アジア地域の社会と文化Ⅰ
担当者三輪 博樹教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [外国語学科 2016年度以前入学]
科目ナンバリングARS-205

授業の概要(ねらい)

 インドは現在、新興国のひとつとして注目されており、わが国にとっても、経済や安全保障などの面で重要な国となりつつあります。その一方で、インドは多様かつ複雑な社会を有し、さまざまな社会的・経済的な問題を抱えています。本科目では、現在のインドにおけるそうした社会的・経済的な問題について説明します。
 授業の前半では、カーストや宗教などのインドの社会問題について説明し、そうした問題をポストコロニアルという観点から検討します。後半では、都市の消費文化、教育問題、若者の政治行動、農民が直面している諸問題、マスメディアの働きなど、現在のインドにおけるさまざまな問題や現象について説明します。
 各回(第1回を除く)の授業の終わりに、10分程度の小テストを行います。小テストでは、授業で学んだ知識を確認するだけでなく、授業で学んだ事柄に対して自分なりにどう考えるのか、各自の考え方や意見などをまとめていただきます。この授業を通して、インドという国に対する理解を深めていただければと思います。

授業の到達目標

 以下の3つを到達目標とします。(1)現在のインドの社会問題に関して、ポストコロニアルという観点から理解し検討する。(2)現在のインドにおける社会問題や社会現象に関して、わが国の事例と比較しながら理解し検討する。(3)現在のインドが抱えるさまざまな問題に関して、その原因や解決策などについて自分なりの考えを提示できるようになる。

成績評価の方法および基準

 各回の小テストの合計点(40%)と、期末レポートの内容(60%)を合わせて評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 教科書は指定しません。各回の授業ごとに、講義内容をまとめたレジュメや関連資料などを配布します。
参考文献『現代南アジアの政治』堀本武功・三輪博樹 編放送大学教育振興会、2012年
参考文献『南アジア社会を学ぶ人のために』田中雅一・田辺明生 編世界思想社、2010年

準備学修の内容

 初回の授業のときに、2回目以降の授業内容の詳細について説明し、各回の「予習・復習のポイント」をまとめた資料を別途お渡しします。各回の授業で使用するレジュメや資料はひとつ前の回の授業のときに配布しますので、初回にお渡しする「予習・復習のポイント」を参考にしながらレジュメや資料を読み、内容を理解するとともに、疑問点などを明らかにしておいてください。

その他履修上の注意事項

 特になし。

授業内容

授業内容
第1回イントロダクション:授業の概要と進め方、インドの政治・社会・文化
第2回カースト制度と不可触民:カースト制度とは何か、不可触民とはどのような人々か
第3回弱者優遇政策:特定カーストに対する留保制度をめぐる対立
第4回多宗教社会:インドにおける主な宗教、宗教をめぐる対立
第5回宗教ナショナリズム:ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭
第6回統治をめぐるイデオロギーの対立:歴史的経緯、政党政治との関わり
第7回ジェンダーと女性問題:伝統の担い手としての女性、女性に対する暴力
第8回ポストコロニアル:インドの社会問題をポストコロニアルという観点から見る
第9回経済政策:経済自由化のインパクト、経済成長と都市の消費文化
第10回アイデンティティ政治とガバナンス:政治にもたらす影響
第11回教育問題:インドの教育制度、学歴社会と厳しい受験戦争
第12回若者の行動:政治意識の高まり、活発な政治参加
第13回農民の行動:インド経済における農業の重要性、農民が直面している諸問題
第14回マスメディア:活発なジャーナリズム、マスメディアをめぐる問題点
第15回ディアスポラ:在外インド人の持つ政治的・経済的な影響力