生と死と家族
担当者草野 いづみ教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [教育文化学科]
科目ナンバリングEDU-115

授業の概要(ねらい)

 この授業には二つの主題がある。一つは「生と性」であり、次に「家族とケア(世話)」である。人間は生まれてから死ぬまで性的な存在として人間関係を築き、次世代を生み育てていく。生きることと性(セクシュアリティ)について自分と他者、そして社会との関係をどのように位置づけ、考えていったらよいのだろうか。さらに、そうした意味において「性教育」とは何かを考えていきたい。また、人間は乳幼児期から自立するまで、親をはじめとする周囲の大人の世話を受けて育ち、成年期には子どもや高齢者をケアする側となり、高齢になると再びケアを受ける側となる。この「ケア=世話」による「いのちのつながり」は主に家族を通して実現される。家族にとってのケア(世話)とは何か。その理論と実際について多角的に検討していく。

授業の到達目標

 授業の主題に関連するさまざまなトピックを知り、理解を深めるとともに、いわゆる「性教育」や「いのちの教育」の理論と実践について学び、討論することができる。

成績評価の方法および基準

 授業への参加態度(30%)(ディスカッション等)。課題レポート(70%)など。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『みんなで考える家族・家庭支援論』(同文書院)
教科書必要な資料を配布し、参考文献を紹介する。
参考文献

準備学修の内容

 関連する文献や新聞、放送などのメディアによる情報にアンテナを張り、収集する。

その他履修上の注意事項

 受け身でなく積極的に参加する。必要な情報を主体的に収集し、柔軟に思考し、ディスカッションを通じて多角的に検討していく。

授業内容

授業内容
第1回 オリエンテーション:授業の進め方や参考文献等の説明。
第2回 家族とは:意識と実際。受講生のアンケート調査からみた現代の家族観。歴史的にみた家族の変遷。個人・家族・国家の関係。家族の多様性・多文化性。
第3回 セクシュアリティとジェンダーの発達:性自認とジェンダー意識。男女平等と性別役割分業観。
第4回 リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖の健康・権利)①
 多様なセクシュアリティ:性的マイノリティ、LGBTとセクシュアル・ライツ。当事者のお話。
第5回 リプロダクティブ・ヘルス/ライツ②
 産む・産まない・産めない:人工妊娠中絶を考える。歴史、法律、宗教、生命倫理、医療、女性の人権・・・等の視点から。避妊(家族計画)と中絶。
第6回 リプロダクティブ・ヘルス/ライツ③
 人口政策と優生思想:国家による「数」と「質」の管理vs個人・カップル・家族にとっての家族計画。少子化対策と人口政策。
第7回 リプロダクティブ・ヘルス/ライツ④
 性感染症・HIVエイズ:性的リスクと自己管理。意識と実際。
第8回 リプロダクティブ・ヘルス/ライツ⑤
 生殖医療とカップル:「子どもがほしい」、生殖補助医療とはなにか。先端生殖技術と生命倫理。
第9回 リプロダクティブ・ヘルス/ライツ⑥
 自己決定権と社会:生、性、死における自己決定と他者。
第10回 性教育とはなにか①データを読む。
第11回 性教育とはなにか②小中高の授業実践から。
第12回 性教育とはなにか③性的リスク対処について。
第13回 いのちをつなぐ「世話(ケア)」①
 乳幼児と家族・養育者。
第14回 いのちをつなぐ「世話(ケア)」②
 高齢者と家族。
第15回 いのちをつなぐ「世話(ケア)」③
 看取りと尊厳。