日本の地域経済Ⅰ
担当者小林 成弘教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECP-217

授業の概要(ねらい)

 本講座では、日本における国土開発政策の変遷、都市化問題と地方過疎問題、地方財政・地域分権問題、官民による地域おこしの取り組みの現状などについて学ぶとともに、地域開発投資の投資採算評価や地域経済効果の測定問題などについて実習を行います。
 春期は、戦後の政府主導による国土開発計画の歴史を辿りながら、戦後高度経済成長のなかで表面化してきた地域格差問題(都市化と地方過疎化)、公害問題、都市混雑問題、インフラ問題などについて学びます。
 秋期は、1990年代のバブル経済の発生と崩壊が都市や地方の経済および地域の街づくりにどのような影響を及ぼしたのかを紹介するとともに、その過程の中で中央・地方政府主導で進められてきた様々な地域政策(ふるさと創生事業、首都機能分散、地方分権改革、地方財政健全化、市町村合併、PFI(Project Finance Initiative)による社会資本整備、ふるさと納税制度など)について学びます。さらに、地域振興のための様々な開発プロジェクトを進めていくうえで欠かせない事前評価問題を取り上げ、投資採算の評価手法や企業会計(複式簿記)の基礎を学ぶとともに、モデルケースを用いて①CFS法(Cash Flow Simulation Method)による事業の成立可能性評価(財務評価)、②市域産業連関表を用いた地域経済波及効果の評価(政策評価)のシミュレーションを行います。

授業の到達目標

 地域問題に対する理解を深めるとともに、地域問題解決のための分析ツールや理論を学ぶことを通じて、地域経済を考えるうえで必要な基礎知識を習得します。

成績評価の方法および基準

 期末に行うペーパーテストの成績を基礎点とし、これに普段の授業への取り組み姿勢(出席状況、義務的課題の実施状況、任意レポート提出など)をボーナス点として加算して総合評価を行います。ただし、以下の事項に該当する場合は大幅減点とします。
①授業中の私語など、他の学生に悪影響を及ぼすあらゆる「迷惑行為」
②授業における出席偽装、テストにおけるカンニング、レポート等におけるネット情報等のコピー&ペーストなど、あらゆる「不正行為」

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキストは特に指定しませんが、参考文献は講義の都度紹介します。
 
教科書  
参考文献『国土計画を考える』本間義人(中高親書)
参考文献『地域再生』香坂玲(岩波ブックレットNo.851)
参考文献『地域再生の経営戦略』日本政策投資銀行(金融財政事情研究会)
参考文献 『地域プロジェクトの財務』日本政策投資銀行(ぎょうせい)

準備学修の内容

 講義は基本的にパワーポイントを使って進めます。 パワーポイントの資料はその都度縮刷版をプリント配布しますが、その内容は多岐にわたり分量も多くなりますので、授業に出席せず後で資料だけに頼って勉強しようとしても重要なポイントを掴み切れず講義の全体像を理解することは到底不可能です。 必ず毎回授業に出席して講義をしっかり聴き、メモをとり、何が重要なのか、どのように話が展開されるのかを自分の目と耳と頭で整理しながら理解していくように努めて下さい。 なお、講義内容について各自の理解を深め知識の定着を図るため、授業の際に時々練習問題プリントを配布します。 特に提出は求めませんが、受講生はそれら課題に自主的・積極的に取り組むことを強く勧めます。

その他履修上の注意事項

 単に授業を聞くという受け身の姿勢ではなく、講義を通して自分の関心や疑問を掘り起こし、原典や関連文献、または統計データに直接あたって調べ確認してみるといった積極的な姿勢で取り組むことを期待します。

授業内容

授業内容
第1回 ガイダンス
第2回 戦前の帝都東京開発
第3回 戦後復興と集団就職
第4回 東京五輪と首都圏開発
第5回 国土総合開発法と全国総合開発計画
第6回 所得倍増計画と一全総(第一次全国総合開発計画)
第7回 高度経済成長が生んだ歪
第8回 列島改造論と二全総
第9回 ニクソンショックと石油ショック
第10回 「大きな政府」から「小さな政府」の時代へ
第11回 田園都市国家構想と三全総
第12回 中曽根行革と外圧
第13回 規制緩和時代の都心再開発
第14回 東京一極集中と四全総
第15回 まとめ/テスト