授業の概要（ねらい）

　今日、共生社会の形成が求められており、我が国でもその実現に向けて関係法令・諸制度等の改訂・改善が進められ、障害者の権利条約が批准された。教育の分野においても、特殊教育から特別支援教育への移行を経て、共生社会の実現に向けた「インクルーシブ教育」への発展が目指されている。教師を目指す者に対して、一層の視野を拡げるためにも障害者の社会生活を直視し、その諸課題を明らかにしながら、共生社会の実現を目指す取り組みを創出する必要がある。
　本授業では、書籍や新聞等の事例や記事に関して、討議・討論する活動を通して、障害者の社会生活における医療・福祉・労働・社会生活等における今日的な課題を明らかにし、法律・制度等の基本的な考え方を押さえながら、望ましい共生社会の実現に向けた課題解決の方法を探る。併せて、学校教育は今後どのようにこの問題と関わるべきかについても検討を進める。書籍や新聞記事から自分なりの課題を見つけ、発表（プレゼンテーション）・討議する活動を中心に置く。
【共生社会】共生社会とは、これまで必ずしも十分に社会参加するような環境になかった障害者等が、積極的に参加・貢献していくことができる社会である。それは誰しもが相互に人格と個性を尊重しあい、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会である（中教審答申「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進（報告）」H24.7）。

授業の到達目標

・障害者を巡る考え方の変化や今日的課題を理解する。
・書籍や新聞記事の事例に学び、誤解や偏見をただし、障害者の自立と社会参加について障害者の立場を踏まえて考えることができる。
・障害を含む多様な状態を併せもつ個人の人権について新聞記事や雑誌等の具体的事例・事件を選択し、内容を考察・発表する。
・「インクルーシブ教育システム」「合理的配慮」の観点から学校教育の今後の在り方について展望し、考えをまとめることができる。

成績評価の方法および基準

　事例の発表（プレゼンテーション）30%、試験（第15回）50%及び授業参加態度20%（討論・討議の発言内容・発表内容等）、課題レポートなどを通じて総合的に判断する。

教科書・参考文献

準備学修の内容

　毎授業の討議内容から障害者の諸問題の背景について考察し、問題解決に向けた方略を考え、整理すること。その際、当事者への直接的な支援（どのような力を身につけてほしいか）と併せて、当事者を取り巻く環境（人的・物理的・制度的な環境）のあり方について考えながら授業に参加すること。

その他履修上の注意事項

　日頃から障害者を含む多様な状態を併せもつ個人の社会参加や諸問題を扱った記事やニュースなどの情報を収集し、社会全体の当事者理解や、具体的な法令・施策など、障害者の権利の保障、自立と社会参加に向けた支援がどのようになされているかについて関心をもって欲しい。

授業内容