開かれた学級・学年経営と実践研究
担当者赤堀 博行教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [教職研究科]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 授業は、ティーム・ティーチングの形態で行う。
 学級・学年・学校経営を学校内外に開く必要性を認識し、教職員、児童生徒、保護者等に開かれた学級・学年・学校経営の在り方を探究する。また、教育と医療連携の視点を踏まえた学級・学年・学校経営について考察する。更に、模擬保護者会のロールプレイングを体験し、様々な課題解決の力量を高める。

授業の到達目標

 <A類学生>
 ・教職員や保護者・地域の方等の理解と協力を得て開かれた学級経営を進めようとする態度を身につけることができる。
 ・学校運営組織のチームメンバーとして責任をもって役割を遂行し、児童生徒の望ましい成長・っキャリア発達を指導するために、自主的に研究できる。
 <B類学生>
 ・同学年の学級担任が開かれた学級経営を推進するよう具体的に助言し、援助することができる。
 ・学級・学年経営の研究を通して企画力・調整力・問題解決力・指導力等を高め、実践できる。

成績評価の方法および基準

 レポート、振り返り(50%)、ロールプレイング、グループワークへの参加・活動状況の観察による評価(50%)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 特定のテキストは使用しない。
参考文献自己組織化する学級蘭千壽・高橋知己(誠信書房、2008)
参考文献学級の社会学蓮尾直美・安藤知子編(ナカニシヤ出版、2013)
参考文献<学級>の歴史学柳治男(講談社選書メチエ、2005)
参考文献新しい学校・学級づくりと授業改革日本教育方法学会編(明治図書、1998)
参考文献学級経営実践講座 第1巻~第6巻下村哲夫・天笠茂・成田國英(ぎょうせい)ほか。

準備学修の内容

 実習校を中心に、日常的に、開かれた学級・学年経営の視点で学校の実際を見たり資料の収集をしたりして取り組みの実態を把握する。

その他履修上の注意事項

 学級というものの成り立ちを、ある時は歴史社会的にマクロに捉え、ある時は子どもの学び空間としてミクロに観察できる、複眼的で弾力的な知性を養うことを期待する。

授業内容

授業内容
第1回 オリエンテーション
 科目のねらいと授業計画 到達目標と自己課題の設定 授業内容に関する問題意識と経験の交流
第2回 学級・学年と学級担任・学年担任の役割
 教育組織としての学級・学年の意義や機能について、歴史的・制度的視点から考察を深めるとともに、学級・学年経営の内容・領域や特徴、学級担任の役割につて理解を図り、その問題点や課題を整理する。
第3回 学級経営、学年経営、学校経営とその課題
 学級・学年・学校、3つの組織の特性と関係について考察し、学級経営、学年経営、学校経営の問題や課題をあげ、それらを開くことの意義を問い直す。
第4回 開かれた学級経営の実践① ―教育課程の経営と学級集団づくり
 学級における教育課程の円滑な実施のために、学級担任はどのような教育活動・経営活動を行う必要があるのか、B類学生がこれまでの実践を紹介し、A類学生とともに協議する。更に、学級の児童生徒が自主的・主体的に学習する集団を形成するための取り組みについて探究する。
第5回 開かれた学級経営の実践② ―学級生活の向上と学級集団づくり
 学級における児童生徒の生活や行動、人間関係の実態を調べ、児童生徒理解を深めるとともに、学級目標、学級生活のきまりや組織(当番や係、生活班等)を決めて、児童生徒の主体性や創造性を生かす学級集団を育成するための取り組みについて探究する。
第6回 開かれた学級経営の実践③ ―教室環境の整備と学級事務の遂行
 実際の教室環境において、施設・設備、教材教具、掲示等を観察し、生活・学習の場として児童生徒に開かれた教室環境づくりについて探究する。また、学級担任が行っている学級事務の内容や処理の仕方を調べ、開かれた学級経営に資するあり方を探究する。
第7回 開かれた学級経営の実践④ ―教職員との連携・協力
 連携協力校や勤務校の1学級を選んで、管理職、学年主任、学年担任、養護教諭、栄養職員、スクールカウンセラー等、学級・児童にかかわる職員とその指導・援助の内容・方法を調べ、新たな連携の可能性も加えて学級経営組織図を作成する。
第8回 家庭・地域に開かれた学級経営の実践① ―保護者・地域住民との連携・協力
 ・保護者、地域住民と連携して学級・学年経営を展開するため、情報の開示・収集・交換や双方向コミュニケーションの仕組み、学級・学年保護者会の組織・運営、学級・学年教育活動への参加・協力・支援・援助等について具体的に検討する。
 ・コミュニケーション、連携の1つとして、学級だより、学年だよりを収集・分析し、内容や表現にどのような想いや意図、配慮や工夫がなされているかを捉え、それらを参考にしながら自分が作成する学級だよりを構想する。
第9回 家庭・地域に開かれた学級経営の実践② ―学級だよりの作成
 前回の研究に基づいて、在籍校や実習校等の一学級を想定して、題名、内容構成、レイアウトを決め、取材、文章表現等を進めて、学級だよりを作成する。
第10回 模擬保護者会による開かれた学級・学年経営の実践研究①(ロールプレイング)
 A類学生は新任学級担任を、B類学生は保護者等の役割を分担して、模擬保護者会を開くための事前準備を行う。学校、学年、学級、開催時期、当面する課題等を想定して、議案や会議の内容、進め方について相談し、それぞれの役割に応じて準備を進める。
第11回 模擬保護者会による開かれた学級・学年経営の実践研究②(ロールプレイング)
 役割分担にしたがって、模擬保護者会を実施する。実施後、自己評価、相互評価を行い、開かれた学級・学年経営におけるリーダーシップ、チームワーク向上の課題を整理する。
第12回 開かれた学級・学年経営と課題への取り組み①(グループワーク)
 キャリア教育の推進、規範意識の醸成、いじめ根絶、教育と医療連携、通常学級における特別支援教育の推進など、グループ毎に学級・学年経営の課題を選択して先行事例について調査・研究を行いリーフレット(あるいは論文)を作成する。
第13回 開かれた学級・学年経営と課題への取り組み②(グループワーク)
 各グループが選択した学級・学年経営の課題について行った研究を報告し、その事例を共有するとともに、これからの学級・学年経営のあり方について協議しリーフレット(あるいは論文)を作成する。
第14回 開かれた学級・学年経営案の作成①
 ・教育課題の達成を目指して、開かれた学級経営、学年経営を実現するためにどのような経営案が求められるのか、内容や様式、活用の仕方を検討して、学級・学年経営案の作成に取り組む。
 ・A類学生は、学級経営案を作成する。
 ・B類学生は、学年経営案(学校経営案)を作成する。
第15回 開かれた学級・学年経営案の作成②
 作成した学級経営案・学年経営案について協議と質疑を行い、再度検討を加え、学級経営リーフレット(または論文)を仕上げる