教育社会学Ⅰ
担当者山口  毅教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [社会学科]
科目ナンバリングSOC-223

授業の概要(ねらい)

 みなさんが在籍しているのは、高等教育機関の4年制大学である。学校に通うことの理由や目的、意義はさまざまにあるだろう。だが、卒業すれば大卒という肩書きを手に入れること、そしてその肩書きが就職を決める際にも無関係ではないこと、そうしたことは誰もが承知しているのではないかと思う。
 学校教育は、人びとを選り分け、格差のある社会的地位へと送り込む働き―それを教育の選抜・配分機能という―をもっている。教育社会学は教育のもつそうした働きを、主要テーマのひとつとして分析してきた。言い換えれば、学歴社会の仕組みを明らかにすることを得意分野としてきた。そこでこの授業では、教育のもつ選抜・配分機能を切り口として、教育と社会の関わりを検討していきたい。内容はどちらかといえば卑近で下世話なものである。しかし教育の選抜・配分機能は、私たちの生きている近代社会の掲げる、自由や平等という理念と関連している。とはいえ、声高に理想を叫ぶ前に、現実はどのようになっているのかを見てみよう。そして、今までに明らかになったことから得られる示唆はなにか、考えていきたいと思う。

授業の到達目標

 教育の選抜・配分機能について学び、教育と社会の関わりを理解すること。

成績評価の方法および基準

 学期末試験(60%)と小レポート(20%)および平常点(20%)を総合的に評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書テキストは用いない。
参考文献『教育社会学(改訂版)』天野 郁夫ほか(放送大学教育振興会)
参考文献『教育の理念と思想のフロンティア』伊藤 良高ほか(晃洋書房)

準備学修の内容

 授業内容を把握するとともに、授業内で紹介する参考文献を読み、わからない用語を調べておくこと。

その他履修上の注意事項

 この授業は、教育社会学への入門的な案内である。教育社会学IIでは、教育問題を中心に取り上げる。

授業内容

授業内容
第1回 イントロダクション:教育社会学の対象と方法
第2回 近代社会と教育(1):近代社会の成立に学校教育が果たした役割
第3回 近代社会と教育(2):近代学校はどんな点でそれ以前の学校とは違うのか
第4回 近代社会と教育(3):西洋における近代学校の誕生
第5回 近代社会と教育(4):自由・平等の理念と教育における選抜との関係①
第6回 近代社会と教育(5):自由・平等の理念と教育における選抜との関係②
第7回 教育と選抜(1):日本社会の近代化と教育の機会①
第8回 教育と選抜(2):日本社会の近代化と教育の機会②
第9回 教育と選抜(3):機会の平等の阻害要因①―経済的要因
第10回 教育と選抜(4):機会の平等の阻害要因②―文化的要因
第11回 教育と選抜(5):文化的再生産論①―バーンステインの理論
第12回 教育と選抜(6):文化的再生産論②―ブルデューの理論
第13回 ジェンダーと教育(1):ジェンダー(社会的性差)と選抜・配分の関係
第14回 ジェンダーと教育(2):性役割の社会化と「隠れたカリキュラム」
第15回 まとめ:近代社会の構造変容と教育