担当者 | 今野 久子教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [観光経営学科] | |
科目ナンバリング | ECP-206 |
「新しい観光」の時代を迎え、観光対象は多様化している。そうしたなかで、景観は地域の骨格とその成り立ちを示すものとなる重要な観光資源である。
景観の楽しみは、現在のまち・暮らしの姿はもとより、その背景にある地域の歴史・文化やまちを取巻く自然・風土も一体となって、より印象的に味わうことができる。地域の景観の魅力や価値を発見・共有し、観光・まちづくりに活かそうとする取組みは、時代に応じて変容する地域に要請されてきた都市的機能や利便性との折合いをつけつつ、各地で模索されてきた。
本講義では、春学期に、景観論の学修に向けた導入として、景観の概念や捉え方について基礎的知見を紹介し、あわせて、景観形成に関わる主要な制度の変遷について概観した。そのうえで、我が国の主な観光地の類型ごとに景観の成立ち・特徴について概説し、地域・観光資源としての景観について理解と関心を促した。春学期の総論を踏まえ、秋学期には各論として、景観形成に資する様々な取組み方策について具体的に論じていく。主な施策・制度の枠組みや、計画・ルールの活用、官民協働の景観・まちづくり活動の内容について、各地の実践例をもとに概説する。対象は、景観を重要な観光資源としていること、景観形成の取組みが観光や持続可能な地域づくりに結びついていること等の観点から、観光・地域計画関連の各論説で広く紹介されているものを中心に取上げることとし、観光や地域・まちづくりを学ぶうえで有用な基礎的理解を得られるようにしたい。
春・秋学期とも、講義とともに演習形式(個人またはペアワークよる課題レポート作成)を取り入れ、各自の興味関心に応じた能動的な学修を促すものとする。春学期の総論と秋学期の各論を併せて体系的に理解を深めるよう、通年での受講が望ましい。
なお、受講者の関心等をもとに必要に応じ現地視察を行う機会をつくる。受講者や社会の状況、学修内容を勘案して適宜オンライン学修を取り入れる。
①景観を活かす取組みとしての施策・制度、計画・ルール、官民協働の景観・まちづくり活動とその実践例について、基礎的事項を理解し、説明することができる。
②観光地の景観の特徴や景観形成の取組みを地域のまちづくり・観光振興に活かすために重要だと考える事項について自らの意見を述べることができる。
授業内・外で作成する課題レポートが30%、授業内容を基に各自が作成する振り返りシートが10%、中間試験が30%、期末試験が30%として評価する。
中間試験、期末試験は自らが作成した振り返りシートのみ持ち込み可とする。試験の一部は小論文形式とする。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 基本的にはパワーポイントに基づいた講義とし、ファイルをLMS上に掲載する。参考文献は授業のなかで適宜紹介するが、より深く学ぶための代表的・古典的な参考書の一部を以下に示す。 | ||
参考文献 | 『日本の町並みⅠ~Ⅲ(別冊太陽)』 | 西村幸夫編 | 平凡社 |
参考文献 | (1982)『風景学入門』 | 中村良夫 | 中公新書 |
参考文献 | (2001)『風景学実践篇』 | 中村良夫 | 中公新書 |
参考文献 | (2003)『風景からのまちづくり』 | 中村良夫 | NHK人間講座テキスト |
参考文献 | (1975)『景観の構造』 | 樋口忠彦 | 技報堂出版 |
参考文献 | 『シリーズまちづくり教科書第8巻景観まちづくり』 | 日本建築学会編 | 丸善株式会社 |
参考文献 | 『シリーズまちづくり教科書第2巻町並み保全型まちづくり』 | 日本建築学会編 | 丸善株式会社 |
参考文献 | (2008)『日本の風景計画』 | 西村幸夫+町並み研究会 | 学芸出版社 |
参考文献 | 『季刊まちづくり』 | 学芸出版社 |
日頃何気なく訪れる街の景観を改めて意識的に見直し、街歩きを楽しみ、好き(嫌い)な場所、町並み、建築・土木施設、歴史・文化・産業、地名、地形などに関心をもつこと。よく観察したり調べたりすることを通して景観的な特徴を捉え、地域・観光資源としてまちづくり・観光振興への活用について考えることなどの習慣を持つよう努められたい。各地の景観・まちづくりの話題にも積極的に関心を向けられたい。
こうした日常の自主的学修をもとに、3.の成績評価方法に記した通り、「課題レポート」を授業時間内・外に作成し提出することを求める。
〇通年の履修により、景観に関する基礎的知識の総体的な習得に努めることが望ましい。
〇講義の妨げとなる行為を厳に慎むこと。特に他の受講学生に迷惑となる私語は退席を願い、評価の減点対象となるので留意してほしい。
〇旅先などでも、各地の景観的な特徴と地域・観光資源としての活用上の課題や取組みについて、授業で得られた知見と照らして考える問題意識を培われるよう期待している。
回 | 授業内容 |
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第1回 | イントロダクション |
第2回 | 景観を活かす取組み方策の全体像 |
第3回 | 景観法 |
第4回 | 景観計画 |
第5回 | 景観条例 |
第6回 | 個人またはペアワーク演習(課題レポート作成) ※オンライン学修を想定 関心のあるまちを対象とした景観法・計画・条例の概要 |
第7回 | 個人またはペアワーク(課題レポート作成) ※オンライン学修を想定 関心のあるまちを対象とした景観法・計画・条例の特徴・ポイント |
第8回 | 授業のまとめおよび中間試験 |
第9回 | 景観に関する規範、協定 |
第10回 | 景観形成基準 |
第11回 | 景観資源の指定・登録・認定 |
第12回 | 個人またはペアワーク(課題レポート作成) 関心のあるまちを対象とした景観形成基準と関連制度等の運用の概要 |
第13回 | 個人またはペアワーク(課題レポート作成) 関心のあるまちを対象とした景観形成基準と関連制度等の運用の特徴・ポイント |
第14回 | 景観に関する市民活動(官民協働の景観・まちづくり) |
第15回 | 授業の総括および期末試験 ※以上は、受講者の理解関心や進捗等により若干修正する可能性もある。受講者や社会の状況、学修内容を勘案して適宜オンライン学修を取り入れる。 |