担当者 | 小林 成弘教員紹介 | |
---|---|---|
単位・開講先 | 選択 2単位 [経営学科] | |
科目ナンバリング | ECP-203 |
本講座では、経済政策を考える上で常に論争を巻き起こしてきた「”大きな政府”か、”小さな政府”か」「規制・監督を行うべきか、自由放任にすべきか」という視点を持ちつつ、戦前・戦後の日本経済および世界経済の動きについて振り返ります。
世界主要国の経済政策は、18~20世紀初頭(昭和初期)までは自由放任、即ち「小さな政府」が望ましいという考え方が主流でしたが、1930年代に起きた世界大恐慌をきっかけに、「行き過ぎた自由放任が世界的な大恐慌を巻き起こした」として、以降政府が経済を規制し監督を強化すべきとする「大きな政府」の時代に変わっていきました。 この「大きな政府」の時代は第二次世界大戦を挟んで戦後も続くのですが、1970年代後半にニクソン・ショックやオイル・ショックなどの非常に大きな経済的ショックが相次いで世界を襲ったことで政府の経済コントロール機能は大きく低下し「大きな政府」に対する批判が強まっていきました。その結果、世界規模で再び「小さな政府」を目指した規制緩和の動きが強まっていきましたが、特に金融分野では、これがその後の金融機関の暴走(モラルを失った儲け主義)を招き、アジア通貨危機やサブプライム危機など、世界規模での金融危機を頻繁に引き起こすようになりました。今から約30年前に日本で起きた「平成バブル」も、そうした経済自由化や規制緩和が直接・間接に大きく影響していたのです。
そこで本講座では、春期は昭和初期の「世界大恐慌」から1970年代まで続いた「大きな政府」の時代を取り上げて日本および世界の経済および経済システムについて学び、秋期は1980年代以降今日に至るまでの「小さな政府」指向の時代における日本および世界経済の動きについて学んでいきます。
受講者は、「小さな政府」と「大きな政府」という政策論争に対し、自身の見識を養い、現在の日本経済が歴史的にどのような位置づけにあるのかを把握できるようになってもらいたいと思います。
期末に行うペーパーテストの成績を基礎点とし、これに普段の授業への取り組み姿勢(出席状況、義務的課題の実施状況、任意レポート提出など)をボーナス点として加算して総合評価を行います。ただし、以下の事項に該当する場合は大幅減点とします。
①授業中の私語など、他の学生に悪影響を及ぼすあらゆる「迷惑行為」
②授業における出席偽装、テストにおけるカンニング、レポート等におけるネット情報等のコピー&ペーストなど、あらゆる「不正行為」
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
---|---|---|---|
教科書 | テキストは特に指定しませんが、参考文献は講義の都度紹介します。 | ||
教科書 | |||
参考文献 | 『高度成長期の日本経済』 | 武田晴人編 | (有斐閣) |
参考文献 | 『マネー革命(1)~(3)』 | NHK取材班 | (日本放送協会) |
参考文献 | 『バブルの歴史』 | エドワード・チャンセラー | (日経BP) |
講義は基本的にパワーポイントを使って進めます。 パワーポイントの資料はその都度縮刷版をプリント配布しますが、その内容は多岐にわたり分量も多くなりますので、授業に出席せず後で資料だけに頼って勉強しようとしても重要なポイントを掴み切れず講義の全体像を理解することは到底不可能です。 必ず毎回授業に出席して講義をしっかり聴き、メモをとり、何が重要なのか、どのように話が展開されるのかを自分の目と耳と頭で整理しながら理解していくように努めて下さい。 なお、講義内容について各自の理解を深め知識の定着を図るため、授業の際に時々練習問題プリントを配布します。 特に提出は求めませんが、受講生はそれら課題に自主的・積極的に取り組むことを強く勧めます。
単に授業を聞くという受け身の姿勢ではなく、講義を通して自分の関心や疑問を掘り起こし、原典や関連文献または統計データに直接あたって調べたり確認してみるといった積極的な姿勢で取り組むことを期待します。
回 | 授業内容 |
---|---|
第1回 | ガイダンス |
第2回 | 足下の日本経済 |
第3回 | アメリカ黄金の1920年代 |
第4回 | ニューヨーク株式バブルと世界大恐慌 |
第5回 | 「小さな政府」から「大きな政府」へ |
第6回 | 1940年体制(戦前日本の統制経済化) |
第7回 | ブレトンウッズ会議とGATT・IMF体制 |
第8回 | 東西冷戦とアメリカ経済の変調 |
第9回 | ドルショックと変動相場制 |
第10回 | オイルショックとスタグフレーション |
第11回 | 「大きな政府」から再び「小さな政府」へ |
第12回 | 中曽根行革と経済構造改革 |
第13回 | 「日本機関車論」と国債の大量発行 |
第14回 | 1980年代貿易摩擦の激化と外圧 |
第15回 | まとめ/テスト |