担当者 | 江本 伸哉 | |
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単位・開講先 | 選択必修 2単位 [経済学科] | |
科目ナンバリング | ECO-201 |
この授業は春期(国際経済論Ⅰ)と秋期(同Ⅱ)を結合して通年で受講することを基本にしています。ですから、原則として通年受講をお願いします。ただし、都合により春期(Ⅰ)のみ、あるいは、秋期(Ⅱ)のみの受講も認めます。
現代の国際経済の最大の特徴は、良くも悪くも企業活動が従来の国境や地域を超えて地球規模で展開される「グローバリゼーション」にあります。このグローバリゼーションが1990年前後のICT(情報通信技術)革命によって大きく変質しています。それまでは米、日、独、仏、英、加、伊の先進7か国(G7)が世界中の富の7割を占めていたのに対し、1990年を境にG7のシェアは急速に低下し、現在は4割程度まで落ち込みました。これに代わってシェアを伸ばしているのは、中、韓、インド、ポーランド、タイの6か国(新興工業経済地域=Ⅰ6)です。それはなぜでしょうか。
新進気鋭の国際経済学者であるリチャード・ボールウィン氏の著書『世界経済 大いなる収斂』に沿って、国際経済の最新の状況を理解してもらうのがこの授業のねらいです。
授業で生じた質問、意見、感想、要望については、毎回の授業について簡単な復習問題を解いてもらう「ミニッツペーパー」(MP)に書いてください。私なりの回答を「MP通信」にまとめ、次の授業で配ります。
①グローバリゼーションの長い歴史的な変遷を理解する。
②ICT(情報通信技術)革命に伴う新しいグローバリゼーションの意味を理解する。
③新しいグローバリゼーションが実体経済や経済政策にどんな影響を与えているのかを理解する。
④1冊の経済専門書を1年かけて読み切る忍耐力を身につける。
①MP(復習問題)点60%(MP1回4点×15回=60点)
②期末レポート40%
③MP上で特に鋭い質問、なるほどという意見、感想、要望には、①②とは別に特別加算(5~20点)します。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 世界経済 大いなる収斂 | リチャード・ボールウィン | 日本経済新聞出版社 |
参考文献 |
①何はともあれ、教科書を手に入れて、一読してください。分からないことがあっても構わずに、最後まで読み通してください。
②授業の前にその日の箇所をもう一度読んできてください。分からないことはミニッツペーパー(MP)で質問してください。
③グローバリゼーションについて、図書館で資料を読んだり、インターネットで調べてみてください。
①出席3分の2(原則10回)未満の場合は、単位を与えません。
②公欠の場合は1か月以内に届けを出してください。MP点2点を与えます。
③期末レポートには教科書を持っていないと回答できない課題を出しますので、必ず教科書を入手してください。
④私語、スマホ操作、飲食は原則禁止です。注意しても改めない場合は退場となり、その日のMP点4点を失います。
回 | 授業内容 |
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第1回 | (以下、授業の進み方によっては配分が多少変更されることがあります。悪しからずご了承ください) 春期(国際経済論Ⅰ)ガイダンス(自己紹介、授業の進め方、評価方法、約束事) 序章(P11~29) 第Ⅰ部グローバリゼーションの長い歴史をざっと振り返る 考察の軸(P33) グローバリゼーションを4つの局面に分ける(P33~35) |
第2回 | 第1章 人類の拡散と第1のバンドリング フェーズ1:人類が地球上に広く拡散する(P36~40) |
第3回 | 第1章 人類の拡散と第1のバンドリング フェーズ2:農業と第一のバンドリング(P40~66) |
第4回 | 第2章 蒸気革命とグローバリゼーションの第1のアンバンドリング ブレイクスルー:蒸気革命(P67~75) |
第5回 | 第2章 蒸気革命とグローバリゼーションの第1のアンバンドリング 第1幕:第1次大戦前のアンバンドリング(P75~85) 第2幕:リバンドリング(1914~1945年)(P86~89) |
第6回 | 第2章 蒸気革命とグローバリゼーションの第1のアンバンドリング 第3幕:第2次大戦後のアンバンドリング(P90~103) |
第7回 | 第3章 ICTとグローバリゼーションの第2のアンバンドリング(P104~107) ブレークスルー:ICT革命(P107~112) |
第8回 | 第3章 ICTとグローバリゼーションの第2のアンバンドリング フェーズ4:グローバリゼーションの第2のアンバンドリング(P113~138) |
第9回 | 第Ⅱ部 グローバリゼーションのナラティブを拡張する(P139~141) 第4章 グローバリゼーションの3段階制約論(P142) 強い制約が3つの状況:蒸気革命以前(P143~151) |
第10回 | 第4章 グローバリゼーションの3段階制約論 強い制約が2つの状況:第1のアンバンドリング(P151~163) |
第11回 | 第4章 グローバリゼーションの3段階制約論 強い制約が1つの状況:第2のアンバンドリング(P163~176) =期末レポート出題 |
第12回 | 第5章 何が本当に新しいのか(P177) 生産組織の変化(P178~180) 比較優位が無国籍化する(P181~191) |
第13回 | 第5章 何が本当に新しいのか 比較優位が無国籍化する:国同士の競争の新たなスタイル(P181~191) |
第14回 | 第5章 何が本当に新しいのか 価値はサービスにシフトする:スマイルカーブとサービス化(P191~199) 新しい勝者と新しい敗者が生まれる(P199~205) |
第15回 | 第5章 何が本当に新しいのか 荒々しくなるグローバリゼーション(P205~219) 春期(国際経済論Ⅰ)まとめ =期末レポート提出締切 |
第16回 | ここから秋期(国際経済論Ⅱ) 第Ⅲ部 グローバリゼーションの変化を読み解く(P221~222) 第6章 グローバリゼーション経済学の基礎(P223) リカードと貿易の功罪(P224~231) |
第17回 | 第6章 グローバリゼーション経済学の基礎 リカードと貿易の功罪(P224~231) |
第18回 | 第6章 グローバリゼーション経済学の基礎 新経済地理学(P232~236) 貿易が自由化されると、企業のフットワークは軽くなる:「自国市場拡大効果」(P237~238) |
第19回 | 第6章 グローバリゼーション経済学の基礎 内生的な成長の離陸と経済地理学(P238~245) サプライチェーン・アンバンドリングの経済学的側面(P246~257) |
第20回 | 第7章 グローバリゼーションのインパクト その変化を解き明かす(P258) 第1のアンバンドリングの定式化された事実を読み解く(P258) 北の工業化、南の空洞化、貿易(P259~266) |
第21回 | 第7章 グローバリゼーションのインパクト その変化を解き明かす(P258) 第1のアンバンドリングの定式化された事実を読み解く(P258) 第2のアンバンドリングの定式化された事実を読み解く(P266~273) |
第22回 | 第Ⅳ部 なぜそれが重要なのか(P275~278) 第8章 G7のグローバリゼーション政策を見直す(P279~280) 競争力政策を見直す(P280~288) |
第23回 | 第8章 G7のグローバリゼーション政策を見直す 産業政策を見直す(P288~293) チームを再構築する:社会政策(P293~295) |
第24回 | 第8章 G7のグローバリゼーション政策を見直す 貿易政策を見直す(P295~299) |
第25回 | 第9章 開発政策を見直す(P300~301) 産業発展に関する従来の考え方(P301~303) 示唆に富むケーススタディ:自動車(P303~314) |
第26回 | 第9章 開発政策を見直す 工業化を見直す(P314~325) 理論から政策へ(P325~335) =期末レポート出題 |
第27回 | 第9章 開発政策を見直す 新しい政策課題(P314~325) 理論から政策へ(P325~345) |
第28回 | 第Ⅴ部 未来を見据える(P347~348) 第10章 グローバリゼーションの未来(P349~350) 分離コストの将来の進路(P350~357) |
第29回 | 第10章 グローバリゼーションの未来 生産アンバンドリングの未来(P358~364) |
第30回 | 第10章 グローバリゼーションの未来 グローバリゼーションの第3のアンバンドリング(P364~370) おわりに(P371) 秋期(国際経済論Ⅱ)および通年(同Ⅰ・Ⅱ)のまとめ =期末レポート提出締切 |