美術史・文化遺産実習3-Ⅲ
担当者藤澤  明教員紹介
単位・開講先選択必修  2単位 [史学科]
科目ナンバリングFAH-405

授業の概要(ねらい)

 本実習では文化財を科学的な視点から調査し、その文化財の保存や管理法を考えることができるようになることを目的としています。そこで、博物館資料を対象とし、①資料の科学的調査方法、②資料の保存修復、③資料の保存環境管理について実習を交えながら取り扱います。
 ①については、それぞれが興味を持っている資料を対象にデジタル顕微鏡観察、特殊写真撮影による光学調査、蛍光X線分析装置による元素分析等を行い、材料や技法について考察します。②については、実際の文化財資料を使用し、記録、実体顕微鏡による観察、クリーニング、安定化処置、強化処置等を行い、その問題点や改善方法を議論します。③については講義と文化設備の見学を行い、問題点の抽出を行います。

授業の到達目標

 文化財資料の保存において状態調査および保存管理の重要性を理解し、これらを実践する手法を修得し、博物館学芸員や文化財専門職員として働く場合に備えることを目標とします。

成績評価の方法および基準

 実習成果(50%)とレポート(50%)で評価します。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書
参考文献文化財のための保存科学入門京都造形芸術大学編角川学芸出版

準備学修の内容

 興味を持つ文化財を一つ取り上げ、その歴史、科学的視点からの材質、劣化機構についてレポートにまとめること。

その他履修上の注意事項

 八王子キャンパスでは実施できない大型の機器を使用した分析については、文化財研究所において美術史・文化遺産実習3C-Ⅱの中で実施します。併せて履修することをおすすめします。

授業内容

授業内容
第1回博物館の歴史と役割
第2回博物館資料の種類と材質
第3回保存修復の歴史とその倫理
第4回資料の状態調査-観察(拡大鏡、光学顕微鏡、色の評価)
第5回資料の状態調査-写真撮影(通常光、側光、赤外線、紫外線蛍光)
第6回資料の状態調査-状態調査実習
第7回資料の状態調査-状態記録と材質分析
第8回資料の状態調査-状態調査実習
第9回博物館資料の保存修復概論
第10回資料保存の実際-保存処理実習(観察、写真撮影)
第11回資料保存の実際-保存処理実習(クリーニング)
第12回資料保存の実際-保存処理実習(クリーニング、安定化処置)
第13回資料保存の実際-保存処理実習(強化処置、写真撮影)
第14回資料保存環境の基礎-温湿度度管理
第15回資料保存環境の基礎-光の特性と管理・空気質調査