心理学特殊実験演習Ⅱ
担当者元永 拓郎教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [心理学科 2017年度以前]
科目ナンバリングSEM-302

授業の概要(ねらい)

 この演習では、心理専門職(公認心理師や臨床心理士など)が、カウンセリングやコンサルテーションといった広い意味での心の支援サービスにおける臨床心理学的かかわりのプロセスを研究する。特に、多職種の専門家や専門家以外の人(ボランティアなど)、家族、本人など、多職種メンバー(コミュニティチーム)の形成過程や役割や基本的姿勢等にも焦点をあてる。また、ボランティア体験やフィールドリサーチを通して、心の支援からまちづくりへと展開する可能性も考えていく。
 研究方法は、文献研究、フィールドリサーチ、面接調査、質問紙調査など、心理学のあらゆる研究手法を用いる。特にフィールドリサーチの前段階として、学校や福祉施設といった対人支援の現場にボランティアとして参加する体験も重視する。
 心理専門職を目指す学生も一般就職を考えている学生も、専門職としての職業発達、または人生の各局面での多様な分野での心理支援について、深い理解をすることは重要であろう。自らの関心に従って研究テーマを設定し、文献をじっくりと読み込み、演習でのディスカッションを積み重ねる中で、その分野については誰よりも詳しいという手ごたえを得ていってほしい。
 過去の研究テーマ例としては、「心理専門職の職業イメージに関する研究」「知的障害児支援施設におけるボランティア体験の役割と意義について」「スクールカウンセラーの守秘義務に関する大学生の意識」「スクールカウンセラーの常勤化に関する研究」「学生ボランティアに関する期待感に関する研究」「専門家でない人(いわゆる素人)の心理支援に関する意識調査」「認知症とまちづくりに関する研究」などがある。
 上級生がすでに行っている研究のサポートも行い、自らのテーマを見つけ研究手法を検討し、研究計画を作成することとなる。演習Ⅰでは、自分の関心のあるテーマについて、先行研究の読み込みを行い研究の動向を把握するとともに、研究手法の実際を上級生の研究のサポートを通して体験的に学んだ。演習Ⅱでは、自分の関心のあるテーマを決めて、実際に研究計画の策定に取り組む。そのための先行研究の読み込みも充分に行う。

授業の到達目標

1)臨床心理学的アプローチのプロセスについて概説できる
2)心理専門職の活動において課題となっているテーマ検討のための研究の企画を行える
3)研究遂行のための方法論を理解し、実際に行うための立案ができる
4)4年生になって臨床心理学的研究を行うための基礎を身につける

成績評価の方法および基準

演習内のプレゼンテーション30%、ディスカッション20%、研究計画の内容50%で、総合的に評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献

準備学修の内容

 演習Ⅰの内容をもとに、研究手法の概要について、指定した教科書をもとに学習して演習に臨む。上級生の研究内容の紹介 をもとにしたディスカッションにおいても、演習Ⅰよりも内容の理解が進んでいることが想定されるので、より積極的に発言できるように、その内容を理解するために必要な基本的な専門用語をあらかじめ調べるようにする。

その他履修上の注意事項

 心理学研究法Ⅱ(心理調査計画法)及び、心理学研究法Ⅲ(面接・質的研究法)を履修していることが望ましい。
 実際の現場に出てのフィールドワーク(ボランティア体験含む)を行うこともあるので、フィールドワークを行う上での倫 理、基本的姿勢、社会的責任、リスク管理について、充分に身につけていく必要がある。
 研究実施については、倫理委員会の承認を得た上で、高度な倫理性や責任を持ち行う必要がある。

授業内容

授業内容
第1回後期ガイダンス/後期スケジュールの確認
夏期のフィールドワーク体験のシェアリング
第2回研究の進捗の報告➀
調査票をどのように作成するか
第3回研究の進捗の報告②
尺度の信頼性と妥当性
第4回研究の進捗の報告③
面接プロトコールの作成について
第5回研究の進捗の報告④
質的分析の方法について
第6回関心テーマと研究計画➀
研究計画のスタイル
第7回関心テーマと研究計画②
先行研究の参照方法
第8回関心テーマと研究計画③
研究フィールドの設定について
第9回関心テーマと研究計画④
調査票と研究倫理について
第10回関心テーマと研究計画⑤
面接調査と研究倫理について
第11回研究の進捗の報告➀
データマネジメント(入力やクリ―ニングなど)
第12回研究の進捗の報告②
統計の基礎、表の作成方法、クロス表と統計的検定
第13回研究の進捗の報告③
尺度得点と統計的検定
第14回研究の進捗の報告④
多変量解析
第15回まとめ
臨床心理学的研究の成果