肢体不自由者(重複)の指導法
担当者石川 政孝
単位・開講先選択  2単位 [初等教育学科 こども教育コース]
科目ナンバリングSNE-302

授業の概要(ねらい)

 【選択科目】【特別支援教育に関する科目・特別支援教育領域に関する科目・心身に障害のある幼児、児童又は生徒の教育課程及び指導法に関する科目】
 現在、特別支援学校(知的障害)の小学部、中学部に在籍する児童生徒のうち、半数近くの児童生徒が重複障害学級に在籍するなど、障害の重度・重複化への対応が喫緊の課題となっている。
 また、特別支援学校(肢体不自由)においては、約4分の3の児童生徒が重複障害学級に在籍している。このような現状の中で、重複障害児を理解し、児童生徒個々の障害の状態等に応じた適切な教育を進めていくことが重要である。
 本授業においては、特別支援学校等における重複障害児の指導を踏まえ、肢体不自由と知的障害、肢体不自由と病弱等を併せ有する重複障害児の実態把握から個別の指導計画の作成、学習の展開、評価等について授業・演習を行う。

授業の到達目標

 重複障害児の概念や重複障害児教育の現状と課題を整理して説明できる。
 重複障害のある児童生徒の教育に関して学習指導要領やその解説を読んで、重複障害者等に関する教育課程の取り扱い及び個別の指導計画の意義について述べることができる。 
手厚い支援を必要とする子どもが主体となる教育計画の作成を学び、 特別支援学校等における重複障害児の指導の在り方について自分の意見をもつことができる。

成績評価の方法および基準

 各授業の課題50%・期末レポート課題50%により総合的に評価する。

教科書・参考文献

種別書名著者・編者発行所
教科書手厚い支援を必要としている子どもの情報パッケージ ぱれっと(PALETTE)-子供が主体となる教育計画と実践をめざしてー独立行政法人国立特別支援教育総合研究所ぱれっと作成チームジアース教育新社
教科書『特別支援学校幼稚部教育要領 小学部・中学部学習指導要領』(平成29年4月告示)文部科学省
教科書『特別支援学校教育要領・学習指導要領解説総則編(幼稚部・小学部・中学部)』(平成30年3月)文部科学省
教科書『特別支援学校教育要領・学習指導要領解説自立活動編(幼稚部・小学部・中学部)』(平成30年3月)文部科学省
参考文献
参考文献

準備学修の内容

 授業で触れる内容に関連した特別支援学校学習指導要領及び解説の記述を事前及び事後によく読むこと
 特別支援学校の学校公開や学校行事、ボランティア活動などを通して、障害の重い子どもや重複障害のある子どもの活動の様子を知ってほしい。

その他履修上の注意事項

 前提条件として履修すべき科目:「肢体不自由児の心理・生理・病理」(春学期)
 第1回目の授業において、授業の進め方、資料収集の方法、参考文献、評価等について説明する。
 宿題の提出・出席状況・授業中の態度等については、自ら留意すること。

授業内容

授業内容
第1回 「重複障害児とは」
 重複障害児の概念について、法令等をもとに説明する。また、重度・重複障害児という概念についても説明する。
第2回 「重複障害教育の現状」
 重複障害児の教育の場は、特別支援学校における教育が原則であるが、特別支援学級においても重複障害児に対する教育が行われている。特別支援教育資料に基づいて特別支援教育の現状を協議する。
第3回 「重複障害児の教育課程について」
 関係法令や学習指導要領における重複障害者等に関する教育課程の取扱いについて
第4回 「重複障害児の指導について(1)」
 個別の指導計画の作成
 肢体不自由と重度の知的障害を併せ有する児童生徒の個別の指導計画の作成
第5回 「重複障害児の指導について(2)」
 実態把握①
 実態把握の方法と行動観察の視点
第6回 「重複障害児の指導について(3)」
 実態把握②
 表出が小さい・わかりにくい場合の行動観察・感覚障害のある場合の行動観察
第7回 「重複障害児の指導について(4)」
 保護者との連携・専門職との連携
第8回 「重複障害児の指導について(5)」
 目標設定と教育内容①
 子どもや家族の願いの実現に向けた単発的でない継続的な教育的な取り組み
第9回 「重複障害児の指導について(6)」
 目標設定と教育内容②
 小・中・高のライフステージを意識した校内連携
第10回 「重複障害児の指導について(7)」
 学習活動の展開①
 一日を通した個別目標への個別学習と集団学習 
第11回 「重複障害児の指導について(8)」
 学習活動の展開②
 交流及び共同学習における活動の展開・地域の資源の活用
第12回 「重複障害児の指導について(9)」
 評価と計画の見直し
 個別の指導計画の見直し・個別の教育支援計画の見直し
第13回 「教材教具の工夫について(1)」
 市販されている教材教具・教員等によって自作される教材教具を使った授業づくり
 (肢体不自由と知的障害と病弱を併せ有する児童生徒の教材教具)
第14回 「訪問教育について」
 訪問教育の現状と課題
 (肢体不自由と病弱を併せ有する重度・重複障害の児童生徒の指導)
第15回 授業の振り返り及び課題