運動処方演習
担当者清水 輝夫
単位・開講先選択  1単位 [スポーツ医療学科]
科目ナンバリングAHS-401

授業の概要(ねらい)

 超高齢化社会を生きる国民は、「健康寿命」を延伸する努力の上に個々人の考えに沿った有意義な人生を送ることが期待され、適切な運動の実施が推奨されている。
 運動の効用は、健康な対象者のみならず、各種疾病を抱える高齢者にも該当することが、次第に明らかにされつつある。しかし心身にとって、過剰なトレーニングは、むしろ有害であり、障害・傷害の原因となることも指摘され、適度な運動が勧められる。
 健康づくりのための最適な運動は、強度・量など個々人において異なっており、それぞれに運動処方作成が必要であり、健康運動指導士の大切な任務の一つである。
 この演習授業においては、運動処方作成の実際を体得することを目標にすすめられる。
 高齢者や疾病を有する対象者の運動処方作成の前提として、運動負荷試験実施は欠かせない検査である。運動負荷試験が、危険を伴う可能性を内在しているために、細心の注意のもとに行わなければならない事を、十分に理解する必要があり、そのために必須となる基本知識を学習する。
 運動処方全般の演習は、蛭間先生を主体に指導が実施される。
 運動指導者が、現場において対象者に適切に係わるためには、単に理解している範疇を超えて丁寧かつ迅速な対応能力が求められる。その実現を目指して、器材の取り扱いに慣れ、かつ得られる所見・結果を正しく読み取り、対象者にとって最適な運動処方作成に至るためにグループワークで演習を展開する。

授業の到達目標

 1.運動処方に必要な運動負荷試験および体力測定を安全に行うことができる。
 2.それらの計測データを基にして運動プログラムの作成ができる。

成績評価の方法および基準

 授業ノート 30%  レポート 20%  期末テスト 50% の合計で評価します。出席回数が授業回数の3分の2未満の学生は単位取得ができません。欠席は減点(5点)とします。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『健康運動指導士養成講習会テキスト 下』財団法人 健康・体力づくり事業財団
参考文献『運動負荷心電図 その方法と読み方 第2版』川久保清著医学書院
参考文献『ACSMメタボリック・カリキュレーション・ハンドブック 運動時代謝の計算法』Stephan Glass 他 大野秀樹監訳NAP Limited

準備学修の内容

 指定した教科書の次回授業部分を事前に読んでおいてください。
 次回の授業内容を予習し、専門用語の意味等を理解しておいてください。
 これらのことを授業ノートにまとめておいてください。

その他履修上の注意事項

 「運動処方」および「運動処方Ⅱ」の単位を取得していることが必要です。これらの科目を4年生までに履修していない場合は、履修できません。

授業内容

授業内容
第1回 健康日本21(第2次施策)の要点を説明できる。
第2回 1)安静時心電図の判読:正常および異常心電図(不整脈と虚血性変化)の特徴を説明できる。
 2)血圧と脈拍:安静時における血圧および脈拍の計測法を説明できる。
第3回 健康検査と診断について説明できる。
第4回 運動のためのメディカルチェックと心電図:負荷心電図の目的.適応.禁忌.安全対策を説明できる。
第5回 運動負荷試験の評価方法、呼気分析と中止判断を説明できる。
第6回 運動負荷試験実習①:自転車エルゴメータでの運動負荷試験(プロトコールと血圧測定)について説明できる。
第7回 運動負荷試験実習②:自転車エルゴメータでの運動負荷試験測定を実施できる。
第8回 運動負荷試験実習③:自転車エルゴメータでの運動負荷試験結果の評価および運動処方を実施できる。
第9回 運動負荷試験実習④:トレッドミルでの運動負荷試験(プロトコールと測定の準備と測定)について説明できる。
第10回 運動負荷試験実習⑤:トレッドミルでの運動負荷試験測定、結果の評価および運動処方を実施できる。
第11回 運動負荷試験実習⑥:高齢者の体力測定法を実施できる。
第12回 運動負荷試験実習⑦:介護予防に関連する体力測定を実施できる。
第13回 運動負荷試験実習⑧:高齢者および介護予防に関連する体力測定結果の評価を基に運動処方の基本的事項を説明できる。
第14回 潜水反射の理論と実際に関する事項について説明できる。
第15回 運動処方について説明できる。