手話コミュニケーション応用Ⅰ
担当者根本 友己
単位・開講先選択  2単位 [自己啓発支援科目]
科目ナンバリングSNE-103

授業の概要(ねらい)

 手話に関しては障害者権利条約の批准の中で、言語として位置づけられたことなど、今は社会に広く認知され、テレビ以外でも様々な場面で目にすることが増えてきている。手話を学びたい人々も多いが、継続して学べる機会はまだ十分とは言えない。この講義は手話コミュニケーション入門を学習して、手話に興味を持ったものが継続して手話の学習を深められるようなものとして授業を設計している。
 授業の対象として手話コミュニケーション入門ⅠおよびⅡを学習したものが、さらに手話の理解を深め技能を積み上げられるようする。そのために内容を継続して学習できるように入門編の内容を含んだテキストを使用し必要に応じた復習も簡便に実施する。その土台に立ち、使える手話単語を増やし、文法の理解を含め、手話の表現力を高めるような内容を取り上げる。
 実際の授業では、これまで学んだ簡単な会話を土台にして、「具体的な表現、置き換え表現、手や顔の表現、格の決定」などの手話の文法を使って自己表現ができ、日常の会話でも豊かな、分かりやすい表現が可能になるような構成にしている。この内容をグループ活動や毎時間の個人発表を取り入れて手話技能の習得を確実にしていく。
 加えて聴覚障害者の社会的、歴史的立場やそれに関連した事項を理解し、聴覚障害者への支援や共生社会に参加する姿勢を得られるような講義内容を提供したい。

授業の到達目標

 ①手話の文法の基礎を理解し、それに踏まえた手話表現で聴覚障害者とスムーズな会話ができるようになる。
 ②手話単語の語彙数を増やし、手話検定での3、4級レベルの程度の単語を使え、幅広い話題に対応できるようになる。
 ③聴覚障害者の社会的、歴史的立場の内容を理解し、共生社会に参加する姿勢が身に付く。
 ④聴覚障害学生への支援に参加しようとする姿勢を得る。

成績評価の方法および基準

 学習内容の評価配分は手話技能70%、障害理解30%とし、評価する内容、方法としては授業の中での発表内容20%、講義のまとまりごとに実施するミニテスト20%、期末テスト60%の割合で評価をする。
 出席が10回未満の者は単位認定を受けられない。やむを得ない事情以外が遅刻早退を認めない(出席に数えない)。

準備学修の内容

 ①毎回の授業で取り上げる内容をテキスト、テキスト付属のDVDであらかじめ視聴しておくこと。
 ②授業で習った手話表現をテキスト付属のDVDを活用してしっかりと再現できるようにすること。
 ③テレビの手話ニュース(NHK手話ニュース845)、手話の学習番組、聴覚障害関連の番組(NHKみんなの手話、ろうを生きる難聴を生きる)を積極的に視聴すること。
 ④聴覚障害学生と交流の機会を持ち、ノートテイク等の支援に積極的に関わろうとすること。

その他履修上の注意事項

 この授業は手話コミュニケーション入門Ⅰ、Ⅱの単位を取得したものを原則対象にしている。復習もするが基本的に今までの内容が十分身に付いていることが前提である。テキストの前半部に入門Ⅰ、Ⅱの内容が記載されているので事前にDVDを活用し復習をして臨んでほしい。特に2回目から7回目までは今後の応用編を学ぶ基礎知識として押さえ、その発展形も学習するが、復習なのでのでこの期間に入門編の内容を確実にする。
 また、手話は実際に使うことで身に付く。聴覚障害者、特に本学の聴覚障害学生との交流、支援を通して日常で使う機会を持ってほしい。

授業内容

授業内容
第1回 オリエンテーション(授業の内容、進め方、テキストの使い方等)、指文字などの復習。
第2回 自己紹介(名前、家族、趣味、仕事、住所)の復習 (3~8講座)
第3回 自己紹介(総合、まとめと発展、応用) (9講座他)
第4回 時の表し方の復習(一日から一年のことを話す) (10~12講座他)
第5回 パーティ等行事の計画(計画を作る。疑問詞、質問等)
 旅行のことを話す。(質問と答える会話の発展) (13、14講座他)
第6回 病院のことを話す。(いろいろな体の状況を伝える。) 15講座
 学校でのこと(出来事を尋ねる)を話す。 16講座
第7回 職場のことを話す。入門編のまとめ、ミニテスト 17、18講座
第8回 話し合いⅠ(表情強弱速度、具体的表現<様子・形>) 19、20講座
第9回 話し合いⅠ(具体的表現<動き>、まとめ) 21、22講座
第10回 話し合ってみましょうⅡ、ミニテスト
 主語を分かりやすく①位置・方向(一対一で) 23講座
第11回 主語を分かりやすく②位置・方向(第三者を含む) 24講座
第12回 主語を分かりやすく③役割の切り替え 25講座
第13回 主語を分かりやすく④指さし 26講座
第14回 主語を分かりやすくのまとめと総合演習 27講座他
第15回 最終試験とまとめ
 以上の実技のほかに各授業の最終部分にテキストに示されている講義として以下の(1)から(3)の3項目の内容と、(4)として手話に関するものを聴覚障害理解の内容で講義していく。
(1)障害者福祉の基礎;障害の概念、ノーマライゼーションの理念等障害者福祉の概要を理解する。(3回に分け、第3回から第5回に講義)
(2)聴覚障害者活動と聴覚障害者福祉制度;聴覚障害者活動の歴史を学習(3回、第6回から第8回)
(3)ボランティア活動;ボランティア活動(手話奉仕員活動)の概念、心構え等を理解するとともに、手話奉仕活動への参加意欲を高める。(3回、第9回から第11回)
(4)その他、聴覚障害、手話に関連した内容として以下の日程で講義する。
  ①聴覚障害学生の支援(第2回)②ろう、難聴者の生活に関連するテレビ等での報道内容で理解を深める。(2回)(第13、14回)③手話検定試験の内容(第14回)