欧米文化Ⅱ-Ⅰ
担当者
単位・開講先選択  2単位 [総合基礎科目]
科目ナンバリングEUL-103

授業の概要(ねらい)

 近代以降、ヨーロッパの文化・技術は地球規模で決定的な影響を与えるようになった。しかし、他方では、ヨーロッパ人に他民族・他人種に対する優越意識もうまれた。それは「ヨーロッパ中心主義」として現在しばしば批判の的となっている。本講義もまた「ヨーロッパ中心主義」から解放された、地球上の諸文明に対して相対化されたヨーロッパ像を探求する。
 「ヨーロッパとは何か?」という問いを経糸に、古代から近世初期まで各時代の特徴ある文化を取り上げていく。扱う素材は様々だが、ヨーロッパ(文化)を構成するとされる3つの要素、すなわち〈グレコ=ローマン〉、〈キリスト教〉、〈ゲルマン・スラヴ〉といった要素がヨーロッパの個性形成にどのように働いていったかを考察する。

授業の到達目標

 1.ヨーロッパ文化の構成要素が説明できるようにする。
 2.ヨーロッパの基底的文化を理解する。

成績評価の方法および基準

最後の授業時に筆記試験を行います。最終回に近い時期に試験の様態について解説をしますので、出席するようにしてください。期末テスト(80%)、小レポート(20%)

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献『民族の世界史(8)ヨーロッパ文明の原型』(山川出版社)

準備学修の内容

 いくつかのテーマ群になっていますから、関心に応じて紹介した文献に必ず当たるようにしてください。

その他履修上の注意事項

 通史を行うものではありません。高校世界史の教科書や参考書を越えた、常に参照できる通史的な概説書などが手元にあるとよい。

授業内容

授業内容
第1回 講義に向けてのオリエンテーション。
第2回 ヨーロッパの神話世界(1):ヨーロッパ生成神話としてのエウロペの略奪について学ぶ
第3回 ヨーロッパの神話世界(2):神話学はヨーロッパの基底文化をどうとらえているかを学ぶ
第4回 『アエネーイス』:新トロイアとしてのローマの建国について学ぶ
第5回 ヨーロッパ諸民族の形成:ヨーロッパの民族と言語について学ぶ
第6回 ケルト周縁:ヨーロッパの基層文化としてのケルト世界について学ぶ
第7回「騎士ローラン、ロンスヴォー峠に死す:ヨーロッパの観念の成立にイスラームが触媒となったことを学ぶ
第8回「騎士ヴァルターはドイツを歌う」:ナショナリズム以前の国民の生成ということについて学ぶ
第9回「ハーメルンの笛吹き男」:中世の社会史というテーマについて学ぶ
第10回スラヴ世界の形成:ヨーロッパの西と東について学ぶ
第11回ダンテ:ルネサンスを再考する
第12回シェークスピア:イングランド王国の歴史について学ぶ
第13回教派形成:ヨーロッパのキリスト教会について学ぶ
第14回高等文化と民衆文化:文化についての見方について学ぶ
第15回まとめと試験