社会統計学Ⅰ
担当者池 周一郎教員紹介
単位・開講先選択必修A  2単位 [社会学科]
科目ナンバリングSTS-101

授業の概要(ねらい)

 統計学は英語に並ぶ国際共通語で、社会の様々な問題について意見を主張をするときに欠くことのできない言葉である。この言葉について基礎的な知識を学ぶことは、社会科学の基礎である。社会学においても、統計学は社会調査などの基本的なツール(道具)である。社会調査を設計するときに統計学の知識は欠かせない。
 現代の社会学に限らず、マスコミの報道等もますますデータの裏付けを求める傾向にある。統計学の素養なくしては、さまざまな社会調査の結果として出されたデータの分析結果を理解することもできないし、ニュースの内容の正確な理解も覚束ない。統計学は、ある社会的な問題を実証的に検討するときに欠かすことのできない言語なのである。この技術―言語は、ビジネスの社会でも有用な武器である。大学で統計学を学び、統計分析を操れる技術を身に着けたということは重要なPR項目である。
 ひとくちに統計学といっても、その内容は推測統計学と多変量解析等のデータ解析法に分類できると思うが、前期の社会統計学 I では、主に基礎的な推測統計学を解説する。「少ないデータからどのように正確に全体を推測するか」という社会調査の精度の問題を自覚的に意識し、区間推定や必要なサンプル数の計算などができるようになることを目標とする。
 統計学を、解き方を覚えるのではなく、論理的に理解することは、なによりも論理的な理解力の鍛錬となります。そして統計学に内在する問題にも気づくことができれば、水準以上の統計分析家となることでしょう。

授業の到達目標

 推測統計学の基本的な考え方を学び、標本調査には必然的に誤差が含まれることを理解する。調査して集計された数値をどの程度信頼してよいかを、中心極限定理から評価できるようにする。そして信頼区間まで到達し、更に小標本の区間推定へも到達する。

成績評価の方法および基準

 宿題・課題の達成度と中間テスト15%、LMSの課題が20%、試験の得点60%、平常点5%として評価する。平常点は少ないが、出席が不要という訳ではない。講義に出ないとほとんど理解できないから出席は当たり前だということである。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『初等統計学』P.G.ホーエル(培風館)
参考文献

準備学修の内容

 この科目は、予習より復習に重点を置いてもらいたい。前もって教科書の該当章を読んでおいて疑問点を明らかにしておく程度で予習は十分であるが、復習と課された課題は必ず学習して答えをきちんと求めておくことが必要である。以下に授業後の予定する課題を示す。また、LMS上の指定された課題を処理することが求められる。
【第1回】が終わったら
 母集団からの抽出実験をおこなう。
【第2回】
 例題の標本データを整理して度数分布表やヒストグラムを作成する。
【第3回】
 例題データによる記述統計量の計算
【第4回】
 分散、標準偏差等の計算練習
【第5回】
 正規分布の確率密度のシミュレーションをおこなう
【第6回】
 正規分布のグラフを描く
【第7回】
 標準得点を計算し、分布における位置を把握する
【第8回】
 中間テストの見直しを行う
【第9回】
 サンプリングに関する課題を考察する
【第10回】
 中心極限定理について自分の言葉で理解をまとめる
 例題データに関して標準誤差を計算し、標本平均の分布を求める
【第11回】
 標本数に関する公式により必要な標本数を求める
【第12回】
 大標本法による区間推定を例題データに関しておこなう
【第13回】
 割合p の推定
 二項分布の正規近似を用いた割合p の推定を例題データで行う
【第14回】
 スチューデントのt 分布をシミュレートする
【第15回】
 小標本の区間推定を例題データから行う

その他履修上の注意事項

 テキストは必ず用意してください。足し算と掛け算ができ、やる気さえあれば必ず理解できるはずです。練習問題を解くために電卓が必要です。社会統計学は、資格(社団法人:社会調査協会認定の「社会調査士」)取得のための必修科目ですから、是非単位取得してください。
 わからないことはそのままにしないで、すぐに質問してください。それから宿題等で復習をしてください。復習が必要です。

授業内容

授業内容
第1回 統計学とはなにか(母集団と標本)
 統計と統計学の違いを理解させ、母集団と標本という概念を理解する
第2回 標本データの整理と記述統計量
 標本データを整理して度数分布表やヒストグラムを作成したりする。モード
第3回 記述統計量
 中央値、平均値、母分散、標本分散、母標
 準偏差、標本分散
第4回 記述統計量の計算練習
第5回 確率論の基礎
 確率変数、加法定理と乗法定理、ベイズの定理
第6回 主要な確率分布(1)
 二項定理、二項分布、ポアソン分布
第7回 主要な確率分布(2)
 正規分布、標準化と標準得点、標準正規分布の確率密度
第8回 主要な確率分布(3)
 二項分布の正規近似 このころ中間テストの実施を予定している
第9回 ランダム・サンプリング
 ランダム・サンプリングと誤差の分布
第10回 標本平均の分布
 中心極限定理とz、標準誤差
第11回 区間推定と標本数
 点推定と区間推定
第12回 大標本法による区間推定
第13回 割合p の推定
 二項分布の正規近似を用いた割合p の推定
第14回 スチューデントのt 分布
 小標本の推定
第15回 区間推定から統計的検定へ