心理学基礎演習Ⅱ
担当者高梨 利恵子教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [心理学科 2018年度以降]
科目ナンバリングPSY-202

授業の概要(ねらい)

 臨床心理学は、医療や教育、産業、福祉、司法などの現場で役に立つことを目指した実践的な心理学である。各種の臨床現場で活躍する臨床心理の専門家は「科学者ー実践家モデル」に基づき養成され実践を行うことが求められるが、これはしっかりと基礎心理学を修め、心の仕組みの科学的理解を踏まえた実践の重要性を物語っている。
 一方、患者やクライエントなどの臨床心理学の対象者は、きわめて個別的な問題を抱え、主観的な苦しみを体験している。したがって、科学的・客観的な視点と、具体的な目の前の対象者の理解とかかわりという実践のバランスを保ち続けることはそうたやすいことではない。科学的な知見にばかりに目が行くと、わかった気になってしまい、肝心なそこにいる対象者のその場での苦しみを理解し損ねることにもなりかねない。
 「心理学基礎演習Ⅰ」では、このようなバランスを意識しながら、臨床心理学の基本的な各種パラダイムについて、文献をもとにディスカッションを行う。パーソナリティ理論や、精神分析、人間性心理学、学習理論、認知理論、その他のパラダイムが取り扱われる。それらのパラダイムのエビデンスや臨床での応用の実際が検討される。「心理学基礎演習Ⅱ」では、「心理学基礎演習Ⅰ」で取り扱ったパラダイムを適宜用いながら、臨床心理学の対象となる心理的障害の理解と支援について学ぶ。具体的には気分障害や様々な不安に関連した障害、統合失調症、発達に関する障害などの問題を扱う予定である。それぞれの障害の経過とともに、アセスメントの方法、生物・心理・社会的な治療や支援について理解を深める。

授業の到達目標

1.必要な文献を集め、内容をまとめることができる。
2.考えや疑問を明確にし、効果的にプレゼンテーションやディスカッションができる。
3.臨床心理学のパラダイムや対象について説明ができる。

成績評価の方法および基準

担当回の発表 30%、ディスカッションへの参加 30%、最終レポート 40%

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書臨床心理学丹野義彦他有斐閣
参考文献

準備学修の内容

 発表担当者は資料を作成して配布すること。
 発表担当者以外の履修者も指定個所を読み、自分の関心や疑問点を明確にしてディスカッションの準備をすること。

その他履修上の注意事項

 他の履修者の邪魔となるような行為はしないこと(私語,携帯電話など)。
 実践的な学問であることを念頭におき、知識として理解するだけにとどまらず、身近な自分の心の動きや実体験と照らし合わせ理解しようと試みること。

授業内容

授業内容
第1回以下は予定であるが、登録学生の人数や理解度等により変更もある。

オリエンテーション 発表担当割り振り
第2回心理的障害の見取り図
第3回うつの理解と支援について発表とディスカッション
第4回躁の理解と支援について発表とディスカッション
第5回社交不安症の理解と支援について発表とディスカッション
第6回パニック症の理解と支援について発表とディスカッション
第7回強迫症の理解と支援について発表とディスカッション
第8回心的外傷後ストレス障害の理解と支援について発表とディスカッション
第9回統合失調症の理解と支援について発表とディスカッション
第10回パーソナリティ障害の理解と支援について発表とディスカッション
第11回身体の不調に関連する心理的障害の理解と支援について発表とディスカッション
第12回発達に関する障害の理解と支援について発表とディスカッション
第13回認知症の理解と支援について発表とディスカッション
第14回演習を通して学んだことのシェアリング
第15回まとめと展望