ECCP(論理的思考)Ⅳ
担当者
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングSEM-304

授業の概要(ねらい)

 ECCPの必修科目A(論理的思考)Ⅲの継続として。ECCP参加資格者を対象に行います。実社会で求められる論理的思考力をつけることを目指します。人に読ませられる小論作成を通じ、その力を養成します。学生諸君がこれまで国語として読み書きできて当たり前と考えてきた「日本語」を、英語など外国語と同じようなものとしてとらえ直し、社会におけるコミュニケーションの道具として学び直してもらいます。「日本語」を母国語としてしかとらえていなかった過去から離れ、客観的な視点をもって再学習します。ただし、クラスは作文教室ではないことを明確に理解しておいてください。基本的な作文能力は前提条件です。前期を踏襲した形でクラス講義を行います。
 春季に引き続き現代日本が直面する経済・政治・社会・外交など諸問題を材料として知識を増やし、小論にまとめます。社会事象を説明し、あるいは小論文にまとめると、日本語の組み立てがどうなっているか、的確に情報を文章に込めるコツとは何か、を習得する素材として折にふれ、新聞社説を利用します。自分の論理思考のあとをたどるには書くことが一番の道。そこから自己点検と進歩への第一歩が始まる。「おしゃべり」で養成はできません。

授業の到達目標

 論理的思考力の基本は数学です。ただし、私たちが直面する日常の諸問題を数学の問題を解くように理解したり、解決したりできるわけがありません。そこが論理思考の難しい点なのです。それでもできるだけ情報を整理し、自分の考え方を他人に理解してもらう技術を磨く必要があります。それがこのクラスでいう論理思考力です。そのために、テーマについて一定のスペースで簡潔にまとめていく練習をたくさん重ねる必要があります。関連する分野の知識を確かなものとし、きちんと駆使して自分の意見や小論に反映できるようになることを目指します。的確に日本語を使えるようになることが何よりも必要です。また、そうした訓練は社会人になってからも継続を求められるものです。

成績評価の方法および基準

 前期に準じます。途中で数回行う小論作成、レジュメ作成、意見発表(以上50%)、最終小論文(50%)で総合評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書全国紙(日経、朝日、読売が主)社説や長文記事コピーを用意する。そのほか、時事的問題点の長文解説記事のコピーなど適宜使用します。DVD映像記録なども資料として見て討論します。
参考文献

準備学修の内容

 自分の発言や小論を良いものにするには調査と確認作業が不可欠です。学生諸君は常に知識量をあらゆる分野で増やすことが大切です。不確かな知識をもとに議論したり、持論を展開するのはもっとも評価されません。インターネットの活用はもちろん、図書資料活用を奨励します。

その他履修上の注意事項

 国語辞書あるいは電子辞書は必携です。講義中でも不明なことばを辞書でどしどし調べてください。また、教室へ来ないと、訓練のプロセスに参加しないことになるので、出席して訓練に参加することが自分のためになると思って臨んでください。逆に過去、出席と訓練をこなしさえすれば、良い評価を得られると勘違いした学生が少なくありませんでした。自分に何が身につくか、それが一番大切なポイントです。テレビニュースや新聞等で社会で問題となったり、話題となったりしていることに日々目を向けること。関連したことを調べること。日頃の努力を怠らないように。

授業内容

授業内容
第1回 講義ガイダンス、春季講義の総評と前期小論テストの講評を行い、もう一度クラス目標を確認する。
第2回 2020東京オリンピックに関連するテーマを設定し、映像資料などを通じて小論を作成する。
第3回 外国人労働者問題を考える。日本の労働力不足を補う目的で、技能実習生という名目でベトナム、中国などから若者を受け入れ拡大に踏み切った。その彼らの実態を知ることで、数字上のつじつま合わせで外国人労働者を受け入れることが、何をもたらすか。映像資料で考える。
第4回 上記のテーマに関連して、酷い労働実態を強いられたベトナム人若者の救済にあたっている在日ベトナム人僧侶の録画インタビューを観る。その投げかけたメッセージを受け止め、小論作成を行う。
第5回 日本の観光立国の目玉とされるカジノ併設総合レジャー地域IRをめぐる問題。政界汚職事件にまで発展しているカジノ開業が何をもたらすか。成否両面を考える。
第6回 象牙の国際規制と印鑑文化の行方。国際社会の流れと国の伝統文化の対立
 主張レジュメ作成(2017年のテーマ)
第7回 イギリス人の日本社会学者がまとめた「ラーメンが教える日本と中国の深い歴史的関係」を読み、考察する。ラーメンの由来と、日本における繁栄、そしてさらに世界の都市で愛される食べ物となった食を、イギリス人社会学者がどう客観的に見ているかを知る。
第8回 安藤百福が考案したカップラーメンがもたらした食における「イノベーション」を考える。カップラーメン誕生から60年で日本から世界を席巻したそのいまを知る。論者たちの意見を考え、小論を作成する。
第9回 文化とビジネス 伝統はどうあればビジネスとなるのか。新聞論説を議論
第10回 冷たい社会論とは、海外の危険地帯で拘束されたフリーランスのジャーナリストの解放をめぐり、国が救済する対象ではないという意見が上がり、自己責任社会という用語とともに世論をにぎわせた。海外で窮地に陥った同胞の救済とはどこまでなされるべきか、考察し、小論作成を行う。
第11回 領土問題を考える。ロシアが立ちふさがる日本の北方領土、韓国と争う竹島、中国と係争中の尖閣諸島と、日本の海の国境線は緊張関係にある。紛争に発展しかねない領土問題が何を教えるか、考察する。
第12回 ラグビー・ワールドカップが教えたスポーツを通じて世界と共生する道。オリンピック後の日本人とスポーツの関係を考える。
第13回 小論作成予備日。これまでのテーマから選定して小論作成を実施する。
第14回 設定したテーマによるクラス討論
第15回 まとめと最終小論テスト。長文の論説を読み、設問に回答する形で小論作成力量のレベルを判定する。