日本文化研究(書論・鑑賞)Ⅰ
担当者中村 健太郎教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [日本文化学科]
科目ナンバリングJLT-317

授業の概要(ねらい)

 日本文化のなかでも、特に書道文化・文字文化に関連する文化事象を理解することを目的とする。書道分野の研究では、関連する学術分野(国文学や歴史学、美術史学など)を視野に入れた、多様な研究の方法論について理解し、実践できる能力を身に付けることが求められる。これは、日本文化としての書を、さまざまな視点からアプローチする能力を獲得することで、異分野領域の研究との連結が可能となり、新たな知見や考察が可能となるためである。本授業では、各研究領域へとつながる可能性を持つ、日本の書道文化・文字文化について理解を深めてもらいたい。
 まずは、近代以前に毛筆で記録された古典籍や古文書を実際に解読する基礎知識を学び、独力で文献資料を解読できる技能の習得を目指す。資料内容の解読を通して、日本における書文化の奥深さと広がりについて学習し、広い視野から日本文化を考えられる能力を修得することを目標に講義を行う。

授業の到達目標

 ・日本文化と書の関連について、具体的な事例を挙げて説明できる。
 ・基本的な変体仮名の判読ができる。

成績評価の方法および基準

 ・レポートの提出(4割)と、授業時間内の小テストおよび、授業への積極的な参加状況等を合計した平常点(6割)で評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献『和様の美 かな古筆名跡便覧』福井淳哉淡交社

準備学修の内容

 ・美術館、博物館などの常設展や特別展を利用して、実物鑑賞の機会を多く持つように心掛ける。また、参考文献や授業時間内に配布するプリントを活用して、予習と復習を行う。

その他履修上の注意事項

 ・第1回目の授業の冒頭で、本科目の到達目標やレポート課題、成績判定方法について説明を実施する。履修希望者は例外なく必ず出席し、履修希望票(第1回目の授業時間内に配布)を提出すること。
 ・レポートは、美術館・博物館の見学が必須となる。授業内容に関連する書の作例を実際に見学し、書写年代や筆者、書風の特徴などを自分で調べ、レポートにまとめる。
 ・それぞれ異なる視点から書をとらえることを目的とするため、既成の書道概念にとらわれず、柔軟な思考を持って授業に臨んでもらいたい。

授業内容

授業内容
第1回 授業の目的と内容、授業の進め方、評価の仕方など
第2回 日本書論と中国書論の概要
第3回 日本の書論『夜鶴庭訓抄』(1)成立と概要
第4回 日本の書論『夜鶴庭訓抄』(2)本文内容の判読1
第5回 日本の書論『夜鶴庭訓抄』(3)本文内容の判読2
第6回 日本の書論『夜鶴庭訓抄』(4)本文内容の判読3
第7回 日本の書論『夜鶴庭訓抄』(5)享受の歴史と影響
第8回 日本の書論「近世の入木道伝書」(1)中世から近世への伝承
第9回 日本の書論「近世の入木道伝書」(2)本文内容の判読1
第10回 日本の書論「近世の入木道伝書」(3)本文内容の判読2
第11回 日本の書論「近世の入木道伝書」(4)本文内容の判読3
第12回 日本の書論「近世の入木道伝書」(5)本文内容の判読4
第13回 日本の書論「近世の入木道伝書」(6)近代書論との接点
第14回 研究領域を横断する書跡資料研究の可能性
第15回 日本の書論と日本文化