担当者 | 中谷 直司教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [総合基礎科目] | |
科目ナンバリング | POL-101 |
大きくいって3つのことを学びます。
1つ目は「政治(学)とは何か」です。政治学を勉強しなくても、なぜか教師にはなれないのに、政治を論じたり、政治を行うことは誰にでもできます(うまいヘタはありますが)。ではなぜ「政治学」という学問が存在するのでしょうか(教員免許のため?)。まずその理由を明らかにします。
2つ目は「福祉国家」についてで、これがこの授業のメインテーマです。福祉国家とは、国家が国民の最低限の文化的生活を保障することですが、いかにわれわれの生活と人生が、この国家のあり方に「依存」している(つまりこれなしにはやっていけない)か、理解してもらいます。同時にその維持がいかに難しくなっているか、そしてこのことがこれからの我々のそれぞれの人生にどんな影響を与えるのかについて考察します。
3つ目は「国家」についてです。「人類みな兄弟」のはずなのに、なぜわれわれの「福祉」(=社会的幸福の増進)は、基本的に国家のわく内で行われるのでしょうか。なにか必然性があるのか、それとも単なる偶然なのか。その意味を探ります。
「政治学者」になるわけでもないのに、なんでこんな迂遠な話を、とあるいは思うかもしれません(残念ながら、この授業を聞いただけでは、政治学者にはなれませんが)。でも我慢強くお付き合いいただければ、この授業が半ばまで進む頃には、みなさんの現実の政治に対する見方、社会問題の理解の仕方が点から線に、そして立体的なものへと大きく変わることをお約束します。人によっては何気ない日常風景でさえも、これまでとは相当違ってみえるかもしれません。
「政治とは何か」、「政治学はどのように世の中を説明するのか」、「福祉国家の役割と問題点は何か」の以上3点を、自ら説明できるようになる。
平常点(コメントペーパーと小テスト、授業態度) 30%
期末試験 40%
小レポート(ブック・レポート) 30%
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | |||
参考文献 | 『政治学 [補訂版]』 | 久米郁男 ほか | 有斐閣 |
参考文献 | 『政治学の第一歩』 | 砂原庸介、稗田健志、多湖淳 | 有斐閣(有斐閣ストゥディア) |
・配付資料を用いて、小テストの準備をする(計3~4回を予定)。
・授業内容を踏まえて、ブックレポートの作成を進める(新書中心の課題文献リストを配付する)。
(1)教科書は用いず、担当者が作成した資料で授業をすすめます。授業の基本的な内容は、久米郁男ほか著『政治学[増補版]』有斐閣、2011に基づいています。あわせて、関連するビデオ教材も積極的に使用し、受講生の理解の促進を図ります。
(2)講義では毎回リアクションペーパーを配付し、授業に対する感想・質問を書いてもらいます。質問については、2~3をピックアップし、次回の授業冒頭で回答します。
(3)受講生の関心に応じて、進度や内容を一部調整することがあります。
回 | 授業内容 |
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第1回 | オリエンテーション──「政治」とは何か |
第2回 | 政治はなぜあるのか、政治はいつもあるのか──黒澤明『七人の侍』にみる |
第3回 | 政治学はどのように世の中を見るのか──社会科学の「女王」・経済学との対比で |
第4回 | 自由主義と民主主義──「民主制」とはなにか |
第5回 | 戦前の日本は、現在のアジア・アフリカ諸国は何に苦しんでいるのか──「自由化」の困難 |
第6回 | 日本の内閣はなぜ頻繁に交代し、第二次安倍政権は 例外なのか──「制度」的要因からの解説 |
第7回 | 選挙制度はどこまで重要か──小選挙区制と大選挙区制 |
第8回 | 大統領制と議院内閣制:リーダーを直接選べば問題が解決するのか──もちろん答えはNO |
第9回 | 日本の政治制度をどう変えるか──2院制、選挙制度、内閣と議会の関係 |
第10回 | 福祉国家の仕組み──所得の再配分と景気調整 |
第11回 | 福祉国家はどこまで「効率的」か──映画『シッコ』が教えてくれるもの |
第12回 | 福祉国家の問題点──なぜわれわれは国家を批判するのか |
第13回 | ロールズの正義論──国家はどこまで社会、そして個人を幸せにできるか |
第14回 | 3つの福祉国家と限られた資源(リソース)──われわれは何を優先すべきか |
第15回 | 講義の総括 |