人の暮らしと環境
担当者大森  享
単位・開講先選択必修  2単位 [教育文化学科]
科目ナンバリングEDU-113

授業の概要(ねらい)

 子ども・青年は、単に学習者ではなく今を共に生きる生活者でもある。
 教育は、この事実を大切にし、維持可能な地域・社会の内発的発展を担う主体形成を行うべきであろう。地域で育つ子どもたちが主体的協同的に地域環境に働きかけることによって内発的発展を担う主体形成をおこなう「小学校環境教育実践」事例紹介と分析、これからの日本各地で、予想される野生動物との接触と共存を視野に入れた「野生動物保全教育実践」事例紹介と分析、辺野古移転問題で揺れる「沖縄の基地と暮らしに関わる事例」紹介と分析、以上三領域から「人の暮らしと環境」について考察を進め、より良い環境づくりを視野にこれからの教育を創る教育的知見を受講生と共に考察していきます。

授業の到達目標

 これからの維持可能な地域・社会の内発的発展を担う主体形成を視野に、教育学的アプローチから「人の暮らしと環境」について考察できる知見を獲得する。

成績評価の方法および基準

・グループ討議・全体討議での発言内容が他の発言を踏まえて述べられているか(協同性)
・発言内容が本質的か(本質性)
・レポート内容に関わり、正確な情報を基に、自分なりの発想になっているか(正確性・当事者性)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『小学校環境教育実践試論―子どもを行動主体に育てるためにー』2004 大森享創風社
教科書『野生動物保全教育の展望』2015大森享編著創風社
教科書『地域と結ぶ学校環境教育―学校環境教育構造と主体的協同的活動』2011大森享創風社
教科書その他、必要に応じて、講義時紹介します。
参考文献

準備学修の内容

 可能な限りテキスト・参考文献等に目を通しておいてください。

その他履修上の注意事項

 グループ討議・全体討議では積極的に発言して欲しい。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス:講義内容・評価方法・グループ編成
 本科目の内容・進め方・評価等についてガイダンスを行う。
第2回 環境教育とは(1)
 環境教育をめぐる国際的潮流及び日本の環境教育について概観します。
第3回 環境教育とは(2)
 日本の学校環境教育実践を考察する理論枠について講義します。
第4回 環境教育とは(3)
 日本の学校環境教育実践を考察する理論枠について講義します。
 
第5回 小学校環境教育実践事例1「僕の木を切ったのは誰か」分析・発表
 共に今を生きる学習者である子どもたちの「所与の世界を課題の世界」に転換する契機である問いについて考察します。
第6回 小学校環境教育実践事例2「音無川を掘り出そう」分析・発表
 「過去を知り、今と比較し、未来を展望する」主体的協同的探究について考察します。
第7回 小学校環境教育実践事例3「僕らはトンボ探検隊」分析・発表
 東京都荒川区の市民団体「下町みどりと仲間たち」(故野村圭祐事務局長)のトンボと共存できる公園作りを教材化し、5年生の子どもたちが獲得したオルターナティブな環境観について講義します。
第8回 小学校環境教育実践事例3「僕らはトンボ探検隊」分析・発表
 東京都荒川区の市民団体「下町みどりと仲間たち」(故野村圭祐事務局長)のトンボと共存できる公園作りを教材化し、5年生の子どもたちが獲得したオルターナティウ゛な環境観について講義します。
第9回 小学校環境教育実践事例4「掘ったぞ!僕らの自慢の池」分析・発表
 3年生が地域環境観を育み、学区域横を流れる人工河川/荒川の河川敷に「トンボ池」を掘った実践を紹介し分析します。
第10回 小学校環境教育実践事例5「隅田公園再生計画」分析・発表
 6年生が東京都墨田区の隅田公園に対する自分たちの要求を育て、ステークホルダーを集めた公論の場で意見表明・合意形成し公園改変・維持・管理・評価を行った実践の紹介と考察をします。
第11回 SDGsと学校教育について
平和・人権・民主主義の価値志向性及び価値選択主体・価値実現主体の形成とこれからの学校教育の展望について講義します。
第12回 野生生物保全教育について
 密漁に焦点を当てた野生動物の現状及び自然の権利訴訟について学びます。
第13回イリオモテヤマネコと共存する島づくり、シマフクロウ、ヒグマと共存すると地域づくり
 沖縄県竹富町西表島における絶滅危惧種イリオモテヤマネコと共存できる島づくりを目指すNPO法人「トラ・ゾウ保護基金」の取り組みの紹介と野生動物との共存を模索する島づくりについて考察します。
北海道知床半島羅臼町での幼小中高一貫ヒグマ学習、北海道標茶町虹別地区での「虹別コロカムイの会」の取り組みと虹別中学校・総合的な学習の取り組みについて紹介し分析します。 
第14回 沖縄と米軍基地問題
 日本の国土面積の1割に満たない沖縄県に米軍基地の9割以上が集中する現実と「人権・いのち・平和な暮らし」が脅かされている沖縄県の矛盾から、人の暮らしと平和・人権について、受講生と考察します。基地をめぐる映像を視聴します。
第15回 グループ発表・全体討論
 今までの講義を踏まえて、グループの課題意識に基づいて報告・全体討議をします。