エネルギー経済Ⅰ
担当者中西 俊裕教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECP-225

授業の概要(ねらい)

社会を動かす原動力となっている石油、天然ガスなどエネルギーに関し経済的な観点から理解を深めるのが狙い。エネルギー問題についての過去や近年の事例を学ぶことを通じ、一国の経済や国際市場がどのようなメカニズムで動き、どんな要因の影響を受けるかを論理的に考える習慣をつける。

授業の到達目標

エネルギーと経済のかかわりについて実例を挙げて他者に説明できるようになること。環境問題、国際政治などの要因が主要エネルギーの変遷を促してきたことを理解し、分かりやすく論述できるようになること。

成績評価の方法および基準

中間レポート20%、小テスト・積極性など授業態度20%、期末試験60%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書プリントを毎回配布します
参考文献エネルギー政策論高橋洋岩波書店
参考文献エネルギー白書2019年版経済産業省経済産業調査会
参考文献中東和平 歴史との葛藤中西俊裕日本経済新聞社
参考文献地殻変動する国際エネルギー資源業界中津孝司創成社

準備学修の内容

 次の回の講義テーマに関し新聞やインターネットで基本事項について自発的に調べること。随時キーワードなどを提示するのでそれを調べること。

その他履修上の注意事項

 授業中の私語は禁止。期末試験を受けるには原則として60%以上授業に出席することが前提条件となります。

授業内容

授業内容
第1回【イントロダクション】エネルギーとは、授業の進め方など基本事項を説明。
第2回【エネルギーの歴史】人力、家畜に頼っていた時代から技術進歩によって蒸気船、機関車、自動車など様々な輸送機関が発達しそれに応じて主要エネルギーも変遷してきた。その変化によって貿易・投資などの経済活動が世界規模で拡大していった歴史的な経緯を概観する。
第3回【石油】経済社会を動かす血液のような存在になっている石油について、生産地の分布、用途の多様性、汎用性などに関する基礎的な理解を進め、価格変動が経済に与える影響、エネルギー全体に占める重要度や今後の展望について考える。
第4回【天然ガス】化石燃料の中で二酸化炭素排出量が少ないエネルギーとして注目される天然ガスについて、加工、輸送を含め多大なコストがかかる事業としての側面から、利用のメリットのほか、流通市場拡大と取引手法の変革へ向けた努力について考察する。
第5回【再生可能エネルギー①】二酸化炭素排出拡大への懸念から高まった再生可能エネルギーの普及機運について概論する。国内外の事例を検討しながら太陽光、風力、バイオマスなど分野別に普及の度合いや特徴を学ぶ。
第6回【再生可能エネルギー②】再生可能エネルギー普及を巡っては、日本を含め各国で政策的な支援が行われている。補助金拠出を含む利用促進へ向けた仕組み作りやその効果についての具体例、克服すべき課題について考える。
第7回【原子力】原子力発電の誕生から、石油危機を境に進んだ原発利用、さらにチェルノブイリ、福島などで起きた大規模事故までを紹介し、原子力利用を巡る課題と産業としての原子力が持つ側面についても考察する。
第8回【エネルギーと世界経済】2次に渡る石油危機は世界経済に大きな衝撃を与えた。物価上昇と景気の停滞の同時進行をもたらした第1次石油危機、日本が財政金融政策、省エネ政策で景気への影響を抑えることに成功した第2次石油危機を題材に、エネルギー問題が実態経済に与える影響について考える。
第9回【エネルギーと国際政治】米国でしばしば問題となる資源開発と環境保全のバランス、ロシアと欧州のエネルギー協力、シーレーン防衛などの事例を対象にしてエネルギー供給を政治的な観点から眺めて、当事者間の利害について検討する。
第10回【エネルギーと中東①】中東諸国を中心に運営される石油輸出国機構(OPEC)の市場シェアは全盛期より低下したが、その影響は無視できない。近年非OPEC主要国との減産合意など影響力を取り戻してきた背景とサウジアラビアを核とする主要加盟国の意思決定について論じる。
第11回【エネルギーと中東②】紛争が絶えない中東からの石油供給の途絶は、常に世界経済の関心事である。その懸念の背景にあるアラブ・イスラエル紛争、近年価格変動に影響を与える米国とイランの対立など地政学的な角度から中東とエネルギー問題の関係を検証する。
第12回【エネルギーと環境①】化石燃料などが原因の酸性雨問題、チェルノブイリ原発、福島第一原発などの事故に代表される原発問題は、エネルギー利用と環境を巡る問題の解決の難しさを示す。1970年ごろからの環境の保全とエネルギーの効率的利用とのバランスをとる努力の軌跡をたどる。
第13回【エネルギーと環境②】二酸化炭素(CO2)排出問題について国際社会は共同して対処する方策を検討し続けている。パリ協定の成立、国際会議COPでの議論の内容を基礎として先進国と新興国の意見対立、国際的な連携へ向けた課題と解決策を探る。
第14回【日本のエネルギー政策】政府が考える石炭、石油、再生可能エネルギーなどの基本構成を理解し、その実現への課題と問題点について履修。
第15回まとめと期末試験