ミクロ経済学Ⅰ
担当者
単位・開講先選択  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングECT-201

授業の概要(ねらい)

 市場における買い手の意思決定を扱う。市場では「価格」が仲介して情報を伝えるため、一般のケースよりは問題が単純である。誤解をおそれず一言で述べれば、入門ミクロ経済学Ⅰ・Ⅱにおける最重要命題は「市場経済はある意味うまくできている」である。おそらく、どの入門ミクロ経済学Ⅰ・Ⅱの授業でも、「ある意味」や「うまく」の意味は明示されていない。これらがはっきりしないうちはせっかくの命題も他の経済事象に応用できない。「厳密な議論のない入門ミクロの授業はだめだ」と主張しているわけではない。実際、初級者がいきなり厳密な議論をしても通常は「議論のさまたげ」でしかない。しかし中級レベルでは可能である。本科目では、入門ミクロ経済学Ⅰ・Ⅱの授業では暗黙裡に仮定されていたうそやごまかしをなくして、できるだけ少ない前提下で市場における消費者の行動原理について学び、上の命題を正確に理解する。

授業の到達目標

 市場理論を通して、ミクロ経済学の方法、考え方を身につける。
・与えられた好みに対応する無差別曲線を描ける。
・与えられた所得に対応する予算制約線を描ける。
・無差別曲線と予算制約線が与えられたときに、消費者の最適消費点を求められる。
・所得の変化に応じた消費者の需要量の変化を計算できる。
・価格の変化に応じた消費者の需要量の変化を計算できる。

成績評価の方法および基準

 定期試験による (100パーセント)。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 特に指定しない。ただし、授業準備にあたって次に挙げる書籍を参考にした。第1回授業で、第何回の授業の内容がどの本の何ページに対応するかを示す予定である。 ・安藤至大 (2013)、『ミクロ経済学の第一歩』、有斐閣ストゥディア。 ・石川秀樹 (2009)、『単位が取れるミクロ経済学ノート』、講談社。 ・市野泰和 (2014)、『心と体にすーっとしみこむミクロ経済学』、中央経済社。 ・伊藤秀史 (2012)、『ひたすら読むエコノミクス』、有斐閣。 ・伊藤元重 (2015)、『入門経済学』(第4版)、日本評論社。 ・ハル・R・ヴァリアン (2015)、『入門ミクロ経済学』(原著第9版)、勁草書房。 ・梶井厚志、松井彰彦 (2000)、『ミクロ経済学――戦略的アプローチ』、中央評論社。 ・神取道宏 (2014)、『ミクロ経済学の力』、日本評論社。 ・坂井豊貴 (2017)、『ミクロ経済学入門の入門』、岩波新書。 ・佐々木宏夫 (2008)、『基礎コースミクロ経済学』、新世社。 ・佐々木宏夫 (2011)、『史上最強図解ミクロ経済学入門』、ナツメ社。 ・嶋村紘輝、横山将義 (2003)、『図解雑学ミクロ経済学』、ナツメ社。 ・N・グレゴリー・マンキュー (2013)、『マンキュー経済学Ⅰ ミクロ編』(第3版)、東洋経済新報社。 ・N・グレゴリー・マンキュー (2014)、『マンキュー入門経済学』(第2版)、東洋経済新報社。 ・スティーヴン・レヴィット、オースタン・グールズビー、チャド・サイヴァーソン (2017)、『レヴィットミクロ経済学基礎編』、東洋経済新報社。
参考文献

準備学修の内容

 毎回の授業の予習として、2時間以上をかけて、参考書を読んで次の授業内容を確認せよ。毎回の授業の復習として、2時間以上をかけて、その授業で重要と思った点を中心にノートに整理し、授業内容を検討せよ。その復習をふまえて、確認テストをやりなおし、宿題答案を週末にLMSを通じて提出せよ。さらに、参考書の演習問題を解け。
 復習、特に問題演習は重要である。ノートや参考書を読むだけで問題は解かない、という勉強ではだめである。問題は解き方を読むだけでなく、ペンをもってノートに解きなおせ。問題を解けば自然にわかってくることは多い。わかっていることとわからないことを明確に区別し、理解できていない解説を紙に何回でも再現せよ。

その他履修上の注意事項

 継続的に学習せよ。10分でも構わないので毎日勉強する時間をとれ。停滞は後退である。
 丁寧にせよ。つまみ食い的な勉強は基礎科目においては百害あって一利なしである。100パーセントわかるところからスタートして一歩一歩進むのがもっとも楽な方法である。あせりは禁物である。
 いくら勉強してもわからなければ躊躇せずに質問すべきである。質問する相手は教員でも友人でも誰でも構わない。困ったときに人に頼ることもれっきとした能力である。
 定義を大切にせよ。わからなくなるのは定義の理解が不十分だからである。定義とは、ある概念を過不足なく説明し約束することである。スポーツをやるのにルールを覚えるがごとく、推理小説を読むのに登場人物の名前を覚えるがごとく、ミクロ経済学を勉強するにあたってはミクロ経済学の専門用語の定義を覚えよ。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション
第2回 正味便益と需要曲線
第3回 財・サービスの組み合わせと効用
第4回 グラフを用いた正味便益の計算
第5回 表を用いた正味便益の計算
第6回 正味便益とお金の限界効用
第7回 特殊な好みの人の無差別曲線
第8回 一般的な無差別曲線
第9回 さまざまな好みの人の無差別曲線
第10回 予算制約
第11回 さまざまな予算制約線
第12回 最適消費
第13回 所得の変化
第14回 価格の変化
第15回 医療保険政策への応用