知的障害教育授業研究
担当者神田 基史教員紹介, 中村  晋教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [教職研究科]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 知的障害の児童生徒の知能や社会生活能力、学習状況などの実態把握の観点と方法、個別の指導計画の作成や、領域・教科を併せた指導を中心として授業分析やその評価、効果的な指導法、授業研究の方法などについて、文献や資料、授業参観・見学を通して、協議し、実践的な力量を高める。そのためにレポート・発表に基づく演習を中心とする。
 A類学生は、児童生徒の実態把握とともに個別の指導計画の作成ができるようにするとともに、授業計画や指導案を作成する。授業参観・見学したした授業や施設概要のレポートを現在学んでいる院生の視点でまとめる。
 B類学生は、児童生徒の実態把握とともに個別の指導計画の作成と実施について検討し、改善を図るとともに、授業研究の方法や評価を学び、授業計画や指導案を作成する。授業参観・見学した授業や施設概要のレポートを中堅教員の視点でまとめる。

授業の到達目標

 知的障害の幼児児童生徒の学習の状況等を把握し、学習者の主体的な学びと生活の質の向上をめざす授業を展開するために必要な知識技能が身につく。
 <A類学生>
  適切な実態把握と個別の指導計画の作成、指導課題の明確化、指導方法を学ぶ。特に、授業研究の観点や方法を知り、授業計画に活かすことができる。
 <B類学生>
  適切な実態把握と個別の指導計画の作成、指導課題の明確化、指導方法を学ぶ。特に、授業研究の観点や方法を知り、授業の改善を図ったり授業計画に活かしたりする指導助言ができる。

成績評価の方法および基準

 演習やグループワーク・発表(50%)、レポート(50%)により評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 特定のテキストは使用しない。
参考文献知的障害児教育における生活科指導の手引文部科学省東山書房
参考文献日常生活の指導の手引改訂版文部科学省慶応出版会
参考文献生活単元学習指導の手引文部科学省慶応義塾大学出版会
参考文献作業学習指導の手引改訂版文部科学省東洋館出版社
参考文献遊びの指導の手引文部科学省慶応出版会

準備学修の内容

 1 授業の復習を行い、疑問点や新たな課題などについて調べ、追究して欲しい。
 2 特別支援学級・学校の研究授業の指導案をたくさん収集し、その工夫点や改善点を分析できる視点の涵養に努めてほしい。
 3 自身の研究課題に即した授業参観や学校・施設見学ができるよう、希望する参観先・見学先を調べておくこと。

その他履修上の注意事項

 1 教育問題(知的障害)に関するテレビ番組、新聞記事に関心をもってほしい。
 2 現場の実際の授業を参観する機会をできるだけ増やし、自らの授業づくりに生かせるよう努めること。
 3 通常学級にいる支援の必要な児童生徒への具体的な対応方法や個別の配慮を事例に基づき、常に考える視点をもってほしい。

授業内容

授業内容
第1回 オリエンテーション(講義)
 ①授業計画
 ②授業研究・指導法研究の方法や、そのための資料の収集方法を学ぶ。
第2回 個別の指導計画の作成①(講義)
 ①教育課程、個別の教育支援計画、個別の指導計画の関連を知り、個別の指導計画作成の意義と活用を学ぶ。
 ②知的障害のある幼児児童生徒の実態把握について、その観点と方法の概要を学ぶ。
第3回 個別の指導計画の作成②(講義・演習)
 ・個別の指導計画作成に必要な生育歴・医療歴、養育状況の把握について、その観点や具体的方法を学ぶ。
 ・A類学生は、実態把握の観点や方法・留意事項について習得する。
 ・B類学生は、実態把握の観点や方法の改善について検討する。
第4回 個別の指導計画の作成③(講義・演習)
 ・個別の指導計画作成に必要な知的発達や学習状況の把握の観点や具体的方法を学ぶ。
 ・A類学生は、実態把握の観点や方法・留意事項について習得する。
 ・B類学生は、実態把握の観点や方法の改善について検討する。
第5回 国際福祉機器展(東京国際展示場:晴海)
 ・A類学生は、研究課題に即した説明会に参加し、展示機器の取り扱いや活用方法を学ぶ。
 ・B類学生は、研究課題に即した説明会に参加し、自校の実践課題に対応する説明会に参画し、授業改善に資する展示機器の取り扱いや活用方法を学ぶ。
第6回 個別の指導計画の作成⑤(講義・演習)
 ・実態把握からの総合的な検討と指導課題の明確化の方法、指導計画の作成とこれに基づく指導方法や指導場面の設定・教材の検討方法を学ぶ。
 ・グループ別に、実態把握の事例をもとに、課題を明確にし、個別の指導計画の作成を行う。
第7回 個別の指導計画の活用(講義)
 個別の指導計画と教育課程との関連を押さえ、集団指導と個別指導、学習グループの編成の考え方、指導場面の設定・教材の開発などについて学ぶ。
第8回 知的障害児の指導法研究①-1(特別支援学校の授業DVD視聴)
 知的障害児の指導における教科指導の授業DVD視聴を通して特別支援学校(知的障害)における教育課程編成の特色、授業分析の観点や方法を理解する。
第9回 知的障害児の指導法研究①-2(授業見学)
 知的障害児の指導における教科と領域、領域・教科を合わせた指導についての基本的な事項を学び、特別支援学校(知的障害)における教育課程編成の特色、授業分析の観点や方法を理解する。
第10回 知的障害児の指導法研究②(演習)
 特別支援学校(知的障害)の生活単元学習の年間指導計画、単元全体計画等を分析し、在籍校・実習校の単元の設定、展開などの授業改善の視点を学ぶ。
第11回 知的障害児の指導法研究③(演習)
 ・特別支援学校(知的障害)の生活単元学習の単元設定、展開などを分析し、授業改善のための視点等の実際を学ぶ。
 ・A類学生は、生活単元学習の単元の設定や分析方法、評価方法を知る。
 ・B類学生は、これまでの生活単元学習の指導の実際から、単元の設定、展開、評価などを検討し、改善の方向を学ぶ。
第12回 知的障害児の指導法研究④(授業見学)
 特別支援学校(知的障害)の作業学習の授業見学を通して、作業種目の選定、展開などの実際を学ぶ。
 身につけた授業改善の視点を踏まえて見学授業の評価を協議する。
第13回 知的障害児の指導法研究⑤(演習)
 ・特別支援学校(知的障害)の作業学習の種目の選定、展開などを分析し、授業改善のための評価等の実際を学ぶ。
 ・A類学生は、作業学習の種目の設定や分析方法、評価方法を知る。
 ・B類学生は、これまでの作業学習の指導の実際から、種目の設定、展開、評価などを検討し、改善の方向を学ぶ。
第14回 知的障害児の指導法研究⑥(演習)
 ・特別支援学校(知的障害)の日常生活の指導・遊びの指導の課題設定、展開などを分析し、授業改善のための評価等の実際を学ぶ。
 ・A類学生は、日常生活の指導について、個別の指導計画との関連を把握し、指導の展開と評価を学ぶ。
 ・B類学生は、遊びの指導について、個別の指導計画との関連を把握し指導の展開と評価を検討する。
第15回 まとめ(講義・協議)
 特別支援学校(知的障害)の個別の指導計画と就学支援計画・移行支援計画を学び、一貫性を図ることや関係諸機関等との連携を学ぶ。