担当者 | 宇多 浩教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [総合基礎科目] | |
科目ナンバリング | PHE-103 |
行動規範論Ⅰでは、倫理や道徳に関する哲学者たちのさまざまな学説を紹介し、それを通じて「倫理とはなにか」、「道徳性の根底にあるものは何か」という問題を考えていきたいと思います。
講義の前半は、プラトンやアリストテレスの徳論、社会契約説、ヒュームの道徳感情説などについて紹介しながら、〈徳〉や道徳性(道徳的な規範・規則)が人間にとってどのような意味をもっているのか、について探究していきます。
講義の後半は、おもに近代以降の倫理学説、とりわけカントの倫理学と功利主義について考察していきます。人間の行為に焦点をあて、行為の道徳性の根底にはどのような原理があるのか、という問題について考察していきます。
・さまざまな倫理学説の基本的な概念や理論を、自分の言葉で説明することができる。
・行為の道徳性の根拠について、とりわけ功利主義とカントの倫理学の違いについて説明することができる。
・平常点(約20%)、中間試験(約40%)、期末試験(約40%)によって総合的に評価する予定。
・平常点は数回に1回の割合で課す小課題によって評価する。
・5回以上欠席した場合は、原則として試験の受験資格はないものとみなす(仮に試験を受けたとしても不可(D)の扱いとなる)。
・定期試験は論述形式とし、資料等の持ち込みは認められない。
・定期試験は中間と期末の2回を受験する必要がある。どちらか1つでも受験しなかった場合は、原則として不可(D)となる。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | テキスト:特になし | ||
参考文献 | 『倫理学の話』(2015年) | 品川哲彦 | ナカニシヤ出版 |
参考文献 | 『現実をみつめる道徳哲学』(2003年) | ジェームズ・レイチェルズ | 晃洋書房 |
・2~3回に1回の割合で、授業の内容に関する小課題を課します。それを自宅で書いて提出する必要があります。
・毎回出席して授業を受け、授業内容を理解していなければ、定期試験で及第点をとることはできません(例年、出席しても授業をほとんど聞いていない学生が若干名見受けられますが、それらの方はほぼ単位の取得見込みはないものと考えてください)。
回 | 授業内容 |
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第1回 | 授業の概要 ― 「倫理学的に物事を考えるとはどのようなことか」について考察する。 |
第2回 | 道徳とその理由 ― 「私たちが道徳的に振る舞わなければならない理由や根拠はどこにあるのか」という問いを、いくつかの立場を踏まえながら考察する。 |
第3回 | ソクラテスにおける徳 ― プラトンの対話編『ソクラテスの弁明』を読みながら、ソクラテスにとって「徳の探究」とはどのような意味を持っていたのか、について考察する。 |
第4回 | プラトンにおける「正義」(1) プラトンの対話篇『国家』におけるソクラテス達の対話を見ながら、正義と幸福との関係について考察する。 |
第5回 | プラトンにおける「正義」(2) 引き続き、プラトンの対話篇『国家』におけるソクラテス達の対話を見ながら、正義と幸福との関係について考察する。 |
第6回 | アリストテレスの徳 ― 『ニコマコス倫理学』におけるアリストテレスの徳論を見ながら、徳と幸福との関係について考える。 |
第7回 | ヘレニズムの思想 ― ヘレニズム時代の代表的な思想であるストア派とエピクロス派の思想を紹介しながら、徳と幸福との関係がどのように変化していったのか、について考察する。 |
第8回 | 社会契約説 ― ホッブズの社会契約説を紹介しながら、社会契約説において、道徳的な規則や規範がどのような原理に支えられているのか、について考察する。 |
第9回 | ヒュームの道徳理論 ― ヒュームの共感・道徳感情についての理論を見ながら、道徳と感情との関わりについて考察する。 |
第10回 | 授業のまとめと中間試験 |
第11回 | 功利主義(1) 「行為の道徳性は行為がもたらしうる幸福の全体量によって決められる」とする功利主義の立場について見ていく。 |
第12回 | 功利主義(2) 引き続き、功利主義について、その問題点を具体例を通して検討していく。 |
第13回 | カントの倫理学(1) 「行為の道徳性は義務に基づいているかによって決められる」とするカントの倫理学について考察する。 |
第14回 | カントの倫理学(2) カント倫理学の根本原理である定言命法について考察する。 |
第15回 | カントの倫理学(3) カントの人格性に関する定言命法を理解し、〈人格の尊厳〉の意味について考える。 |