経済学演習Ⅰ
担当者江本 伸哉
単位・開講先必修  2単位 [経済学研究科 経済学専攻]
科目ナンバリング

授業の概要(ねらい)

 このゼミは、春期(経済学演習Ⅰ)と秋期(同Ⅱ)を連続して履修する通年受講を前提に設計されています。このため、院生の皆さんには通年受講を強くお勧めします。ただし、皆さんの都合によっては春期(Ⅰ)のみ、あるいは秋期(Ⅱ)のみの受講も可とします。
 われわれは日々、無意識のうちに「日本経済」の中で暮らしています。しかし、それがあまりにも日常的なために、日本経済のしくみについてじっくりと考える機会が少ないのではないかと思います。
 そこで、このゼミではまず、コンパクトで読みやすい日本経済の入門書『池上彰のやさしい経済学』2冊(春期は「1しくみがわかる」、秋期は「2ニュースがわかる」(いずれも日本経済新聞出版社)を教科書に、各章を2つに分けて、ゼミ生が輪番でその要点と疑問点、調べて分かったことをパワーポイントと配布レジュメで報告してもらいます。その後、他のゼミ生との間でQ&Aをしてもらいます。最後に私が補足、解説をします。
 池上さんは難しい経済・政治・国際・社会問題を分かりやすく解説する第一人者で、日本経済についても、よくご存知です。この本をしっかり読みこなし、ゼミでほかの院生の前で発表することによって、日本経済の基礎をひととおり理解します。同時に、社会に出てから必要になる読解力、調査能力、プレゼンテーション能力を高めます。
 私から院生の皆さんの今後の研究テーマのヒントや就活のヒントも提供します。
 ゼミで感じた疑問、感想・意見、要望・改善提案などは、授業で口頭で発言してもらってもいいですし、毎回提出してもらうミニッツペーパー(MP=復習問題)に書いて提出してもらってもかまいません。次の回に「MP通信」にまとめてお答えします。

授業の到達目標

①教科書2冊を1年かけてじっくり、深く読み通す根気を身につける。
②日本経済の基礎的な知識を理解し、他の人に説明できるようになる。
③教科書の要約(レジュメ、パワーポイント)を作成し、その疑問点を自分で調べ、分かったことをパワポのスライドを操作しながら発表できるようになる。
④自分なりの問題意識をもち、調べたこと、分かったことをレポートの形で論理的にまとられるようになる。

成績評価の方法および基準

①評価は春期(経済学演習Ⅰ、2単位)、秋期(経済学演習Ⅱ、2単位)に分けて行います。
②出席が3分の2(半期ごとに原則10回)未満の場合は、単位を与えません。公欠は1か月以内に届け出てください。届け出ないと欠席扱いになってしまいます。
③「ミニッツペーパー」(MP=復習問題)60点(MP1回4点×15回=60点、公欠の場合は2点)。
④期末レポート40点。
⑤MPで特に優れた質問、感想・意見、要望・改善提案をした場合には、③④とは別に特別加算(5~20点)をします。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書(春期)池上彰のやさしい経済学1 しくみがわかる 池上彰ほか日本経済新聞出版社
教科書(秋期)池上彰のやさしい経済学2 ニュースがわかる池上彰ほか日本経済新聞出版社
参考文献一番わかりやすい日本経済入門塚崎公義河出書房新社

準備学修の内容

①教科書を必ず手に入れて、まず読み通してください。分からないことがあっても気にしないで通読して、大まかな意味をつかんでください。
②その日の教科書の該当箇所について、発表担当者はパワーポイントとレジュメに要約や疑問点、意見などをまとめて、皆さんの前で発表できるように用意してください。担当者以外の院生も、もう一度読んできてください。
③『日本経済新聞』を毎日読みこなす習慣をつけることを強くお勧めします。紙の新聞でも、電子版でも構いません。電子版はスマホやタブレット、PCで読めます。図書館では紙の新聞が無料で読めます。
④雑誌では『日経ビジネス』『週刊エコノミスト』『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』『プレジデント』など経済誌にも目を通しましょう。
⑤テレビではテレビ東京の『ワールドビジネスサテライト」「ガイアの夜明け」「カンブリア宮殿」、NHKの「日曜討論」「NHKスペシャル」などの経済番組を意識して観ると、日本経済の現状と課題をより具体的かつ視覚的に理解できるようになります。

その他履修上の注意事項

①教科書は必ず手に入れてください。期末レポートには、教科書を持っていないと解答できない課題を出します。
②授業中は授業に関係のない私語やスマホ操作、食事などは原則禁止です。注意しても改めない場合は退場してもらいます。そうなると、MP(復習問題)を提出できなくなり、その日のMP点4点を失うことになります。
③ゼミ生の集中力を維持するため、途中で5分間の休憩を入れます。休憩中は私語、スマホ操作、トイレ、ストレッチ体操など自由にどうぞ。

授業内容

授業内容
第1回<春期(経済学演習Ⅰ)=第1回~第15回>
ガイダンス
①江本自己紹介(パワポファイル)
②ゼミの進め方、評価方法など説明(同上)
③ゼミ生の発表順など決定
第2回①ゼミ生自己紹介(自分を表現する写真、動画などを含んだパワポファイルを用意してきて、みんなに説明してください)
②教科書第1章「金は天下の回りもの――経済とは何だろう?」前半(P7~33)=江本がお手本(?)プレゼン
第3回教科書第1章「金は天下の回りもの――経済とは何だろう?」後半(P34~54)=発表❶
第4回教科書第2章「お金はなぜお金なのか――貨幣の誕生」前半(P55~73)=発表❷
第5回教科書第2章「お金はなぜお金なのか――貨幣の誕生」後半(P74~94)=発表❸
第6回教科書第3章「『見えざる手』が経済を動かす――アダム・スミス」前半(P95~112)=発表❹
第7回教科書第3章「『見えざる手』が経済を動かす――アダム・スミス」後半(P113~136)=発表❺
第8回教科書第4章「資本主義は失業者を生み出す――マルクス」前半(P137~154)=発表❻
第9回教科書第4章「資本主義は失業者を生み出す――マルクス」後半(P155~182)=発表❼
第10回教科書第5章「公共事業で景気回復――ケインズ」前半(P183~202)=発表❽
=春期(経済学演習Ⅰ)期末レポート課題出題
第11回教科書第5章「公共事業で景気回復――ケインズ」後半(P203~222)=発表❾
第12回教科書第6章「『お金の量が問題だ』――フリードマン」前半(P223~239)=発表❿
第13回教科書第6章「『お金の量が問題だ』――フリードマン」後半(P240~258)=発表⓫
第14回教科書第7章「貿易が富を増やす――比較優位」前半(P259~279)=発表⓬
=春期(経済学演習Ⅰ)期末レポート提出締切
第15回教科書第7章「貿易が富を増やす――比較優位」後半(P280~302)=発表⓭
<春期(経済学演習Ⅰ)終わり>
第16回<ここから秋期(経済学演習Ⅱ)=第16回~第30回>
ガイダンス
①江本自己紹介(パワポファイル)
②ゼミの進め方、評価方法など説明(同上)
③ゼミ生の発表順など決定
第17回教科書第1章「インフレとデフレ――合成の誤謬」前半(P7~33)=発表❶
第18回教科書第1章「インフレとデフレ――合成の誤謬」後半(P34~56)=発表❷
第19回教科書第2章「政府か日銀か――財政政策と金融政策」前半(P57~77)=発表❸
第20回教科書第2章「政府か日銀か――財政政策と金融政策」後半(P78~92)=発表❹
第21回教科書第3章「バブルへGO!――なぜバブルが生まれ、はじけたか?」前半(P93~119)=発表❺
第22回教科書第3章「バブルへGO!――なぜバブルが生まれ、はじけたか?」後半(P119~136)=発表❻
第23回教科書第4章「円高と産業空洞化――日本に残るか海外に出るか」前半(P137~161)=発表❼
第24回教科書第4章「円高と産業空洞化――日本に残るか海外に出るか」後半(P162~186)=発表❽
第25回教科書第5章「君は年金をもらえるか――消費税をどうする?」前半(P187~209)=発表❾
第26回教科書第5章「君は年金をもらえるか――消費税をどうする?」後半(P210~232)=発表❿
第27回教科書第6章「リーマン・ショックとは何だったのか?」前半(P233~254)=発表⓫
第28回教科書第6章「リーマン・ショックとは何だったのか?」後半(P255~279)=発表⓬
第29回教科書第7章「日本はどうして豊かになれたのか?――戦後日本経済史」前半(P281~300)=発表⓭
第30回教科書第7章「日本はどうして豊かになれたのか?――戦後日本経済史」前半(P301~321)=発表⓮