EU法Ⅰ
担当者大道寺 隆也
単位・開講先選択  2単位 [法律学科 2017年度以前]
科目ナンバリングPUL-305

授業の概要(ねらい)

欧州連合(European Union, EU)がどのような仕組みと特徴を持つ機構なのかを学習します。EUという名前は広く知られている一方、EUに関する誤った理解もしばしば見られます。そこで、EUという機構の歴史、権限(EUに何ができて何ができないか)、意思決定(誰がどのように物事を決めているか)、裁判の仕組みの4つの側面について説明していきます。EUに関する正確な知識と、それに基づく自分なりの意見が持てるようにすることが狙いです。

授業の到達目標

(1) ヨーロッパ統合がどのような歴史を踏まえて、なぜ始まり、どのように推移したのかを説明できる。
(2) 現在のEUの権限や意思決定、司法制度の概要や特徴を説明できる。
(3) 「欧州委員会」や「先決裁定手続」といった基本的なEU用語を説明できる。
(4) EU関連のニュースを正確に、できれば批判的に、読み解けるようになる。

成績評価の方法および基準

学期末試験の点数(70%)に平常点(30%)を加味して評価します。平常点は、授業での発言や質問、ならびに毎回のコメントシートを鑑みて算定します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『EUとは何か——国家ではない未来の形——[第3版]』中村民雄信山社
参考文献『EU法』中西優美子新世社
参考文献『新EU法・基礎篇』庄司克宏岩波書店
参考文献『EU法基本判例集[第3版]』中村民雄・須網隆夫編日本評論社

準備学修の内容

・EU(法)の初学者を対象としているので、前提知識は不要です。
・復習を重視します。授業で触れた言葉や判決の意味を、教科書や参考書などを使いながら確認してきてください。
・EU関連ニュースにアンテナを張ってみてください。

その他履修上の注意事項

・履修条件等は特にありません
・後期「EU法II」では異なる角度からEUを勉強します。「II」の受講を考えている方は、「I」と通して受講すると、より理解しやすくなると思います(必須ではありません)。

授業内容

授業内容
第1回導入
なぜ、日本に住んでいる私たちがヨーロッパの機構であるEUとその法を学ぶべきなのでしょうか。EUについて学ぶことの意義を考え、また、授業の進め方を確認します。
第2回現在のEUの姿
現在のEUはどんなことをやっているのでしょうか。また、どんな機関や組織を備えているのでしょうか。現在のEUに関する基礎知識について簡単に説明します。
第3回EUの歴史(1)
なぜEU(の母体)は作られたのでしょうか。ヨーロッパ統合が始まった歴史的文脈について説明します。
第4回EUの歴史(2)
「EU法」という法体系が歴史的にどのように作られてきたのかについて説明します。
第5回EUの歴史(3)
EUの母体たるEC(欧州共同体)がどのような経緯でEUになったのかについて説明します。
第6回EUの歴史(4)
EUは、設立以来どのように変化してきたのでしょうか。25年間のEUの歴史を振り返ります。
第7回EUの権限(1)
EUには何ができて、何ができないのでしょうか。EUが各国から与えられた権限について説明します。
第8回EUの権限(2)
権限がどのように使われるのかを、具体的な法令に即して説明します。
第9回EUの立法ならびに加盟・脱退
EUの法令はどのように作られるでしょうか。EUの立法について説明します。また、EUに新しく入る、あるいは脱退する際の仕組みも併せて説明します。
第10回EUの司法(1)
EUにはどのような裁判所や裁判手続があるでしょうか。EUの司法は特殊だと言われるのですが、それはなぜでしょうか。EUの司法について説明します。
第11回EUの司法(2)
引き続き、EUの司法について説明します。第11回では、具体的な裁判の判決の読み方も併せて説明します。
第12回EU法と国内法
EU法と加盟国法との関係はどうなっているでしょうか。EUは「国」になったのでしょうか。EU法と国内法の複雑な関係について説明します。
第13回EUと人権
EUは人権にこだわっていると言われますが、なぜでしょうか。また、どのように人権を保障しているでしょうか。EUを含むヨーロッパの人権保障の仕組みを説明します。
第14回EU法の新たな動き
現代社会の絶え間ない変化にEU(法)はどのように対応しているのでしょうか。EU法の最新動向を紹介します。この回の内容は受講者の関心に合わせて決めていきます。
第15回まとめと授業内テスト