ゲーム論Ⅱ
担当者小島 寛之教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECT-402

授業の概要(ねらい)

  ゲーム理論は、ゲームでの戦略とプレーの結果として行き着く結末を分析する分野である。諸君は、「ゲーム」というと、ファイナルファンタジーやオンラインゲーム、あるいはトランプや将棋、はたまた野球やサッカーを思い浮かべることと思うが、それらもすべてゲーム理論の分析対象である。しかし、これらのゲームは構造があまりに複雑で、ゲームと戦略そのものを定義するだけでも膨大な時間を要する。したがって、ゲーム理論では、これらの広汎なゲームのエッセンスだけを抽出し、もっと単純な構造のゲーム(例えば、じゃんけんのようなゲーム)に還元させて分析する。
 ゲーム理論は、フォン・ノイマンとモルゲンシュテルンが1944年に提示してから、多くの分野に波及し、現在では数学、経済学、生物学、統計学、心理学、法学、政治学など様々な分野で研究されている。本講義は、経済学部での講義であるため、経済分野への応用を見据えて構成することとする。例えば、寡占競争、オークション、貿易問題、賃金契約、金融政策など幅広い問題がゲーム理論によって分析可能である。
 ゲーム理論は、全体としては高度に数学的であるが、そのコンテンツ自体は身近なものであり数学的な基礎がなくても十分に理解できる。本講義では、教科書『世界一わかりやすいミクロ経済学入門』を使って、全く数学の知識を前提とせず、ゲーム理論の面白い部分だけを習得していただく。
 ゲーム理論は、おおまかに分けると、戦略型ゲーム(ワンショットのゲーム)と展開型ゲーム(手番で進行するゲーム)の二種類がある。後期には、教科書の第9講と第10講にある戦略型ゲームを講義する。講義内容は、利得行列の読み方、戦略の定義、支配戦略による均衡、ナッシュ均衡などを、囚人のジレンマゲーム、協調ゲーム、などを使って解説したあと、現実的な応用として、「銀行の取り付け」と「リニエンシー制度」を分析する。

授業の到達目標

 戦略型ゲームの記述の仕方と支配戦略およびナッシュ均衡を理解すること。ゲームの均衡を使って、現実の事例を分析できること。

成績評価の方法および基準

 毎回の演習プリントの提出(30%)と期末テスト(70%)の合計によって評価する。履修カードの提出、カードリーダーのクリック回数、演習プリントの提出枚数が不足の場合、期末テストの受験資格を与えないので注意すること。就活は欠席の理由として認めない。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 世界一わかりやすいミクロ経済学入門小島寛之講談社
参考文献

準備学修の内容

 Web File Serverに毎週、復習のための宿題をアップロードするので、次の講義までに60分程度で解答しておくこと。

その他履修上の注意事項

 講義は、スライド画面で行うので、ノートを取るゆとりはない。教科書『世界一わかりやすいミクロ経済学入門』を見ながら講義を聴く形式になるので、教科書がないと講義を理解できない。2回目の講義までに、必ずテキストを入手しておくこと。
 毎回、演習プリントで実習し、正解した場合のみ提出できる。プリント提出に対し加点、未提出に対しペナルティを与える仕組みなので、演習プリントの毎回提出を心掛けること。履修カードの提出、カードリーダーのクリック回数、演習プリントの提出枚数が期末テストの受験資格に関わるので、必ず初回の講義に出席して単位取得の要件を確認の上で履修登録すること。就活には配慮しないので、就活で欠席が多くなる学生は履修しないこと。

授業内容

授業内容
第1回 講義ガイダンス~講義の内容、単位取得方法などを説明
第2回 教科書第9講p137:戦略型ゲーム、囚人のジレンマゲーム
第3回 教科書第9講p138~p141:戦略の強支配、囚人のジレンマゲームの均衡
第4回 教科書第9講p142:企業の過当競争
第5回 教科書第9講p162:リニエンシー制度
第6回 教科書第9講p143:宿題のコピペゲーム
第7回 教科書第9講義p144~p145:支配戦略による逐次消去
第8回 教科書第10講p151~p152:ナッシュ均衡の登場
第9回 教科書第10講p154:しがらみとしてのナッシュ均衡
第10回 教科書第10講p155~9156:右へ倣え均衡
第11回 教科書第10講p157:銀行の取り付け
第12回 教科書第10講p158:ベルトラン競争
第13回 教科書第10講p159~p160:ベルトラン均衡
第14回 総合演習
第15回 講義の遅れに対する調整または最終演習