演習Ⅰ
担当者冨田 秀昭教員紹介
単位・開講先必修  2単位 [経営学科]
科目ナンバリングSEM-301

授業の概要(ねらい)

 この演習は、イノベーションという視点から日本経済のこれまでたどってきた成長の軌跡を学ぶとともに、今後の日本経済の行方について考えることを目的としています。日本経済は第2次世界大戦による壊滅的な被害を乗り越えて高度経済成長を遂げ、今日の豊かな社会の礎を築いてきました。その過程で最も重要であった要因は、イノベーション、すなわち生産性の改善・向上に大いに寄与した広い意味での技術進歩であったと考えられます。それは教育水準を向上させ技術吸収能力を高めながら、海外から進んだ技術を取り入れて積極的にR&D投資を行い、日本に適合するように技術に改良を加えるというものでした。
 しかしながら、2度の石油ショックの後、日本経済は安定成長ないし低成長に移行、バブル経済の崩壊を経て、「失われた20年」、さらに「長期停滞」ともいわれる状況が続いています。こうした経済状況を打破するためには、従来の導入技術改良型のイノベーションは既に限界にきており、自前技術によるイノベーションが必要であるといわれるようになって久しい今日この頃です。
 そこで春学期の「演習Ⅰ」では、イノベーションの観点から顕著な成果が観察された高度成長期を取り上げて、その実態について学びます。続く秋学期の「演習Ⅱ」では、将来の展望を切り開くイノベーションとして近年注目されているAI(人工知能)の動向などを学んだ後、AIがもたらす日本経済の成長への寄与などを可能な限り検討します。さらに、ゼミ生が関心を有する業種を取り上げて、AIが当該業界の将来にどのようなインパクトをもたらしうるかを議論します。あわせて、経済成長とは何だろうか、経済成長は必要だろうか、という根源的な問いについても考えてみたいと思います。

授業の到達目標

 (1)イノベーションが経済成長に及ぼす影響について、具体的な事例により理解します。
 (2)輪読担当部分の発表、メンバー間での討論・意見交換を通じてプレゼンテーション能力を磨きます。
 (3)グループワークにより発表を行い、他の人々を説得できるレポートを作成します。

成績評価の方法および基準

 毎回の出席を前提に、輪読担当部分の発表内容、討論などへの積極的な取り組み姿勢、グループワークの後、期末に作成してもらうレポートの内容に基づいて総合的に評価します。
 なお、6回以上欠席をした者については、単位を認めないので気をつけて下さい。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書『高度成長:日本を変えた六〇〇〇日』  吉川洋中央公論新社、2012年
教科書「戦後日本のイノベーション100選(高度経済成長期)」発明協会「戦後日本のイノベーション100選」事務局(「戦後日本のイノベーション100選」特設サイト)、2016年
教科書『人口と日本経済』吉川洋中央公論新社、2016年

準備学修の内容

 (1)輪読に際して、各回の発表担当者はテキストの担当部分のポイント、内容について整理したレジュメを作成し、プレゼンテーションの準備をして下さい。
 (2)それ以外のメンバーの皆さんは、テキストの該当箇所を読んで、質問を考えておいて下さい。

その他履修上の注意事項

 (1)上記のテキスト以外に、随時紹介していく関連文献、資料をできるだけ当たって、イノベーションに関するイメージをどんどん膨らませて下さい。
 (2)諸般の事情により、各回の内容、進度、順序など変更することがあります。
 (3)わずか1年間という短い期間の演習ですが、共に楽しく学びましょう。できればメンバー間での親睦を図るべく、懇親会なども実施したいと思います。

授業内容

授業内容
第1回 <ガイダンス>
 1)メンバー自己紹介
 2)授業目的、授業方法、成績評価、準備学修および授業内容について
第2回 <輪読の分担決定> 第3回~第10回
 教科書(1)『高度成長:日本を変えた六〇〇〇日』第1章~第7章
 教科書(2)「戦後日本のイノベーション100選(高度経済成長期)」8項目
第3回 <輪読> 発表(1)、発表(2)
第4回 <輪読> 発表(3)、発表(4)
第5回 <輪読> 発表(5)、発表(6)
第6回 <輪読> 発表(7)、発表(8)
第7回 <輪読> 発表(9)、発表(10)
第8回 <輪読> 発表(11)、発表(12)
第9回 <輪読> 発表(13)、発表(14)
第10回 <輪読> 発表(15)
 <グループワーク>
 1)要領説明
 2)グループ分け、グループ別分担決定:教科書(3)『人口と日本経済』第1章~第4章
 3)グループ別打ち合わせ
第11回 <グループワーク> 発表(1)
第12回 <グループワーク> 発表(2)
第13回 <グループワーク> 発表(3)
第14回 <グループワーク> 発表(4)
第15回 <まとめ>
 1)演習Ⅰの総括
 2)メンバーによるスピーチ(感想・反省など)
 3)課題レポート提出