担当者 | 小沢 健市 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [経済学研究科 経営学専攻] | |
科目ナンバリング |
この特講の「ねらい」は,観光における情報の重要性を受講生に認識してもらうこと,そして情報が観光にどういった影響を及ぼすかを情報の経済学の基礎概念と起訴理論の講義を通じて理解してもらうことである.情報化社会といわれ続けて久しいが,「情報」について受講生に認識を改めてもらう機会を提供したい.受講生には,情報を学問的に捉え,情報が完全である場合と不完全である場合には全く違う結果が生じることを,受講生に理解させ,認識させることがることがこの特講のねらいであるといっても過言ではない.例えば,観光者にとって土産品価格に関する情報が不完全であるとするならば,観光者は,購入のための時間が十分に取れないならば,彼らは購入する小売店や土産品店で同一の土産品を異なる価格で購入せざるを得ないという結果が得られる.一物一価が競争市場で成立することが原則であるが,不完全情報のもとでは,それが妥当しなくなるというケースが存在する..
情報に関する基礎理論の学習を通して,観光にとって情報がいかに重要であるかということを,受講生自身が認識し理解可能にすることがこの講義の到達目標である.受講生の「情報に関する考え方」が一変することは疑いない.また議論や討論を通じて,受講生は,現代経済社会において,いかに情報が重要かを理解可能になるはずである.
成績は,期末のレポートによってのみ評価する.ただし,出席は評価の対象にはならないことに注意せよ.もちろん,15回の講義回数のうち三分の一以上の欠席をした受講生の評価はしない.
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 教科書は利用せずに,毎回講義時にプリントを配布する. | ||
参考文献 | 『インフォーメーション・エコノミー:情報化する経済社会の全体像』 2014年 | 篠崎彰彦 著 | NTT出版 |
予習・復習を必ず励行すること.ただし単なる予習・復習ではなく、重要な事項や専門用語,そして理論や事例を常に簡潔にノート等にまとめておくことが必要である.
情報の経済学に関する書籍や論文,それも基礎理論を述べた文献を必ず1冊は精読すること.
回 | 授業内容 |
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第1回 | 受講に当たってのオリエンテーション,半期の講義内容の詳細な説明と注意事項 |
第2回 | 情報革命とは一体何を意味しているのか |
第3回 | 情報経済学の研究の歴史を振り返る:先行研究の簡単なサーベイ |
第4回 | 情報を経済学ではどのように扱ってきたか |
第5回 | 経済主体間で情報の非対称性が存在すると,市場での財・サービスの取引はどう影響されるか |
第6回 | 情報の非対称性の存在は悪貨が良貨を駆逐するのと同様の結果をもたらす |
第7回 | 情報の不完全性や非対称性は我々に教訓として何を残してくれたのか |
第8回 | 情報収集は不確実性の軽減につながるか:リスクと不確実性と情報、その観光への関わり |
第9回 | 期待効用理論の平易な説明:観光との関わりを説明する |
第10回 | 情報化社会とは何を意味しているのか:情報の産業化かそれとも産業の情報化か,そして消費者にとって情報はどのような意味を持っているのか |
第11回 | 情報は多ければ多いほど望ましいと言えるのか:情報の多寡が経済に及ぼす影響とは何か,過剰な情報のなかから正しい情報の選択は可能か. |
第12回 | 受講生の研究課題のにおいて,情報はどのような位置づけができるか |
第13回 | 経済学における情報の取扱方:経済学における情報の扱い方・再論 |
第14回 | 観光と情報のかかわりについてのまとめ |
第15回 | 講義のまとめとレポート課題の提示,およびレポート課題の内容の説明 |