担当者 | 山口 毅教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [社会学科] | |
科目ナンバリング | SOC-324 |
「社会問題」とは、幅広い問題群を包括した名称である。社会学の対象はすべて社会問題だといってもよいだろう。とはいえ「社会問題の社会学」の観点から考えれば、社会問題には共通の特徴がある。解決すべき問題の存在を訴えかける活動によって、社会問題は私たちの前に現れるという点である。たとえば犯罪という社会問題を考えてみよう。治安の悪化を憂える報道、行政の文書や統計、国会での議論、研究者の調査、ネット掲示板に書きこまれる意見、近所の噂、地域の防犯対策、セキュリティを売る企業...。いずれもが、問題を訴えかける活動に関わっている。それらに触れることで、私たちは社会問題としての犯罪の存在を実感しているのだ。
この授業では、社会問題の特徴―人びとの活動により構築されるという側面―に注目し、社会問題の社会学の考え方を解説していく。犯罪と差別という2つのトピックを中心に、社会問題についての様々な主張がどのように絡み合い、社会の変化を促していくのかを検討していきたい。それらを通じて社会問題と私たちの日常とのつながりについて理解を深めることが、この授業の狙いである。
社会問題の性質を学び、日常生活とのつながりを理解すること。
学期末試験(60%)と小レポート(20%)、平常点(20%)を総合的に評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | テキストは用いない。参考文献は、授業中に指示する。 | ||
参考文献 |
授業内容を把握するとともに、授業内で紹介する参考文献を読み、わからない用語を調べておくこと。
社会問題論が対象とする個別のトピックは、「社会病理学」の授業でも取り上げるので、興味のある人は参考にしてほしい。
回 | 授業内容 |
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第1回 | イントロダクション:社会問題とは |
第2回 | 社会問題の理論(1):伝統的社会問題論のアプローチ |
第3回 | 社会問題の理論(2):構築主義の社会問題論 |
第4回 | 社会問題としての犯罪(1):犯罪定義の問題性① |
第5回 | 社会問題としての犯罪(2):犯罪定義の問題性② |
第6回 | 社会問題としての犯罪(3):「治安悪化神話」と実態 |
第7回 | 社会問題としての犯罪(4):刑務所と排除型社会① |
第8回 | 社会問題としての犯罪(5):刑務所と排除型社会② |
第9回 | 社会問題としての差別(1):イントロダクション |
第10回 | 社会問題としての差別(2):ラベリングとアイデンティティ |
第11回 | 社会問題としての差別(3):抵抗の私的戦略 |
第12回 | 社会問題としての差別(4):抵抗の集合的戦略① |
第13回 | 社会問題としての差別(5):抵抗の集合的戦略② |
第14回 | 社会問題としての差別(6):問題経験とクレイム |
第15回 | まとめ:社会問題と現代社会 |