日本の中小企業Ⅰ
担当者カン ビクトリヤ教員紹介
単位・開講先選択  2単位 [経済学科]
科目ナンバリングECP-219

授業の概要(ねらい)

 中小企業は多種多様性を特徴とし、技術革新や雇用拡大、新産業の創出、国際化などに寄与することを通じて、地域社会の活性化や日本の経済成長において重要な役割を果たしてきている。特に近年では、経済発展の原動力としての急成長イノベーション企業や、地域資源(地域の人材やノウハウ、施設、資金など)を活かしながら地域の課題解決について「ビジネス」という手法で取組むコミュニティ・ビジネスに対する社会的な期待や関心が高まっている。
 本講義では、中小企業とはどのような存在であり、どのような役割を果たしているのか、なぜ大企業と区別する必要性があるのか、など中小企業に関する重要な概念や基本的な事柄について歴史的・理論的・政策的視点から分かりやすく解説します。
 また、中小企業が抱える経営課題とは何か、技術革新や情報化、グローバル化等の経営環境の変化にどのように対応してきたのか、なぜ中小企業の抱える問題は政策課題とされてきたのか、について多様な側面から一緒に考察したいと思います。

授業の到達目標

 ①中小企業の概念とその位置づけについて理解し、大企業との相違点について説明できる。
 ②現代経済社会において中小企業が果たしている役割について説明できる。
 ③日本経済における中小企業の活動実態、歴史的な存立環境と諸問題点について解釈できる。
 ④グローバル化や情報化の急速な進展、競争の激化、その他のビジネス環境の変化を把握し、それが中小企業の経済活動に与えている影響について評価・判断できる。
 ⑤中小企業の戦略的経営に関して興味を持ち、それに対する自らの意見を述べることができる。
 ⑥経済産業省などの調査結果や中小企業白書を参照し、新規開業企業や中小企業に対する政策的支援のあり方に関心を示す。
 ⑦日経新聞などを読み解きながら、少子高齢化や市場の成熟化、産業空洞化など、日本の中小企業を取り巻く環境を感じ取り、中小企業が抱える経営課題について自ら調べ、より広い視点から捉える能力を身に付けることが目標です。

成績評価の方法および基準

 総合評価の基準:宿題(20%)+試験(80%)
 試験(知識・理解・思考・判断):授業内で行う小テスト(期間中に2回、40%・40%の割合)、または定期試験で評価します。受講者数により決定する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書 視聴覚教材:パワーポイントを使用した講義を行う。毎回授業のあらましと資料を配付します。
教科書:有用な参考文献は講義にて随時取り上げ紹介していきます。
教科書 特定のテキストは使用しない。
参考文献『中小企業白書』2010~2019年版
参考文献(2014)『中小企業・ベンチャー企業論』植田浩史・桑原武志・本多哲夫・義永忠一有斐閣
参考文献(2013)『21世紀中小企業論第3版』渡辺幸男・小川正博・黒瀬直宏・向山雅夫有斐閣
参考文献(2011)『現代中小企業論増補版』高田亮爾・上野紘・村社隆・前田啓一同友館
参考文献(2004)『現代日本の中小企業』植田浩史岩波書店
参考文献(1996)『中小企業論』清成忠男・田中利見・港徹雄有斐閣

準備学修の内容

 宿題としては、公開されている官公庁等の資料を使用し授業のテーマ別にミニレポートを提出することになります。
 毎回、参考書の該当ページや講義ノートを読んで予習・復習し、分からなかった点や質問をノートにまとめ、授業の直前・直後またはオフィスアワーの時に聞きに来てください。これまで学んだことに関連する新聞・テレビ等のニュースに目を通してほしい。

その他履修上の注意事項

 授業の中で意見交換やディスカッションを行うこともあるので、学生の積極的な参加を歓迎します。
 中小企業の視点から見ると、日本経済の特徴や問題点が見えてくることがあるので、新聞や雑誌などに載っている関連記事に目を通しておきましょう。 

授業内容

授業内容
第1回 オリエンテーション:講義の目的と進め方などについての説明
第2回 「中小企業とは何か」:中小企業の概念と定義
第3回 現代経済における中小企業の位置づけと役割
第4回 戦後日本経済の発展、経済構造の変化と中小企業
第5回 日本型下請生産システムと中小企業:その特徴
第6回 日本型下請生産システムと中小企業:その生成と発展過程
第7回 産業集積と中小企業
第8回 日本経済の国際化と中小企業
第9回 ネットワークと中小企業
第10回 地域経済の変化と中小企業
第11回 情報化と中小企業
第12回 技術革新と中小企業
第13回 中小企業と金融問題
第14回 中小企業政策の変遷と課題
第15回 中小企業と労働問題