頭で回答する。
(3)受講生の関心に応じて、進度や内容を一部調整することがある。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 国際関係論(国際政治学)の特徴 |
第2回 | 国際「社会」(政治)の特徴――国内社会(政治)との対比で |
第3回 | 主権国家体系の拡大と「国民国家」の普及 |
第4回 | リアリズムとリベラリズム――国際関係の2つの見方 |
第5回 | 国際政治学の誕生──第1次世界大戦までの国際政治史1 |
第6回 | 国際政治学の誕生──第1次世界大戦までの国際政治史2 |
第7回 | 戦間期の理想主義とE.H.カーの批判 |
第8回 | 冷戦はなぜ起こったか──第二次世界大戦終結前後の国際政治史 |
第9回 | 第2次大戦後の国際政治学の発展1――3つの大論争の背景と結果 |
第10回 | 第2次大戦後の国際政治学の発展2――理想主義からリベラリズムへ |
第11回 | K.ウォルツ以後の国際政治学1――覇権安定論,レジーム論 |
第12回 | K.ウォルツ以後の国際政治学――新自由主義制度論2 |
第13回 | 冷戦後の国際政治学1――コンストラクティヴィズムの登場 |
第14回 | 冷戦後の国際政治学2──合理的選択論の国際関係論 |
第15回 | 講義の総括 |