家族支援論
担当者草野 いづみ教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [初等教育学科 こども教育コース]
科目ナンバリングSWS-204

授業の概要(ねらい)

 子どもが育つうえで最も基本的かつ重要な環境が家族・家庭である。しかしながら少子・核家族化の進展や人間関係の希薄化によって孤立を深める現代の家族は、子どもを養育する機能を低下させつつあるといわれる。保育園や学校などで子どもの養育・教育に従事する保育士や教師は子どもに直接関わるだけでなく、家族のサポートを同時に行うことが求められる。しかし現代の家族の形はひとつではなく、自己の経験による家族観を克服して「多様な家族」のあり方を前提にしなければならない。本授業は子どもが育つ場としての家族の機能と、現代社会における家族の問題について理解し、保育士や教師が母親や父親など家族メンバーに対してどのような支援や働きかけを行ったらよいかを理論的、実践的に学び、ディスカッションを通じて具体的に考えていくことを目的とする。

授業の到達目標

 家族とその援助に関連する社会背景や実情を知り、基本的な考え方を理解する。そのうえで、ケースに応じた支援方法を自ら考えることができるようにする。

成績評価の方法および基準

 授業への参加態度(35%)および、期末試験または期末レポート(65%)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『みんなで考える家族・家庭支援論』(同文書院)
教科書その他、参考文献を紹介。また、授業時に関連資料を配布する。
参考文献

準備学修の内容

 関連する文献を精読すること。

その他履修上の注意事項

 多角的な視点をもち、柔軟に発想し思考する姿勢を持つこと。

授業内容

授業内容
第1回 オリエンテーション:授業の内容や参考文献等の説明。
第2回 家族とは何か。家族の機能。社会の変遷と家族観の変容。日本や世界のさまざまな家族のあり方。
第3回 母親とは何か。父親とは何か。現代社会における「母性」・「父性」、母子関係・父子関係。
第4回 家族を取り巻く社会と家族の抱える問題との関係。「家庭」と「仕事」の両立、ワークライフバランスを考える。
第5回 困難な状況を抱える家族とその支援①ひとり親、複合家族など。
第6回 困難な状況を抱える家族とその支援②障害をもつ子とその家族の支援について。
第7回 困難な状況を抱える家族とその支援③育児ストレス・育児不安。子ども虐待など。
第8回 困難な状況を抱える家族とその支援④さまざまな文化・ルーツを背景にもつ家族と子ども。
第9回 子育てにおける家族の諸問題:子どもの心の健康と問題行動、DV、機能不全家族など。
第10回 園や学校での家族援助の実際:ケースから考える。
第11回 家族援助の方法①−日常的援助、個別相談、グループワーク、専門機関との連携など。
第12回 家族援助の方法②−家族システム理論と家族への心理的援助について
第13回 家族援助の方法③−家族への心理的援助について。家族療法を参考に。
第14回 地域の子育て支援ネットワークと専門職の役割。日本や海外の事例から学ぶ。
第15回 授業のまとめと補遺