担当者 | 佐藤 斉華 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [社会学科] | |
科目ナンバリング | HAA-101 |
「東洋」は広大であり、そこに住む人も歴史も様々である。「西洋」という他者と対比するのでなければ、東洋を一つにくくることにほとんど意味はないといってもよい。また、東洋各地の社会は、西洋との歴史的交わり(それはしばしば植民地支配・被支配関係というかたちをとってきた)を通じて変容し、あるいは変容させられてきた。「西洋とは異質な東洋」なるものは、西洋との接触以前から既にそこにずっとあったわけではなく、西洋とは異質な(異質であるべき)何ものかとして、他ならぬこの西洋との出会いを通して、形成されてきたものなのである。
このことをふまえ、東洋の社会・文化の歴史性を具体的にとらえるために、本講義では西洋との接触のもとにおかれた南アジア世界、とりわけ近代インド社会を取り上げる。今なお「カースト社会」というイメージが内外に根強いインド社会のありようは、西欧近代との交渉を通していかに形づくられてきたのだろうか。そもそもなぜ、「インド=カースト社会」というイメージが固定化されることになったのだろうか。
ひときわダイナミックに変貌しつつある現代インドとの連続性にも目配りしながら、講義と折々の討議やグループワークを通じて、近代インドとそれを含む世界についての多面的な理解の形成をめざす。
歴史のなかで「社会」を捉える態度を獲得する。東洋/南アジア/インド世界についての基礎的知識と、それ(東洋/南アジア/インド)をそのなかに適切に位置づけた世界像を修得する。
毎回授業後に課す課題の合計点から算出する平常点(40%)及び学期末に行う試験(60%)を総合して評価する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | |||
参考文献 | 『歴史のなかのカースト:近代インドの<自画像>』2003年(図書館に「指定図書」として別置) | 藤井 毅 | 岩波書店 |
授業の前後に、参考書の関係箇所を読む。授業内容についての疑問・コメントを書きとめ、短文にまとめてフィードバックする。
授業の中で折にふれて提起する問いかけに積極的に応答する姿勢で臨んでほしい。私語厳禁。
回 | 授業内容 |
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第1回 | イントロダクション(1):「東洋」という問題設定 |
第2回 | イントロダクション(2):私たちにとっての「インド」とは |
第3回 | イントロダクション(3):「カースト」を今考える意義 |
第4回 | インドへのイントロダクション(1):インド人の現代の暮らしを瞥見する |
第5回 | インドへのイントロダクション(2):現代インド社会の諸イシューを瞥見する |
第6回 | インドはいつ「インド」になったか |
第7回 | 植民地支配とカースト(1):「歴史なきインド」観の形成 |
第8回 | 植民地支配とカースト(2):司法におけるカーストの扱い |
第9回 | カーストをめぐる語りの増殖(1):植民地支配とインドにおける/についての知の生産 |
第10回 | カーストをめぐる語りの増殖(2):国勢調査 |
第11回 | カーストをめぐる語りの増殖(3):民族誌調査 |
第12回 | カーストの実体化(1):初期キリスト教宣教師のカースト観 |
第13回 | カーストの実体化(2):キリスト教宣教師のカースト観の展開 |
第14回 | まとめと試験 |
第15回 | 試験解説と後期授業への展望 |