担当者 | 佐藤 光宣教員紹介 | |
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単位・開講先 | 選択 2単位 [現代ビジネス学科] | |
科目ナンバリング | ECH-101 |
この授業は、主として西欧の経済生活の歴史を制度の累積的進化の過程として描こうとするものである。したがって、この授業では文化変化の理論への接近が試みられ、またこれを土台として経済生活の歴史に刻まれた重要事項を検討する。この授業を通じて学生は、比較的広範な学問領域の基礎的知識に自ずと接することになろう。
授業は所有権制度の生成と発展および資本主義経済制度の成立へと進み、現今に繋がる経済生活へと、その内容が進化論的に展開していく。その際、文化を構成する諸要素が人間性の変化を通じて相互に連関する様相が示されるであろう。
本授業において私は、資本主義という金銭文化段階(pecuniary stages of culture)において極めて不安定な様相を呈するに至った昨今の経済社会の性質と機能について、先入観を排除しながら歴史的思索を重ねる。このこと自体が授業の到達目標への道標となる。また、この道標に導かれつつ現今の経済社会について批判能力と建設的意見とが養われるであろう。これこそが本授業の統括的な到達目標となる。さらに、このような一連の知的経験を通じて学生は、「人間力」醸成の足掛かりを得るであろう。このことも、授業の到達目標に含まれる。そこで授業の到達目標の細目を、次のように定める。
(1)制度の累積的変化として経済生活の歴史を理解できること。
(2)所有権制度の発生の原因とその成長過程を理解できること。
(3)イギリス産業革命について一定の知見を説明できること。
(4)技術者の思考習慣と社会的機能について説明できること。
(5)歴史に関する教養を深めることができること。
前期期末試験(60%)、学習到達度調査小テスト(20%)、およびこれらの試験結果に平常点(20%)を加えて評価を決する。また、正当な理由なく追試験等を実施することは制度的にできない。レポートによる救済措置は予定していない。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | テキストは使用しない。主たる参考書は下記の通りである。テキストと参考書に替えて、資料を授業時に配付する。 | ||
参考文献 | The Theory of the Leisure Class, 1899 | Thorstein Veblen | New York: The Macmillan Company |
参考文献 | 有閑階級の理論 | 小原敬士 訳 | 岩波書店、昭和36年刊 |
参考文献 | Imperial Germany and the Industrial Revolution, 1915 | Thorstein Veblen | New York: Macmillan |
参考文献 | La dynamique du capitalisme, 1985 | Fernand Braudel | Paris: Arthaud |
参考文献 | 歴史入門 | 金塚貞文 訳 | 中央公論新社、平成21年刊 |
参考文献 | 資本主義世界の成立 | 藤瀬浩司 著 | ミネルヴァ書房、昭和55年刊 |
参考文献 | イギリス産業革命分析 | フィリス・ディーン 著 石井 摩耶子/宮川 淑 訳 | 社会思想社、昭和48年刊 |
参考文献 | The Making of Economic Society, 12th Edition, 2007 | William Milberg | New Jersey: Prentice Hall |
参考文献 | 経済社会の形成 | 菅原歩 訳 | ピアソン桐原、平成21年刊 |
参考文献 | A Concise Economic History of the World: From Paleolithic Times to the Present, 2002 | Larry Neal ; Rondo Cameron | USA: Oxford University Press |
参考文献 | 概説 世界経済史〈1〉旧石器時代から工業化の始動まで | 速水融 訳 | 東洋経済新報社、平成25年刊 |
参考文献 | 概説 世界経済史〈2〉工業化の展開から現代まで | 速水融 訳 | 東洋経済新報社、平成25年刊 |
まず、「資本制社会とは何か」についてレポートにまとめること。
次いで、総合基礎教育科目の「経済学」を同時に履修し、その内容を的確に理解することが望ましい。また、歴史について深く真摯な関心を持つことは、授業の準備として何より幸いである。
なお、授業2単位週90分間の授業については、週180分以上の授業時間以外の学習時間が必要である。本授業も、その例外ではない。
経済生活の歴史を理解することは、先人が歩み築いてきた経験と知識および文化に対して尊敬の念を深めるに違いない。学生は授業に臨んでは、経済学的および歴史的な観点から物事を考える態度で聴講し、読み書きすることを望む。
なお、毎回の授業に際して学生は勉学のための秩序を乱すことのないよう、まず要望する。また、一貫した知的環境のなかで授業が進展するよう、併せて要望する
回 | 授業内容 |
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第1回 | 自己紹介。授業の課題と予定 ―シラバスの解説を中心として― |
第2回 | ウィリアム・ジェームズ(William James)とその習慣の理論 ―『心理学原理』(The Principles of Psychology, 1890.)をめぐって― |
第3回 | ソースタイン・ヴェブレン(Thorstein Veblen)とその制度の概念 ―習慣と慣習の統一物としての思考習慣(habits of thought)について― |
第4回 | 『有閑階級の理論』とヴェブレンの発展段階説 ①西欧文明の生活史 ―生産力の発展と有閑階級― |
第5回 | 『有閑階級の理論』とヴェブレンの発展段階説 ②「制度の運動の理論」 ―ヘーゲル弁証法のヴェブレンに対する影響― |
第6回 | 原始的未開文化の段階と生存競争 ―共同体の成立と「共有財産としての技術知識」― |
第7回 | 掠奪文化の段階 ―掠奪結婚と所有の観念の発生― |
第8回 | 有閑階級の生成と拡大 ―その経済的価値と意義― |
第9回 | 資本制社会 ①その成立と性質について ―共同体原理から競争原理へ― |
第10回 | 資本制社会 ②経済成長の要因について ―身分制度の崩壊と資本家の登場 ― |
第11回 | 重商主義と海賊の活躍 ―「政治家率先」から「個人率先」へ ― |
第12回 | イギリス産業革命① ―織機・紡績機とその改良― |
第13回 | イギリス産業革命② ―海外植民地と「食」の支配― |
第14回 | イギリス産業革命③ ―工業化の過程と国内市場の成立― |
第15回 | 帝政ドイツと産業革命 ―ソースタイン・ヴェブレンの所説に基づいて― |