世界の情勢(ヨーロッパ)Ⅱ
担当者
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングARS-104

授業の概要(ねらい)

 ヨーロッパの今日を理解するために歴史、社会、政治、経済、文化、暮らしを総合的に学びます。とくに第二次大戦後のヨーロッパを講義テーマとします。そこで戦後の歴史を欧州全体の流れとともに、イギリス、フランス、ドイツといった主要国などの各国事情を学んでもらいます。他国を学ぶことにおいて、全体像を学ぶことが大切。今日のヨーロッパは前大戦が与えた甚大な損害から復興に励み、世界に先駆けた国際的地域連合の建設を目指してきました。それが現代の欧州連合(EU)です。
 20世紀に起きた二度の戦争は社会や政治、文化あらゆる分野において、それまで世界をリードしてきたヨーロッパの地位を根本から覆したのです。そこからいかにして復興を果たし、伝統と文化を再び蘇らせて世界的地位の復権を目指したか。同じように戦争から復興し、経済大国となった日本と比較しながら、理解していくようにしたい。ヨーロッパの歴史・社会・文化を学ぶ上では映像資料、とくに戦後制作された映画は重要な教材となりえます。講義でも機会あるごとに必要な映像資料を観てもらい、学生諸君の理解を助けるために活用していきます。

授業の到達目標

 前期に準じますが、戦争とその後の東西冷戦によって運命を翻弄されたポーランドや東ドイツなどを学ぶことで、いま繁栄と平和を謳歌している国々が深い傷をおっている背景を理解してもらいます。また、明治維新からこれまで日本に大きな影響を与えてきたヨーロッパを、日本との関係という視点から学ぶことにもチャレンジしたい。後期ではとくに、東西冷戦を終焉へと導く始まりとなったヨーロッパの若者たちの運動に注目して、自由を求めた若い世代の変革へのエネルギーを学んでもらいたい。

成績評価の方法および基準

 前期を踏襲します。毎回の講義内容をどれほど理解し、知識として蓄積できたか最終回の講義内テストで考査します。最終テストは講義で触れた内容を理解できているかと、論述の二部構成で行います。講義で配布された資料や自分でノートテイクした内容をよく理解しておくこと。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書前期同様、講義ごとにプリント資料を配布する。講義で使用する映像資料は使用教室や事情によって変更ないし中止する場合もあるので注意すること。
参考文献

準備学修の内容

 ヨーロッパ全体に関した本や映画、解説書を自分の関心にそって読んでおくと良い準備になる。前期と同様に映画やドキュメント映像を多く使いますから、映画鑑賞の時間ではないのだから、教材としてみてもらうのでノートをとり、関連した本などで知識を深めていくことを求めます。基本的知識の確認と蓄積につとめること。ノートをよくとり、記憶を確かにしていくよう努力することです。

その他履修上の注意事項

 映像資料を観る際、ノートをとっておくこと。関連した他の映像資料、映画をMELICで観てみることを勧める。基本的な受講ルールは他の講義と同じ。それに違反し、何度か注意をうけるような場合、講義受講を禁止することもありえると心得ておいてほしい。

授業内容

授業内容
第1回 後期ガイダンス 前期テストを講評し、受講者の論述力の問題点を指摘する。そのうえで後期テーマを概説する。
第2回 現代スペインの素顔。NHk番組を参考に現代のスペインの現状と問題、そして民主主義国家として遅れて再出発した国の現代史を学ぶ。
第3回 ポーランドというヨーロッパの中央に位置したがために、大国のはざまで翻弄され、国家を失う体験を繰り返した国について学ぶ。
第4回 ドイツとEU.欧州を動かす機関車であるドイツは、かつて東西に分断されていた。ドイツ統一が本当の意味で大戦の終焉ともいえたのだが、いまやEUというヨーロッパ全体の運命を左右する国になっている。
 その現実を解説し、学ぶ。
第5回 イギリスのEU離脱が実現して、欧州連合の将来はどうなるのか。前期に触れた問題を今度は欧州連合全体の歴史を踏まえながら、考える。
第6回 フランスの今日の素顔。NHKの番組を使い、ふだんの市民生活を紹介し、合わせて現代フランスの政治・社会問題について解説して学ぶ。
第7回 戦後欧州で起きた若者たちの反乱と、掲げたスローガンが以後の世界の価値観を変えた。1968年のパリ五月革命とプラハの春を学ぶ。
第8回 ヨーロッパにおける難民問題の今日。難民急増が欧州各国で保守化・右傾化を進行させている。その現状を解説する。
第9回 ドイツとフランスが抱える歴史の暗部。どの国にも暗い歴史と過去がある。独仏という欧州を代表する大国も例外ではない。それを学ぶことで、彼らがどう歴史を乗り越えようとしてきたかを知る。
第10回 消えた国家、東ドイツを考える。ドイツを二つに割り、1990年まで存在した東ドイツという、今や歴史でしか残らない国について学ぶ。
第11回 欧州経済を支える統一通貨ユーロがどう誕生したか、その世界的意義や、実体経済における存在力を学習する。
第12回 ヨーロッパの政治指導者モデルとして第二次大戦の運命を決めたイギリスの指導者チャーチルについて学ぶ。映画『世界を救った男 チャーチル』の前編と解説
第13回 政治指導者を考える映画チャーチルの後編と解説 
第14回 ヨーロッパを学ぶことがなぜ重要なのか。人権の普遍的価値(フランス)議会制民主主義(イギリス)を考え、現代の我々がヨーロッパを学ぶ意味を再考する。
第15回 まとめと最終講義内テスト