少年非行論
担当者山口  毅教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [社会学科]
科目ナンバリングSOC-241

授業の概要(ねらい)

 現代の少年非行について、多くの人びとが漠然としたイメージを抱いているのではないだろうか。たとえば近年の少年非行は凶悪化し、普通の少年が非行に走るなど一般化し、低年齢化している。少年保護の思想・制度は加害者を甘やかすばかりであり、必要なのは厳罰化である。このようなイメージである。
 そうした印象の大部分は、マスメディアの報道からもたらされているのだが、報道は必ずしも実態を正しく伝えるものではない。この授業ではまず、少年非行の実態に関して統計的な根拠からアプローチする。次いで、メディア報道の有するバイアス(偏り)について検討する。さらに、少年院における矯正教育を取り上げ、少年保護の理念に基づいた現場の実践を紹介する。それらを通じて、少年非行をめぐる現実をより深く理解することを目的としている。

授業の到達目標

 少年非行に関する社会的現実を、根拠に基づいて把握する。

成績評価の方法および基準

 学期末試験(60%)と小レポート(20%)および平常点(20%)を総合的に評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキストは用いない。参考文献は、授業中に指示する。
参考文献

準備学修の内容

 授業内容を把握するとともに、授業内で紹介する参考文献を読み、わからない用語を調べておくこと。

その他履修上の注意事項

 犯罪・非行に対する理論的な捉え方は、「犯罪社会学」で扱うので、参考にしてほしい。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション:少年非行とは
第2回 少年非行の実態(1):戦後の少年非行の「波」
第3回 少年非行の実態(2):「凶悪化」について
第4回 少年非行の実態(3):「一般化」について
第5回 少年非行の実態(4):「低年齢化」について
第6回 メディア報道の落とし穴(1):犯罪不安の高まり
第7回 メディア報道の落とし穴(2):報道される動機の語彙
第8回 メディア報道の落とし穴(3):劇場型犯罪と模倣犯罪
第9回 非行少年の処遇(1):処遇の仕組み①
第10回 非行少年の処遇(2):処遇の仕組み②
第11回 非行少年の処遇(3):少年院の矯正教育
第12回 非行少年の処遇(4):有効な処遇とは
第13回 少年法のゆくえ:保護主義と少年法改正
第14回 非行少年・不良少年・暴走族:人々のまなざしの変化
第15回 まとめ:少年の「逸脱」をどう捉えるか