西洋史概説Ⅰ
担当者石川 敬史教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングHEA-101

授業の概要(ねらい)

 この授業は、西洋史を概観することを通して、「西洋とは何か」について、受講者各人が自分自身の識見を修養することを目的としています。私たちが身をおく、現代の国家システム、あるいは基本的人権のような法概念や、民主主義といった政治思想、今日の諸国家による外交システム、さらには大学制度といったものは、西洋の歴史的文脈から多分に偶然生まれたものでした。この授業では、「西洋という規範」がどのような歴史的経緯から形成されてきたのかを学修します。(※大学での学びを「学修」といいます)
 高校までの世界史とは一味違う角度から、教養としての西洋史を学ぶ機会としてください。日本史に関心のある方にとっても、東洋史に関心のある方にとっても有益な視点が得られるでしょう。
 西洋史は多くの場合、古代・中世・初期近代・近代と便宜上区分されますが、この西洋史概説Ⅰでは、古代から中世の終わりに位置するルネサンスまでを射程とします。

授業の到達目標

 人間や社会のあり方を幅広く俯瞰的にみるための見識を獲得し、それを他者に説明できるようになる。
 自分が読むべき本を自分で探し出せるようになる。

成績評価の方法および基準

 二回の小テストによる評価20%
 本授業最終日に行う論述式試験による評価80%
 ※小テストの日程については、授業の進行状況によって調整が必要となるため、授業内で指示します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書教科書は特に指定せず、講義毎にレジュメ・資料を配布する。
教科書その他、参照すべき文献は、授業で適宜紹介する。
参考文献『西洋政治思想史』(2013年) 宇野重規有斐閣
参考文献『教養としての世界史の学び方』(2019年)山下範久東洋経済新報社

準備学修の内容

前の講義時に配布したレジュメ・資料の内容を確認しておく。
何を理解し、何が分からなかったかを明らかにしておく。
授業で紹介した文献の該当箇所を読んでおく。

その他履修上の注意事項

高校までの世界史の授業とは大きく異なるので、まずは復習を中心に学修をしておくことを勧めます。
質問は随時受付けますので、積極的な姿勢で授業に臨むことを願います。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス
 本講義の概要と意義、学修方法について詳細な説明を行う。
第2回 古代ギリシャの歴史と思想(1)
 1.古代ギリシャにおける政治と哲学
 2.アテナイ人の価値観と民主主義
第3回 古代ギリシャの歴史と思想(2)
 1.ソクラテスとは何者か
 2.プラトンの政治哲学
 3.アリストテレスの政治哲学
第4回 古代ローマの歴史と思想
 1.ギリシャ的なるものとローマ的なるもの
 2.ヘレニズム文明の思考様式
 3.ポリビュオスの政体循環説と混合政体論
 4. 帝政ローマの社会思想
第5回 古代ギリシャ・ローマ世界についてのまとめ
 小テスト(30分)
第6回 キリスト教の誕生と展開(1)
 1.ヘブライズムと一神教
 2.キリスト教の誕生
 3.民族宗教と世界宗教
第7回 キリスト教の誕生と展開(2)
 1.教父哲学と神学の誕生
 2.アウグスティヌスの神学と政治思想
第8回 中世ヨーロッパの歴史と思想
 1.滅びるローマと生き残るキリスト教会
 2.キリスト教普遍世界の構造と論理
 3.スコラ哲学とトマス・アクィナス
第9回 中世ヨーロッパ世界についてのまとめ
 小テスト(30分)
第10回 ルネサンスと宗教改革(1)
 1.キリスト教普遍世界が解体した契機について
 2.中世ヨーロッパについての総括
第11回 ルネサンスと宗教改革(2)
 1.ルネサンスとは何か
 2.ヒューマニズムの諸展開
第12回 ルネサンスと宗教改革(3)
 1.シヴィック・ヒューマニズムの登場
 2.マキャヴェッリの政治思想
第13回 ルネサンスと宗教改革(4)
 1.宗教改革とは何か
 2.正統と異端
 3.様々な異端
第14回 ルネサンスと宗教改革(5)
 1.ルターの宗教改革
 2.カルヴァンの宗教改革
 3.世俗君主の台頭
第15回 授業の総括
 試験(60分)