入門マクロ経済学Ⅰ
担当者小島 寛之教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングECT-103

授業の概要(ねらい)

 経済学の理論は大きく分けると、ミクロ経済学とマクロ経済学に分かれる。ミクロ経済学が、一人一人の消費者や労働者、それから一つ一つの企業などに注目して、経済を営む最小単位からアプローチするのに対し、マクロ経済学は、国家単位で集計して巨視的な観点から経済にアプローチするものである。
 マクロ経済学を学ぶことは何の役に立つのだろうか。
 それは、経済が国家単位の集団として営まれるとき、そこに現れる法則性が、わたしたち個人個人の生活にどんな影響を持つかがわかる、という点で役にたつのである。このような知識は、単に「単位が取れて卒業できた」ということ以上のメリットを諸君にもたらすだろう。それはなぜか。例えば、社会人になると、多少の蓄えができる。そのおおよそは銀行預金にするが、一部は株や投資信託などで増やそうと考える。このとき、物価や利子率の動向を予測するのは大切で、それは景気の先行きと密接な関係を持っている。また、家庭を持って子供ができると、いずれ住宅を購入する。現金で買える人は少ないので、たいていはローンを組むだろう。このとき、利子率の動向を予見したり、自分の職業の将来を見据えるのは、大切な態度である。このような「経済の見通し」を作るには、マクロ経済学の知識はなくてはならないものなのである。
 この講義では、マクロ経済学への入門を、できるだけ身近な例を使って行うこととしよう。まずは、マクロの指標(経済の定期健診項目)を知るのが、第一歩である。GDP、経済成長率、GDPデフレーター、インフレ率、実質成長率と名目成長率、貨幣供給量などから、国の経済を診断する具体的な眼力を養う。さらに、それらの指標にどういう関連性があり、どのような法則が潜んでいるのかも易しく講義する。具体的には、貨幣供給量(マネー・サプライ)と物価の関係を表すフィッシャー方程式を導出する。
 このような経済指標の理解は、現在さまざまな国で起きているインフレまたはデフレからの経済の混乱を理解するのに大きく役立つはずである。きっと新聞やテレビでニュースを見るのが楽しくなるに違いない。

授業の到達目標

 経済指標とその連関を正しく理解し、それから現実のデータを見ることができることを到達目標とする。

成績評価の方法および基準

 講義内の問題演習を抜き打ちで3回実施する(30%)。それに期末テストの点数(70%)を加えて評価する。履修カードの提出、カードリーダーのクリック回数、演習プリントの提出枚数が不足の場合、期末テストの受験資格を与えないので注意すること。就活は欠席の理由として認めない。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 
参考文献

準備学修の内容

 Web File Serverに毎週、復習のための宿題をアップロードするので、次の講義までに60分程度で解答しておくこと。

その他履修上の注意事項

 抜き打ちで3回、プリント演習を行い、その点数と期末テストの点数の合計で成績評価する。一方、カードリーダーのクリック回数、演習プリントの提出枚数が少ない者には期末テストの受験資格を与えないので、初回の講義に必ず出席して単位取得の要件を確認した上で履修登録すること。就活で欠席が多くなる学生は履修しないこと。

授業内容

授業内容
第1回 講義ガイダンス~講義の内容、単位取得方法などを説明
第2回 マクロ経済学と経済指標~マクロ経済学とはどんな学問か
第3回 GDP1~GDPの定義、ストックとフロー
第4回 GDP2~世界の国々のGDP、日本のGDPの変遷
第5回 経済成長率~経済成長率の定義、プラス成長とマイナス成長
第6回 物価~物価とは何か、インフレとデフレ、日本の物価の変遷
第7回 名目GDPと実質GDPの違い
第8回 実質GDPとGDPデフレーター
第9回 インフレ率、インフレとデフレの引き起こす問題
第10回 中央銀行と貨幣供給
第11回 貨幣量と物価と賃金の関係
第12回 貨幣量と物価の関係を方程式にする(フィッシャー方程式)
第13回 貨幣供給と物価の関係
第14回 総合演習
第15回 講義の遅れに対する調整または最終演習